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親父

7年程会ってなくて、数年電話でも話していなかった父親と今朝電話した。
きっかけは昨日起床後、久しぶりに『T2 Trainspotting 』でも観るかとNetflixを流しながら、ネットをしたり、ストレッチしていた。
ネタバレになるから詳しくは書かないが、物語終盤ベグビーのシーンを観ていて、自分の父親を思い出した。

父親とは高校生ぐらいから徐々に口を効かなくなって、大学以降は同じ家に住んでいても顔すら合わさなくなった。どうしてそうなったのか、彼が家族に対して何をしてきたのかについては、彼の立場もあるのでここでは控える。

冒頭にも書いたように、最後に会ったのはおそらく7年程前。自分が結婚する時にとある理由で数年振り会って、それ以降は電話もしてなければ、メールのやり取りもしていなかった。(正確には自分が連絡しても一切何のリアクションもなかった)

映画を観終わって、「久々に電話かけてみっか、どうせ出ないだろうけど」とかけるも案の定出ない。「まぁ、そうだよな」と諦め、家族が起きてきて朝の身支度などしていると着信。画面を見ると「父」。

僕「もしもし」
父「あぁ、お前か。どうした。」
僕「あぁ、特にこれといった用はないけど。今日仕事?」
父「仕事だ、昨日まで夏休みだったけどな。連休中に仕事が溜まっていて朝から忙しいわ。んで、うんざりして煙草吸いに外出たらお前から着歴あったから。」
僕「まだ煙草なんて吸ってんのかよ。」(自分も外で煙草吸いながら話してます)
父「なんかお前、声が違うな。」(オレオレ詐欺を疑ってたらしい)
僕「今、鼻詰まってるからかもしれない。」
父「いや、違うというか、変わったな。話し方に張りが出てる感じがするよ。」
僕「気のせいだろ」

昔の高圧的な印象が無い訳ではないけど、だいぶ丸くなった印象があった。そこから数分、ここ数年のこと、息子が今月4歳になった事、今してる仕事の事、最後に会った時のこととかを話した。

そこから最近、息子が音楽に興味を持ち始めて、DAFT PUNKだったり、Chemical Brothersを気に入ってるみたと伝えたら、

父「そんな小さい頃からデジタルな音楽は聴かせてない方がいい。そーゆーのは大きくなってから聴けばいい。今はニール・ヤングとか、クレイジーホースとか、ザ・バンドを聴かせるべきだ。」

と言ってきて相変わらずだなと呆れた。

僕「そうだな。」
「とにかく、今のうちからそんな音楽好きになると将来、ロクな人間に成長しないぞ」

ここ最近、自分がよく口にする「ロック好きにロクな奴はいない」という言葉が、父親から言われるなんて思ってもなく、ゾッとして鳥肌が立った。

父「お前、昔からゲーム好きだっただろ。特にメタルギアソリッド。お前が今度帰ってきた時のためにMGSV買ったんだけど、全然連絡もよこさないし、帰ってこないから、最近俺やってんだけど、難しいな。エロいキャラ出るだろ?クワイエットだっけ?それが見たくて始めたけど、難しくて出てくるところまで進められないわ。」(俺が連絡してもシカトこいてたのはお前だろ)
僕「難しいけど、面白いゲームだよな。」
父「なんだ、お前やったことあんのかよ。」

父「それはそうと、なんで急に連絡してきた。」
僕「特に理由は無いし、しょうもない事がきっかけなんだけど、朝からトレインスポッティング観てたら連絡したくなったんよ。」
父「あぁ、昔も言ったことあるかもしれないけど、俺はトレインスポッティングはあまり好きじゃない。ユアン・マクレガーが好きになれないんだ。まぁ、若い人からあの映画が人気な理由はわかるよ。曲も良いし、格好いいからな。」
僕「変わってないな。」
父「最近だと、MADMAX怒りのデスロードはいいぞ。映画館で3回観て、Blu-rayでは少なくても50回は観て、セリフはほぼ言えるぐらい覚えたぞ。」
僕「はぁ...」

そこから父親のスイッチが入り怒りのデスロードのBlu-rayをウルトラハイビジョン何とかで、何とかの機能があるモニターで観ると女優の顔の産毛まで見えるんだぞとか熱弁し始めたから聞き流してた。

父「お前が好きそうな映画のDVD、Blu-rayもたくさんあるから今度来い。1泊ぐらいしていけ。」
僕「あぁ」

父親のことは好きではないし、まだ許してはいない。
ただ、音楽、映画、漫画、本、服、ゲームといったもの素晴らしさを教えてくれたのは間違いなく父親だ。本人は子供に教えるとかそこまで深いことは考えていなかっただろうけど、結果的に自分はそれで多くの時間を楽しんで過ごすことができたし、共通の趣味を通じて色んな人と知り合えて、今の嫁さんがいて、息子がいる。だから感謝はしている、心の底から。

そうそう、あとtappeiって名前付けてくれてありがとな。気に入ってるよ。
初めて会う人によく「良い名前ですね。」って言われること多いんだけど、その度にそのあんたの憎たらしい顔が脳裏に浮かぶんだわ。

来月の連休に父親の家に息子を連れて行くことにした。二人が会うのは初めて。初めて会うんだから、今からゲーム練習して、孫に格好いいスネーク見せろよ、クソオヤジ。


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