【研修雑感】うつ病・うつ状態に対する治療および関わり方
先日大森で開催された『地域で支える医療講座』。
第2回目のテーマはうつ病。topicはざっくり以下。
■うつ状態からうつ病を見分ける
■自殺者の推移とグラフ
■うつ病当事者をサポートするにあたっての家族の対応とは?
■新型うつについて
この中で特に家族対応原則の再確認と新型うつについての対応確認は医療者やメンタルヘルスケアの基本として多くの人が押さえておくと良いと感じた。
当事者サポートにあたっての家族対応は?
●原因探しをしない
●励まさない
●プレッシャーをかけない
●感情的にならない
●無理に特別なことはしない
●大きな決断は先延ばしに(自責感からの退職や離婚など)
●受診に付き添う
●一喜一憂しない
講師の荒井医師曰く、「このあたりは従来のうつ病の方への対応として、世間的に周知されてきたものも増えてきた」とのこと。
ただ、受診に付き添ってもらえる場合には、
●本人の主観と家族から見た客観、どちらも主治医にとっては大事だからこそ、本人の話は遮らない。
●主治医に意見を求められたら「私は〇〇だと思う」という返し方をしてほしい。
※受診しているのはあくまでも本人という意識を持つ
※「そうじゃないでしょ」「そうじゃなくて〇〇でしょ」など割り込んで喋らない、喋りすぎに注意!
という臨床あるあるの共有も。
また、
●寛解と再燃を繰り返すので長期戦になる(完治という言葉はうつ病の場合には不適切)
●例えば抗うつ薬が処方された場合、効果発現まで数週間と時間がかかる
ということを踏まえて、厚労省から出ているゲートキーパー養成研修用テキスト(HP内に動画あり)に目を通して、病気の理解と基本的な対応を知っておくのもひとつですよね、とのこと。
新型うつについて
さて、満を持して新型うつ。
もう面白かったことだけ箇条書きで抽出していくけど、
そもそも、
『新型うつの名称や定義については学術的な検討は十分に行われてはおらず、その対応については混乱が見られている』
※新型うつ、という名称自体がマスメディア由来のもの
『ただ、臨床場面においては、若い人の鬱はニュータイプの鬱だな、という実感は少なからずある』
という、のっけから結構驚き。
学術的検討、まだ不十分だったのか…。
但し、その傾向と対策についてはある程度固まってきた部分がなくはない、といったところで。
●安易にうつ病と告知しないことが重要。
※本人が『うつ病だから仕事ができない』と考え自己愛性格を磨いてしまう可能性がある。
●リワークプログラムなどの集団訓練場面のものが大事
●本人は苦しんでいるのでプライドを傷つけず褒めることが必要
などは押さえておいた方がよいとのこと。
もう少し詳細にすると…
新型うつに対する職場での対応
●拒絶しない(本人の話に耳を傾ける)
●達成した時には褒める
●小さな成功体験を積み上げられるように工夫
●命令調の指示はマイナス面の指摘は控える
●遅刻や欠勤に対しては就業規則を客観的に伝える
●産業医や主治医との連携を視野に入れる
などなど、だそう。
でも、ぶっちゃけると、「職場は治療の場ではない」
だから、「これを職場で実践するのはとても難しい」
だからこそ、診断後の休職期間中にリワークプログラムを取り入れて、
●本人に、なぜ休職したのかについて文章にしてもらう
つまり、病気になったのは環境要因もあるがそれだけではない、ということ。
新型うつの人々は、自分の考え方や物事の判断の仕方、乗り越え方が上手ではない。だから、環境側の要因をすべてにするのではなく、自分側の要因を知り、それに対処する方法を身につけてから復帰する、というプロセスを踏むことが大事。
だからこそ、前述のように休職期間中に集団訓練場面が必要。
休んだから復帰して、仕事場面を通じて復帰、は無理がありますよと。
確かに、この話を聞きながら脳内に浮かぶ新型うつ(であろう)方々…
あぁ、そうか、と腑に落ちるところが少なくはない。
うつ病リワーク研究会、なるものもあるし。
職場で悩んでいる同僚の方、管理職の方々がこの投稿を見て少しでも肩の荷がおりますように。