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鬼平よんで思い出す しびれるカッコよさ
図書館でお借りした一冊。
『鬼平犯科帳 決定版(七)/池波正太郎』/分類913イ7(文春文庫)/
ただただカッコいい
主人公の鬼平こと「火付盗賊改方の長官・長谷川平蔵」は江戸時代の実在の人物らしい。
昔、テレビの時代劇で見ていたあの渋くてカッコいいやつ。池波正太郎の小説をはじめて読んだ、文章から映像が浮かんでくる。
私の脳内の鬼平、中村吉右衛門が云う。
「しずまれい。盗賊改メ、長谷川平蔵の出役であるぞ」
あのエンディング・テーマ
鬼平のエンディングに流れるあのギターの調べにもしびれた。
脳内に響く、魂をゆさぶられる。
ジプシー・キングス Gipsy Kings
¡Volare! The Very Best Of The Gipsy Kings [Disc 2]
インスピレイション Inspiration
家にあるCDを探し出しリピートしながら何度も聴く。
一流の盗賊だって
盗みの美学?一流の盗賊には掟がある三ヶ条「殺さず、犯さず、貧しきからは盗らず」。
お盗め=おつとめ (と読まさせる)
そもそも、一流の盗賊のお頭というものは〔隠居金〕をためこむものではない。引退のための金は、最後の(お盗め)によって得なくてはならないのだが、そこはそれ、盗賊とても人間である。だから機会あるたびに、ひっそりと余生を送るための金をたくわえておくのだ。
一流の盗賊のお頭も配下に裏切られ金を奪われるかもしれない。どんな組織も金が絡めばゆがむ義理人情。
鬼平だって若気の至りあり
若いころの平蔵は箸にも棒にも掛からぬ「飲む打つ買う」。親友とともに盗賊になりかけたという。
「むかしよ。長谷川さまが勘当同様になって、お前の親父の忠助どんのところでとぐろを巻き、ところのもてあまし者だったころだが……遊びの金に困り果てて、長谷川さまと岸井の左馬之助さんが盗みの手つだいをやりかけたことがあってな」
これには、おまさもびっくりした。
悪党の中でも善人と極悪人がいる。若き平蔵は盗賊一味の浪人に𠮟りつけられ盗みの垢に染まらずに済んでいた。
一度その垢にそまると抜け出せない。だからこそ、そこに入ってはダメなんだ。泥棒はダメ。
読みたいものがふえていく
鬼平の酒の肴のシーンもいい。
「あぁ、うめえ」
巻のおわりに中島梓さんが『池波節』、物書きの文章、文体について解説していた。そして中島さんにとっての「よい文章」いさぎよさを語っていた。
中島梓(1953~2009)
池波正太郎(1923~1990)
他の巻も読みたいなと思う。中島さんの本も読みたい。
鬼平犯科帳、(一)~(二十四)巻まであるらしい。
読みたいものがふえていく。