仲間を"輝かせて"なんぼ
マネージャーと聞くとどんな役割をイメージするだろう?
部下を管理し、正しくルール通りに厳格にヒトを動かす人のこと?
そんなふうに考えると、店長とかマネージャーとかしたくないな、怖いな、自分には無理だな、と思う人も多いと思う。
私自身も20代半ばから、ショップマネージャー、エリアマネージャー、人事マネージャー、そしてコミュニティマネージャーなど、仕事をしているほとんどの時間を「マネージャー」としてすごしているのだけど、なりたかったわけではない。
学生時代、部活動の主将は黒歴史で、とにかく2度と人をまとめる役割はしたくないと思っていて、その上、最初に勤めたアパレル企業の先輩方はキビキビとてもカッコ良くて、とてもじゃないけどあんな風になれるわけもない。
それなのに、結局社会人のほとんどの時間をチームをまとめ、成果を出すことにコミットしているのは、「マネージャー」という役割認識が私のなかでどんどん変わっているからなのだと思う。
話を戻すと、社会人になったばかりの私は、過去の経験や素敵すぎる先輩の影響もあって、昇進はしたくない、責任なんてまっぴらごめんと思っていた。
けれども少々マンネリしていた販売員だったある日、個人売り上げを後輩に抜かれたこともあって、マネージャーに呼び出され注意された。
私は、後輩に抜かれたことで十分に凹んでいたからめんどくさいな、わかってるよ、うるさいな、という感情をモロに態度に出していたと思う。
そんな私にマネージャーは落ち着いて質問をした。
「マネージャーの仕事って何をすることか分かる?」と。
私は、「はい。お店の売上をあげることですよね、だから私が売れないと困りますよね。」といじけていった。
マネージャーは少し困った顔をしながら「確かに、和子が言うように、私の仕事はお店の数字を上げること。でも、それだけじゃないんだよ。私は、頑張っているあなたのお給料を上げることも私の仕事なの。だから、あなたがあなたらしくない行動をするなら指摘もする、スキルが必要なら指導もするよ。』と。
そのひとことでマネージャーになることを目指した訳でもないし、その日は号泣はしたものの、まだいじけていたような気もする。
けれども、ショップのマネージャーになり、人事の仕事をするようになって、いつもなにかとその言葉を思い出す。
マネージャーという仕事はヒトを管理をすることじゃない。個々の個性に合わせて、一人ひとりが能力を全力で発揮できる状態に導くこと。そしてそのチームの和でチームの売り上げ(つまりはお客様満足)を最大化すること。
「なんだこのヒトは!!!」と、自分の経験では理解できない人に出会うと、いつもマネージャーに呼ばれてバックヤードで号泣した日を思い出す。
私の基準でこのひとを思うように動かすことじゃない。どうしたらこのヒトはもっと楽になれる?と考える。
現在、企業と顧客様や関係者をつなぐ「コミュニティマネージャー」という役割をもらっている。
チーム(店舗とかエリア・組織)とコミュニティって違うのかな?そんなこともあり、読んだ本は、まさにわたしの理想としているチーム像でマネージャー像だった!!!!
コミュニティの定義
・参加者一人ひとりが、目的意識を持って能動的に活動に関わってる
・参加者同士が、対等にコミュニケーションできる
(P23)
コミュニティを「チーム」にしても同義の定義ができるのではないだろうか?
もちろん、コミュニティはそもそも主体的に参加しているだろうし、会社組織のチームは本人の意思とは関係なく配属されることも多い。
けれども、良いチーム・良い成果を出しているチームは、コミュニティの定義を満たしているのではないかと。
だとしたら、コミュニティマネージャーのあるべき姿も、組織のマネージャーと似ているのではないか。
コミュニティマネージャーの持つ価値観、すなわちコミュニティ活動に必要な」考え方を、私たちは「コミュニティ思考」と呼んでいます。
それは次の3つの要素で構成されています。(P219)
①ビジョンを明確にする…活動の目的を言葉にして、それを軸に行動すること
②仲間と対等に接する…心理的安全性をベースに対等な人間関係を構築すること
③仲間のために動く…仲間の目的のためにできることを考え、実行すること
(P220)
この本に書かれている、コミュニティ思考を体現するマネージャーは理想のマネージャーだと思う。
私にかつてストックで「あなたの頑張りを世に出すのが私の仕事」と言ってくれたマネージャーはこの3つを満たしていたし、わたしもづっとその人の背中を追いかけている。
例えばいま、店長になったばかり、エリアマネージャーになったばかりの人がいたら伝えたい。
みなさんの仕事は、上司を助けるのが仕事ではない、もちろん上司も含めて、自分のチームのメンバーを輝かせるのが役割なのだと。
実際には、店舗で勤めていれば、20代半ばで何千万、何億という年間数字を上司の巡回も少ないままに、背中にどーんとのっかてくる。
仲間が輝くために動いても、上司の多くはマネージャーのそうしたコミュニティ思考に基づく忍者的行動よりも、パフォーマンスを出した人だけを褒め称えたりもすると思う。
けれども、それは短期的で目に見える仕事。
大事なことはだいたい時間差でやってくる。
大切な仲間と大切な時間を、優しい気持ちで心豊かに「マネージャー」という仕事を楽しんで、自分のことを好きだなと思いながら楽しんで欲しい。
わたしも、マネージャーという仕事を一緒に楽しめたらなと思っています。
「コミュニティ」づくりの教科書には、マネージャーのタイプを4つに分類するマトリクスなど、ユニークな着眼点もたくさん。
後書きも秀逸なので、ぜひご一読を。
マナージャーの仕事って、もっともっと楽しめるはず。