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怪しげな長距離バスと、高村光太郎の道程|タペストリー交換日記 014

ゆうこさん

月日が経つのは早いっていつも自覚していても、最近はさらにスピード感が増してるよ。なんだかいつもあっという間だ!って言ってる気がしてて、逆にこの先、時が経つのが遅いって感じることなんてあるのかなあって思う。

だいぶ長い間お待たせしてしまった交換日記。すっかりお庭のキウイの花が咲く時期になってた。待っててくれてありがとね。

この間聞かれたのは、「思い出がするする出てくる曲」だったよね。うーん、、いっぱいありすぎる!私は音楽に紐づいた思い出が結構たくさんあって、特に大変だった時期や、移り変わりの時期とかは、音楽の出番が多くなる。この時の事覚えておきたいなって思うときがあると、日記書くのもそうだけど、音楽聞いたりして記憶に刻みこんでる節があるんだよね。

一つ最近思い出したのが、15年前にアメリカに来たときのこと。

インターネットで調べて、現地見学もせず、何度かのメールでのやり取り、数回の面接のあとに大学院に来たときのこと。バックパック一つ持って、東海岸のボストンから長距離バスのグレイハウンドで6時間くらいかけて、バーモント州の山の中にたどり着くまでの道のり。

あの時の「よし、行くぞ!」っていう決心の味とか、それでも日本を去るとき喉の奥に感じたつーんとした感覚とか、東海岸の夏のじっとりとした湿気とか、本当にこの山のどこかに学校があるんだろうかという心細い感じとか。そういうのをすごく思い出すのが、レゲエのボブマーリーの曲。当時付き合ってた人にもらった曲を、バスに揺られながら聞いてたんだよね。グレイハウンドバスの中も怪しげな人が多いし、ルートも分からないし、停留所に名前もないし、とりあえず目的地に無事に着けばいいけど・・・と思いながら笑。

昔、国語の教科書に載ってた(と思う)高村光太郎の『道程』ってあるでしょ。その時「僕の前に道はない。僕の後ろに道は出来る」っていう一節を思い出して、バスに乗りながらまさにこれだなあと思ってクスっと思ったわけ。いま曲を聞きながら書いてて、そんなことをするすると思い出してきたよ。

私、それこそいろいろ思い出す音楽を集めたパーソナルなプレイリストがあるの。一つ一つの曲に思い出がぴたっとくっついてる。

それを聞くとね、私、あんな事もこんな事もあったから今ここに辿り着けたんだなあっていう、ちょっとした達成感と、今までの道筋への感謝の気持ちを感じる。

そんな自分の『道程』的なプレイリスト、これからも曲がどんどん追加される予定よ。

今日ゆうこさんに聞きたかったのは、物事を決心するときって、どうやってそれの決断が良かったかどうかって知るの?ということ。

庭に時々来るアライグマと一緒にお返事待ってるね。

またね!

けい

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