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架空インタビュー「芝居論」

A 役を演じる上で意識していることはありますか?

B いかに自然体でいられるかということですね。
演じるという行為は基本的に不自然なんですよ、その中でもいかに自然体を演じきるか、これは一生の課題でもありますね。

A 自然体とは具体的にどういうことでしょうか?

B 例えば、朝起きてご飯食べて外に出る。これらの行為は普通人々は無意識的に行う日常の行動ですよね。
その行為たちに介在するものは何もなく、外からの目線を感じるわけでもない。
でも、僕たちはそういった行動をなりきってお芝居する。そうするとどうしても外部の目線が介在してしまうわけです。
そこの違和感、見る人々に「嘘の日常だな」と感じさせてはいけないわけです。そう感じさせないのが「自然体」ということであると思っています。

A なるほど、今回の作品では自然体を特に感じられたのですが、特に意識した点はありますか。

B そうですね。
今回はある意味ハマり役というか、日常の僕の姿に彼は特に近かったんですよね。
台本を読んだ時に、「これ俺じゃん」ってのがあってなんか「究極の自然体」でいることができた、みたいな。

A ハマり役であったんですか。
確かにBさんは今回演じた「洋画に出てくる動物の吹き替え」という点では日本では右に出るものはいないと感じました。

B そうですか?ありがとうございます。

A 今回は特に「犬」を演じるシーンが多数ありましたが、いかがでしたか?

B そうですね。
犬は僕の十八番みたいなもんで、多種多様な犬を演じてきましたが今回の映画に関しては非常に難しかったんですよ。

A それはどういった点で?

B 犬ってのは顔が3つあるんですよ。
一個に見えるでしょ。でも実際は三つあるんですよ。それぞれの「エウ」を持っているんですね。

A 「エウ」とは?

B あっ、犬の鳴き声です

A 実際にやってもらってもよろしいでしょうか?

B 特別ですよ?
「エウ」「エウ」「エウ」(全部同じ)

A 素人目には全部同じように聞こえますが?

B んー、微妙に違うんですよね。
「エウ」は基本100万種類あるといわれています。この三つの「エウ」をベースにしながら、細かく派生していくんです。

A 全部同じってことなんですね。

B まあ、これは演じる側の問題であって視聴者には伝わらなくてもいいんです。先ほど僕が話した「自然体」を追求するとこうなっていくのです。

A そうですか。
先ほど、「今回演じた役は僕の日常の姿に近かった」とおっしゃられていましたが、普段は犬なんですか?

B そうですね。
基本的には役作りも兼ねて、山で野犬に囲まれて生活しています。

A すごい!l
犬と意思疎通ができるようなるんですか?

B だいたいできますね。
犬は実は結構日本語通じるんですよ。
なんでこっちが「エウ」とかいっても全然通じないですけど、「お酒飲もうよ」とか誘うと結構昔話とか語ってくれます。

A 犬と酒飲んでるんですか?
いろいろそれは大丈夫なんですか?

B まあ、最近は野犬が生活する環境が破壊されているってのもあって、どんどんその数は減っていますが…

A 絶対お酒のせいだと思いますけどね。
あともうひとつ疑問に感じたのですが、洋画の動物の鳴き声をわざわざ日本人が吹きかえる必要性ってあるんですか?
同じだと思いますけど…

B ああ、それですか。
よく言われるんですよ、鳴き声なんて海外と日本、全部一緒じゃないかと。

A まあそうですよね。

B でも、それだと日本の犬が洋画を見ている時に意味がわからないじゃないですか!

A 犬が映画見るんですか?

B そりゃみますよ。犬だもの。

A 犬だものの意味がわかりませんが…
ストーリーとか犬がわかるんですか?

B ストーリーは理解していないです。
単純に海外の犬たちが喋るだけで大爆笑なんです彼らは。

A 面白外国人感覚で犬たちは海外の犬を見てるわけなんですねー
わかりました、最後にこのインタビューを見てくれている読者に向けて一言お願いします。

B 「エウエウエウ」

A 犬向け!

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