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【父と娘】忘れたくない記憶の記録〜最後の10年編

それから父はしばらくして家庭菜園をはじめた。

はじめは自宅の庭先でこじんまりと。
その日自分たちが食べる分だけ。
葉野菜やゴーヤなどからはじめ、少しずつ身がつき収穫し食べることができるようになると、これまた少しずつ自宅の縁側まで畑を拡大していた。
この頃から釣りの機会が減り、畑に忙しくするようになった。
気がつけば、近所の野放しの畑を借り、農家っぽいことを始めた。この時植えたのはさつまいもやじゃがいもや大根だったかと。
さつまいもはネズミかモグラにやられたりで、なかやか手強い収穫となったが、息子と一緒に掘る姿がとても嬉しかった。畑の側溝で亀を発見し、樽に入れ、しばらく庭で様子をみるも、やはり自然に戻そうと元いた場所へ戻したり。そのひとつひとつを写真で残していたのはすごく良かったとすごく思う。

この頃にはすっかり父と私は雪解けを迎え、父のやることなす事、子供に戻ったかのように息子と三人で畑仕事を遊びながら手伝っていた。夏は水やりをしながら水浴びしたり、収穫して美味しいね、すごいねと作った野菜を食べたり、まるで何事もなかった、いや、帳消しになるくらい不思議と馴染んで、取り戻すかのような濃い時間を過ごしていた。

暫く借りていた畑をやめ、別の親戚の畑を借りる事になりまた新たな畑を始めた。そこで始めたのはバナナ。バナナの木を畑いっぱいに植え、大事に大事に育て、やがてとても立派なバナナになり収穫を迎えた。はじめこそ、ご近所へお裾分けとしたが、何のきっかけか忘れたがそのバナナを出荷し売ることを始めた。

ここから父の畑仕事が加速していく。
一番勉強して一番ハマったのではないだろうか。
今まで見たことのない父の姿を畑を通してこの後父として、人として、知ることになる。

泣きそうなので、今日はこの辺で

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