食糧難と昆虫食の現実性
何年か前に、世界規模のたんぱく質不足の為に、昆虫食を研究している団体があるというのをローカルの報道番組で見たことがありました。その時、てっきり、
「あぁ、アフリカとか、そういうところの為の研究なんだろうな」
とかってに決めつけていたんです。でも、最近になって、某公共放送で、
「実はこのままのペースで行けば、食肉なんか、食べられなくなりますよ」
というニュアンスの食糧危機を特集した番組をやっていたのと、何より、
実際に某大手パンメーカーが、コオロギ粉末入りパンを生産販売しだしているのを見て、
「え?先進国でも、本当に食糧危機になるの?」
と驚いた次第です。現在、中国はGNP世界第2位の経済大国になっていますけど、一昔前までは他の社会主義の国と同様、経済はアメリカや日本とは比較にならない状態でしたし、その頃、中国は安い人件費で、”世界の工場"と言われていました。
それがある日、マスコミが「そのうち、中国は消費大国になる」と言い出したくらいから、ほんの数年(10年弱くらいはあったかも)で、あれよあれよと経済成長を遂げ、気が付いたら現在の世界2位となりました。それも、現在も成長を続けていて、今後10年以内にアメリカを抜いて1位になると予想されています。
という事は....
マスコミが騒ぎ始めた時って、もう、近未来、そうなる確率が高い事態になっているという事ではないの?
という疑惑があるわけです。
だとすれば、将来の食糧難というのは、実はコロナ禍よりも厳しい未来が待っていることを示唆しているわけで、
個人でどこまで、準備することが出来るのだろう?
という事がものすごく、気になるところです。
SDGs(持続可能な開発目標)という言葉が最近、流行ってますが、このまま同じ生活をしていたら、どこかで破綻するから、変えないといけないですよという話です。少し前は環境問題として、考えられていたのですが、単に環境破壊するかどうかだけではなく、
エネルギーの安定供給
食料の安定供給
など、環境と関係はあるものの、直結しない問題もあるので、そういう用語が出てきたのかもしれません。
もう、先進国の一部では、新車では、ガソリン車を生産しなくなっていますし、日本でも、近い将来、そうなるみたいです。
エネルギー問題は超複雑みたいなので、とうてい、私のような素人が語れるものではないので、ここでは触れませんが、食糧問題は
全世界で関係のない人はいないので、少しは触れておこうと思います。
実はエネルギー問題ともリンクしてくるみたいなのですが、二酸化炭素排出する原因のトップは実は
食肉生産の過程で出る
んだそうです。2番目が車などの排気ガスとか、化石燃料による発電とからしいんです。つまり、過剰な食肉生産をなんとかしないと、地球温暖化問題もエネルギー問題もままならないのだそうです。
しかし、だから、急に
「昆虫を食べましょう」
って言われて、食べますか?という話です。もちろん、日本でも佃煮などでイナゴや蜂などを食べる地域がありますが、特定の食文化の否定などではなく、既存の肉食に代替するという意味です。
その昔、思想的なベジタリアンの人達が
肉を食べないのは、世界的食糧難解消の為で、肉を作るのに、間接的に必要な植物(家畜の餌として)の量が膨大だから
という話を聞いたことがあります。家畜の餌は人間が食べられるものと、そうでないものがあるので、そんな単純計算出来ない(放牧している所で生えている草なんか、人間は食べませんから)のですが、
家畜が食べる草の量は半端ないので、それだけ餌を賄おうとすれば、直ぐにそこははげ山になってしまう
わけですね。そんなことは出来っこないので、遊牧民は常に移動しているんですね。でも、そんな事、全世界の畜産業農家がやれば
地球の植物はほとんど、全滅してしまう(家畜が食べられるものは)ので、
結局、専用の飼料(トウモロコシとか)を栽培して、与えているわけです。
そのため、地球で生産可能な人類に必要な食料の大半をそこで、消耗してしまうことになりますから、ベジタリアンさんたちの言い分も一理はあるわけです。
しかし、それじゃ世界中の人が肉を食わなきゃいいんだとは単純にいかないのは言うまでもありません。
まず、食肉に絡んだ産業構造(直接、間接も含めて、経済規模はかなり巨大でしょう)が大ダメージを受けます。
個人の需要も減ることは考えにくいです。
何より、栄養価の問題があります。私達の身体は必須アミノ酸という、体内で合成出来ないアミノ酸を食料として外部から取り入れないといけませんが、多くは動物性のタンパク質からしか効率的には取れないのです。
もっとも、昔から肉を食べないお坊さんの精進料理みたいに、植物性食品からもとれないことはないのですが、全世界の人が精進料理を食べるなんて、現実的ではないでしょう(必須アミノ酸は一つでも不足があると、吸収段階で最小のものに合わせてしまう)。
でも、将来、昆虫食に移行するのだけは、個人的には避けたい!
と強く、思うわけです(確かに一部の昆虫は栄養価が高いそうですが)。その為、実は世界では
人工肉の研究なども本気でやっていたりするそうです。
実際、大豆ミートなどが、製品化されていて、結構、外食産業などにも使われていたりします。ヘルシー志向なだけではなくて、本気で肉生産がヤバイので、とりあえず、やれることをしているという事みたいです。
必須アミノ酸の問題は簡単に解消されないと思いますが、おそらく将来はこんな感じになるんじゃないかなと個人的には予測しています。
昆虫食は普及しない(某大手パンメーカーもあくまで、試作段階)
代用肉、人工肉が一定程度、普及する(既に一部は流通している)
肉の生産を少し、落とす
クローン技術が一部が認可される
こういったことが組み合わされていくのではないかと思います。
クローン技術は、クローン牛を作るのではありません。それだと、肉の均質化が保証されるだけで、遺伝子が同じ牛を子牛から育てる必要があるので、大量生産出来ないのは同じです。やるとすれば、肉そのものを培養するような方法なり、
餌が少ないわりによく育つ牛を遺伝子技術で生産する
とかではないでしょうか。ただ、世界レベルで言えば、肉に限らず、十分な植物を生産することも難しくなってきている(生産出来る土の問題がある)ので、根本的解決にはなりません。
感染症でもそうなんですけど、解決が難しい問題って、本当は一番、しっかり対策をしなければならないのに、心理的には逃避してしまいがちです。それに、個人で何が出来るのか?というと、せいぜい、
食べ過ぎは辞めた方が良いかな?
とか
無駄な買い物は控えた方が良いかな?
となってしまいます。しかし、そうすると、今度は経済が冷え込んでしまうので、それが回りまわって、自分の身に返ってきてしまう、社会構造があるわけです。
そこで、
安いものを大量に買うのはやめて、少し高い良いものを少量買う(消費金額はトータルで変わらない)
とすることで、経済ダメージも少なく、持続可能な社会にするための個人で出来ることに
一応、なるかも?という感じです。もっとも、こんな単純な話ではないと思うのですが、せめて、先月の1割くらいはそのように変えれば、一人一人はとても小さな変化ですが、国民全体とか、世界の先進国の人全体とかなれば、
バカにできない規模にはなるとは思います。子供の頃、
今、ちゃんとやんないと、将来ヤバくなるんだぞ
的な啓蒙があったんですけど、現在、その将来に限りなく近づいてきて、逃避したいけど、するわけにもいかない今日この頃なわけです。
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