卒業式。短編小説。
桜舞う晴れの日。高校三年生の卒業式が終了した。
卒業おめでとう。濱岸さん。
「あんたもやろー!なに言ってるん」
「ボタン全部ないやん!モテモテやな!ひとつほしかったわー!」
ごめん。ごめん。
「別れの挨拶は終わったの?」
そうだね。
「じゃあちょっと桜見ながらうちと話さへん?」
いいね。
「桜綺麗やなー!」
そうだね。君の方がもっと綺麗だけど。
「何!言ってるんー!恥ずかしくないの!?」
「それでな。君に謝りたいことがあってな」
何かあった?
「前に話したこと覚えてる?」
前に話したこと?
「ほらっ!あれやあれ!お互いに十年後。恋人がいなかったら付き合おうって話」
ああ、あれね。覚えてるよ。
「ごめん!やっぱりあの話、なかったことにしてくれる」
「ノリとはいえ簡単に言ったらあかんよな!本当にごめん!」
大丈夫だよ!気にしてないから。
本当は気にしていた。
「気にしてないの?」
気にしてないよ。
「本当に気にしてないの?」
え。
「だーかーらー!えーっと何て言えばわかるかなー!」
「十年後じゃなくて五年後に短くしない?」
五年後。五年後ね。
「えっ!?伝わってない!?」
五年後でしょ。五年後。
「だーかーらー!何でうちから言わすの!」
「十年後じゃなくて五年後じゃなくて今!」
ちょっと待って!
俺から言わせて。
濱岸さん。俺と。
風が吹き桜吹雪が舞う。
「もちろんや!」
「遠距離恋愛にはならへんで!」
ありがとう。それと。
ポケットからボタンを取り出す。
これ、ボタンあげる。濱岸さん用にとっておいた。
「ほんま、あんたカッコつけすぎやわー!」
「でも、ありがとうな」
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夢はnoteの売上でキャンプすることです。
後、ニンテンドースイッチです。
後、書籍化です。