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助けて欲しいから泣いているワケじゃない。それなのに、母は「泣くな。」という。

23歳の大人がいつまでもめそめそと泣いているのはみっともない。

泣いてどうにかなると思うな。

泣き虫の私に浴びせられたこの「泣くな」という呪いの言葉について。

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昔から泣き虫だったと思う。
水泳で、どうしてもタイムがぎりぎり追いつかなくて、泣いたり
数学のテストで27点を取って、泣いたり
部活でコーチから理不尽に怒られて、泣いたり
泣いた後はたいていまぶたが腫れて、おてもやんみたいになるので、あまり泣きたくはない。
それなのに、無意識に、自然に、涙が出てしまう。

とはいえ、その涙が嬉し涙であったり、悲しくて流す涙であったり、そういった例は意外と少ない。
映画で感動することはあっても、泣くほどではないことが多い。(動物系は弱い。)何かすごく良いことがあって、それを達成したときとか、部活を引退するときとか、あるいは卒業式とか、そういった場面で泣くことはなかった。

私の涙のほとんどは悔し涙だと思う。

これができなくて、そしてそれができない自分が不甲斐なくて、申し訳なくて、そういった自分への叱責みたいなものが溢れて止まらなくなる。

そういったとき、母親はよく「泣くな、泣いて解決するもんじゃない。」と言う。

何気ないそんな言葉。


私は今、人生で一番、どうにもならない感情と向き合い、胸がぐるぐるし、人生で一番深い深い闇の中でひっそりと息を潜めて生きている。
自分の心じゃどうにもその得体の知れない感情は抱えきれなくて、何をしていなくても涙が出てしまう。

母は言う。泣くな、

私はこの言葉にどれだけ苦しめられてきたのだろうか。


私だって、泣いている理由なんて分からない。
泣いている原因は予想はつくけど、だからなぜ自分が泣くという生理的な反応をし、その反応を自分の体がしているのか分からない。
脳では理解している、別に泣いたって何も変わらないことぐらい。
でもそれを、正論を押しつけるように言われてしまうと、どうにもならない感情でいっぱいになる。

母はデリカシーがない人間だと思う。

「なんで泣いてるの?」
「分からない、理由なんてない」
「理由がなくてなんで泣くの?おかしいんじゃないの?理由がないなら泣くな」
「理由がないと泣いちゃいけないの?」
「はあ?バカじゃないの。みんな苦労してんだよ。そんな簡単に上手くいくと思うな」

よくこんなことが言えるなと思う。

私は、母のことは嫌いではないが、圧倒的に視野が狭い人間だとも思う。
例えば、母はよくテレビに出てくる、「男の子みたいな女の子」「女の子みたいな男の子」を馬鹿にする。
「男なのに、お化粧しているなんて変なの。気持ち悪い」
そして、少数派を認めない節がある。
障害とか、そういうのを平気で、無意識に見下している。
名前のあるものでなくても、浪人とか中退・留年とか、新興宗教とかなんだっていい、おそらく母の「普通」から少し外れたものを、平気で馬鹿にする。

そして、よく比較をする。
「あの子と比べて、アンタはスタイルが悪いねえ」とか
「あの子はこんな大企業に就職できたのに、アンタどうするのよ」とか
逆の場合もある。
逆の場合は直接的な表現はしないけど、勉強のこととか大学のことは褒めてくれたりもするので、まあそういうことなんだろうなと。

それでも、それなのに、そんな母のことを嫌いになれないでいる。

母が作ってくれるご飯は美味しい。
母が「これいいんじゃない」なんて言ったものは、なんかセンスがあるように思えてしまうし、自分の選んだものが肯定されると、それが本当に正解なのだとある意味ホッとしたような気持ちになってしまう。

軽い洗脳のようなものだ。
私の性格的に、何に影響を受けやすいとか、そういったことももちろんあるかも知れないが、母と子という関係性だからこそ、最初の価値観の基準というのを、母に植えつけられてしまったのかもしれない。

そして、そんな私の信仰対象である’母’から否定されると、自分の存在自体が崩れ落ちていく感覚を覚える。
母が全てで、母が絶対、悔しくて仕方ないけど、私はこの洗脳を解くことはできない。

最近ようやく、母の異質さに気づいた。(先に述べた通りである。)

どうにかしてこれに抗う手段を探りたいと思う、
でも私には、今の私にはなにも武器がない。
巨大な存在と戦えるほどの、エネルギーも、技術も持ち合わせていない。

どうすればよいのだろうか。


そもそも「泣くことはいけないことなのだろうか?」
たぶん、そのアンサーを求めて、ここに書き記しているのだと思う、なんていうか本能的に。

自分の身の周りにはNOという大人がいる、それは変えられない。

ひょっとしたら、同じ考えを持っている人がいたら、YESと言ってくれる人がいたら、私は少し強くなれるだろうか?


突発的な怒りとかそういうのに任せて文章を書いてしまいました。
趣旨とかは特にないです。

ただ、少しの葛藤のお話でした。

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