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【詩】不審者

道でたまたま私の前を歩いただけの
白髪眼鏡の知らない貴方の後ろ姿に
私はわけもなく郷愁を感ずる
この感情が私の内の何と繋がっているのか
何を意味するか
見当もつかぬ
ゆえに
私はただ貴方を見つめる
不審者である

車窓を流れゆく
都会の中でそこだけ切り取られたような
ゆきずりの田園風景にも
私は同じ郷愁を感じ
深くふかい溜め息を吐いた

私の心は日々わけのわからぬ動きを見せて
どうしてそうするか
見当もつかぬしぐさを
さまざま えんえんと
しているようなものである

どうして私はこうも黄昏れるのか
どうして私はこうも寂寞とするのか
どうして私はこうも逆巻くのか

わからぬ

わからぬが
その出処のわからぬ感情にしたがってうごく
ゆえに
私はただ正直者の
不審者である

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