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命のスープ~22章~

合同企業説明会にスーツを着て向かったがやはり心は動かなかった。
福祉の道に進みたいという私の気持ちは変わらなかった。

もちろん、一般の企業で福祉の目線からアプローチするのも良いと今になると思う。
就職し、学生実習の指導をはじめると「この実習の経験を元に、障がいをもった人が楽しめる沖縄旅行プランを作りたいです!」と言って終えた学生がいて嬉しかった。

就職先は一本に絞った。
母のいう、しっかりお休みの取れる福利厚生の充実した福祉職。

今思うと無謀である。
しかしながら、ありがたいことに大学時代ボランティアをしまくっていたおかげで「行くとこなかったら、うちにおいで。」と言ってくれる方もいた。

国家資格取得のため、勉強を積んだ。
1年生の講義の最前列を陣取り、復習した。
最前列に一緒に座る男友達はいつもギリギリに来る。
朝からコーヒー豆を挽いてタンブラーに入れて持ってくる。
彼のために開けておいた席に置いた荷物を避けながら、「今日もコーヒー?」と呆れて尋ねる。
この時、私はコーヒーの魅力が解らなかった。
一口目は熱すぎて啜れず、毎回火傷をしていた。

講師をつかまえては、質問をしまくった。
小さい大学で、国家試験対策室という名前でいくつか部屋が解放されていた。
友人たちと寒い校内でカップ麺をすすりながら、
「じゃじゃん!!問題です!」と互いに問題を出しあった。
私の好物は、ポテトチップスである。
その中でも秋冬限定のバター味がたまらなく好きだ。
スーパーのポテトチップスを買い占め、貪り食いながら、ニキビを顔に作りながら課題に向き合った。

試験の日はなぜだか例年大雪になる。
前乗りして試験会場近くのホテルに泊まる。

緊張に弱い私は、試験の合間の昼休みに吐き戻した。

解答を終え、帰路につき、インターネットで公開される解答速報を見ながら自己採点する。
その日はもう何も口にできなかった。
試験の合格発表は3月までわからない。

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