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フィラメント巻き直し機、V-Spoolerを作ってみた

Amazonなどでフィラメントを購入すると紙製のスプールに巻かれて届きます。

紙製のスプールは熱で歪んだり径や摩擦の違いでAMSで利用するには向きません。適したスプールに巻き直すためにV-Spoolerを作りました。

データが無料で公開されていていくつか部品を用意することで組み立てることができます。

V-Spooler: https://makerworld.com/en/models/98832


使い方

純正のスプールにはスプールコアを取り付けました。スプールは販売されているものの他に印刷用のモデルもあります。

Bambu Spool: https://makerworld.com/en/models/12683
Spool Core for Bambu Spools: 
https://makerworld.com/en/models/249566

これを付けると段差がなくなるため綺麗に巻けるようになります。また差し込み口にフィラメントの端を固定でき、使い切った時にPTFEチューブに詰まりにくくなります。

スプールをV-Spoolerに取り付けて蓋を締めました。
下の画像のように噛み合わせることでロックされています。蓋の回転方向が通常のねじとは逆方向なので気をつけてください。

上に購入したスプールを乗せてフィラメントをPTFEチューブに通します。

スプールコアの差し込み口にフィラメントを引っ掛けて数周巻き付けます。

あとはハンドルを回すか接続したドリルを付けて巻き取ります。ドリルは楽で早いものの軸が折れることがあるので私は手でハンドルを回しています。

チューブが回転に応じて左右に動くため均一に巻き取ることができます。

巻き直したらフィラメントクリップで止めましょう。

CLIPPY - Filament clip: https://makerworld.com/en/models/99478

オーブンで湿気を取ったら印刷の準備は完了です。

テスコムのオーブン

私は以下の温度で12時間のタイマーをかけて、8時間以上経っていたら取り出しています。
PLA: 45℃
PETG: 70℃
ABS: 80℃
TPU: 70℃

V-Spoolerは回転部分にベアリングが採用されていてとてもスムーズに巻き直すことができます。すべてPLAのフィラメントで印刷ができ、組み立ても楽しいのでとてもおすすめです。

組み立てに必要なもの

ここから先は部品の購入先の例と組み立て方を和訳したものです。
元記事のレンダー画像ではわからなかったり気になったところがあれば追記しています。組み立てることになった時は参考になる部分もあるかもしれません。

部品

プリント用のデータはMaker Worldからダウンロードできます。

V-Spooler: https://makerworld.com/en/models/98832

今回はFullの他にDust Protection Optionを使いました。巻いたスプールにホコリやボール紙が挟まらないようにする屋根の部品です。

プリント品以外全てAli Expressで揃えました。必要個数は上記のV-Spoolerのページで確認してください。ネジは普通のプラスネジでも組み立てられそうでした。

Ali Expressは安い商品もありますが到着まで2週間前後かかり、届かなかった場合は自動で返金されます。注文と違うものが届いた場合は購入履歴からRefundすると翌日以降に佐川急便さんが集荷に来てくれるので指定通りに梱包します。急いだり正確なものが欲しい場合は国内の通販サイトを使ってください。

道具

  • はんだごて

  • ラジオペンチ

  • ヘックスドライバー

はんだごては標準的な三角錐のこて先を使うとナットを圧入しやすいです。

組み立て

どの部品の説明かは写真か元記事を参考にしてください。

スプールクランプ

ラジオペンチでインサートナットをはさみ、はんだごてを使ってスプールクランプに2つ圧入します。難しくて位置がずれましたがそのまま熱して位置を修正しました。

固定器具を付けます。ネジとは逆方向の回転方向になっていて、これは回転中に外れてしまわないようにするためです。

M3x16のネジとワッシャーでハンドルを取り付けます。

フィラメントガイド

フィラメントガイドの部品にインサートナットを2つ取り付けます。慣れたらラジオペンチは使わない方が位置がズレにくいと思います。

二つの部品を2本のM3x8のネジとワッシャーで繋ぎます。

キャリアーの上に付ける部品の両側に2個ずつインサートナットを取り付けます。この部品は反りに弱いことに注意してください。

上側にも2つインサートナットを取り付けます。

インサートナットの上にワッシャーを載せます。これはベアリングがプラスチックに接触しないようにするためです。

693zzのベアリングを置き、M3x8のネジとワッシャーで止めます。

反対側も同じことをします。

ギア

インサートナットを写真のギアの終端に取り付けます。

拡張軸をM3x16のネジとワッシャーで取り付けます。
これは3つある部品のうち短い方を使うことに気をつけてください。

次はこの形のギアを使います。

インサートナットを取り付けます。

拡張軸をM3x16のネジとワッシャーで取り付けます。
短い方を使います。

最後のギアにインサートナットを取り付けます。

拡張軸をM3x16のネジとワッシャーで取り付けます。

作動軸の終端にインサートナットを取り付けます。

作動軸の側面にインサートナットを取り付けます。
ここは特に取り付けた面が平らになるように気をつけてください。

左フレーム

左フレームの下の部品の両端に2つずつインサートナットを取り付けます。

写真の、フレームの左前脚の部品を使います。左右で違いがあるので気をつけてください。左側は上端の形状が違い側面に右側にはある穴がありません。
4つインサートナットを取り付けます。

写真の、フレームの左後脚の部品を使います。こちらも左右で形状が違い、側面に右側にはある穴がありません。
上端に2つインサートナットを取り付けます。

フレーム上部の部品を使います。平らな面を裏にして置いた時に矢印が左に向いています。

写真のように部品を並べます。細い下部サポート部品も使います。
Desk mount optionを使う場合はここで使用するようです。
矢印のある曲面が上にある状態にします。

M3x20のネジ二つとワッシャーで両方の角を固定します。

M3x16のネジ2つとワッシャーで上部の部品を接続します。ここ以降M3x16が指定される場所はネジが長すぎて最後まで締まらないことが多く、ワッシャーを2〜3枚に増やすかM3x14を使っています。

608ベアリングを押し込みます。

上部サポートの部品を取りインサートナットを2つ取り付けます。Dust Protection Optionはこの部品の代わりに使います。

M3x16ねじ4つで上部サポートをフレーム上部に取り付けます。
通常の部品を使う場合は上下左右に気をつけてください。パーツがフレームから飛び出して見える場合は方向を正してください。

右フレーム

右の前脚の上部にインサートナットを4つ取り付けます。

左の前脚の上部にインサートナットを2つ取り付けます。

ベアリング固定器具にインサートナットを2つ取り付けます。

右フレーム中央の部品に4つずつ、両側にインサートナットを取り付けます。

モーターMODをする予定があるのならここの二つのインサートナットを取り付けます。予定はありませんが取り付けました。

608ベアリングを3つ取り付けます。

インサートナットとネジ穴が重なるようにベアリング固定器具を乗せます。

固定器具を押さえながら、逆側からM3x8のネジとワッシャーで締めます。

右前脚と中央のパーツを組み合わせてM3x16のネジとワッシャーで2箇所だけ止めます。下のネジまで止めてしまわないようにしましょう。
左脚もM3x16のネジとワッシャー2つだけ取り付けます。

フレーム上部をつなげて4箇所をM3x16のネジとワッシャーで止めます。弧の矢印が内側を向くようにしてください。

608ベアリングを2つ押し込みます。

フレーム

4つのローラーに608ベアリングを取り付けます。緩めになっているので落ちて無くさないようにします。
ふちがあるものと無いものの2種類あることに気をつけてください。

フレームを組み立てます。ふちありのローラーを上部に使うことに気をつけてください。V-Spoolerっぽさが見えはじめした!

上部サポートからねじ止めすると簡単です。4つのM3x16のネジとワッシャーを取り付けます。

M3x20のネジとワッシャーで下部を止めます。

サポートパーツの両側にインサートナットを取り付けます。

サポートパーツをフレームの間に画像のように取り付けます。M3x25のネジとワッシャーで止めます。

サポートパーツにフィラメントガイドを乗せます。

スプリングを穴に入れてギアのカムをその上に乗せます。指で押さえておきます。

カムが噛み合うようにギアを入れたら上部にこのパーツをM3x8のネジとワッシャーで取り付けます。
フィラメントガイドの上部からスライドさせながら取り付ける必要があります。

フィラメントガイドの上部に最初の方に準備したローラーをM3x8のネジとワッシャーで取り付けます。
スプリングが縮んで部品が下がるので、引き上げながら取り付けてください。
ギアをゆっくりと回転させてカムがスムーズに動くことを確認します。潤滑油を塗る場合は塗ります。私は特に塗っていません。

注意深くギアを引っ張り出すと次の作業が行いやすくなります。

全てのギアを取り付けます。この作業は少し忍耐と慎重さが必要です。印刷に時間をかけたのだしゆっくり慎重に!
中央の四角いギアには手回しのギハンドルと電動ドライバー用のアタッチメントのどちらかを使用できます。

ギアボックスカバー

ギアボックスカバーに7つインサートナットを取り付けます。3つは外側のふちが薄いので変形しないよう気をつけてください。

608ベアリングを3つ押し込みます。

ベアリング固定器具を3つのM3x8のネジとワッシャーで取り付けます。

608ベアリングを3つ押し込みます。

ギアボックスカバーを取り付けます。4つのスクリューで取り付けます。

薄いパーツの3つはM3x16とワッシャーでフレームに止めます。脚とはM3x25のネジとワッシャーで止めます。

ハンドル

ハンドルを使う場合はハンドルの端にインサートナットを取り付けます。

写真のように柄と固定器具を付けM3x8のネジとワッシャーで接続します。M3x12とワッシャーを使うこともできます。私はM3x12を使いました。

最後の工程

PTFEチューブをフィラメントガイドに取り付けます。後で調整できるように少し長めにしておきましょう。

ロックナットを二つ入れて指で押さえたまま、

M3x16のネジとワッシャーでクランプを止めます。PTFEチューブが外れない程度に、でも完全に締めてしまわないようにします。
ある程度フィラメントに抵抗を付けたい場合はフィラメントが入った状態で調整するのがベストです。私は適当にチューブが動かない程度に締めました。
抵抗を付ける場合はチューブの摩耗に気をつけてください。

この部品については、できる限り綺麗に動くようにサポートをできる限り丁寧に取り除きます。

必要であればM3x16のネジに少量のロックタイトを塗ります。赤いロックタイトは使わないでください。

十字を合わせてドライブシャフトに取り付けます。

おめでとうございます!とても長い組み立てでしたがV-Spoolerが使えるようになったはずです!

以上です。組み立てるきっかけになれば嬉しいです。

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はやしたろう
いただいたチップは3Dプリンター用品に使用いたします!