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本を地図に旅したい

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書評というより、本を読んで自分の生活や考えが具体的にどう変わったか、みたいなことを書こうと思っています。
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2017年2月の記事一覧

考えてみたこともなかった白いワンピース問題

 小説を書いたり翻訳書を出したりしている松田青子さんのエッセー集『ロマンティックあげない』を読んだ。女子の視点からみた世界が興味深く、同じ世界に暮らしていながら知らなかったことをいろいろ教えてくれる。

 とくに考えたこともなかったと思ったのは、女子の白いワンピース問題。世の男性たちはしょっちゅう女子に白いワンピースや白い水着を着せたがるが、これは女子にとって迷惑な話だという。とくに生理のときは非

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物語の前にある「今ここ」

 タイトルからしておもしろそうな、津村記久子さんの『浮遊霊ブラジル』を読んだ。

 津村さんの本はどれもおもしろい。それは話の筋はもとより、ディテールが好きだからだろう。細かい描写が時代を反映していて、エッセーのように読める。

 例えば、この本だと、都会のコンタクトレンズ屋の店員が店の前を掃除して集めたゴミのなかに、街頭で配られるポケットティッシュの消費者金融の広告の紙が混じっているとか、地方の

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他人の笑顔に振り回されない勇気

 『嫌われる勇気』を読みだしたら、どんどん読み進めたくなる感じだった。それは、自分も課題に思っていることが書かれていたからだろう。

 アドラー心理学の考え方を解説したこの本では、哲学者とそれに挑む青年の2人の掛け合いで話が進んでいく。アドラーはユングやフロイトと並ぶ有名な心理学者だそうだ。理論の構築よりも、現実の世界で人が幸せになるためにどうしたらいいのか、どう考えたらいいのかをテーマにしていて

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自由になりたい、と思うときの罪悪感の正体

 人生において、真面目に取り組むべきものと逃げていいものをどう見極めたらいいんだろう? そんな疑問から、タイトルに興味を持って『悩みどころと逃げどころ』という本を読んでみた。ブロガーのちきりんと梅原大吾というプロゲーマーの人が対談した内容をまとめた本だ。

 読んでみた後となっては、この問いに対する答えって書いてあったっけな? という感じで、主に話されているのは、学校的な価値観ってどうなの?という

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