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地方移住でしたいことが「散歩」だった件

 近い将来、田舎暮らしというか、地方で半自給自足暮らしをする予定。現在候補となっているのは香川県。

 なぜ香川県なのかというと、まず夫が西日本に住んでみたいという強い希望をもっているというのが第一。そして、海があり山もあり、災害が少なく、気候が温暖で、人々がオープン、四国の中では関東へアクセスしやすい(高松からなら新幹線でも4時間くらいで行ける)というのがその他の理由。

 昨年、香川県の移住フェアへ足を運んで、ネットでちょこちょこと物件をチェックしていて、先週、夫と香川県さぬき市へ赴いた。

 4泊5日の初日。さぬき市内の畑付き古民家物件を見学。家自体は明治時代築らしく、修繕は必要なものの、古民家好きにはたまらない物件だった。畑もありなんなら農機具もあげるみたいな感じで特に夫は気に入っていた。しかし私は自分がそこに住むイメージが湧かないのだった。理由はわかっていて、そこが思ったより「町」だったからだ。畑は多いし、遠めに山の緑もあるのだけど、半径3kmくらいの範囲なら今住んでいる家(横浜市の端っこ)周辺のほうが田舎っぽいし自然が多い。

 物件を見学したのが1日目で、その後4泊。さぬき市の移住者に話を聞いたり、山の方にいったり海の方に行ったり、ネットにあるめぼしい物件を外観と立地だけでもと見に行ったり、かなりがんばって活動していた。が、しっくり来ないなまま最終日に。「本当に香川県でよいのか?」という疑問も湧きはじめ、夫にそんな正直な思いも話して、次は第二候補の京都でも物件を探してみようという話になっていた。京都は夫のお父さんの出身地でもあり、夫の友人が京都の亀岡に空き家を持っているなどの縁もある。

 5日目の最終日は、さぬき市の隣の東かがわ市がどんな雰囲気か車で見に行ってから、琴電長尾線(最初の物件があるのが長尾駅近く)に乗ろうという話に。

 東かがわ市の何もなーい里山の景色をドライブ後、瀬戸内の海近くへ出る。ふと車窓から見えていた高松市方面にある半島が気になり、そちらへと車を走らせる。そこは、庵治町というエリア。半島は山になっていて、そこからの眺めがまさに絶景だった。見渡す限りの海という場所もあるが、山の傾斜が緩やかな一帯には、畑と瓦葺き木造の古い家もぽつぽつ。そこから見える海は青く美しいだけではなくて、遠目に船が行き来しする様子がなんともかわいらしい。周囲の緑も相まってまるでジブリの映画の世界のようだった。無意識に、周辺を散歩したり、自転車でぶらぶらしたりしている自分のイメージが湧いた。「ここは、いいな」と、夫もその景色に感心していた。うなずく私。

 「世の中にはこんなに美しいところがあるのか!」と思える絶景に感動したことは(景色に見とれていて海の写真がほぼ撮れていなかったのが、絶景だった証拠)もちろん、住んでみたいという動機になり得るのだが、私が自分の住処として重要視しているものが何か、この場所を見てはっきりとわかった。それは、「散歩がしたくなる場所」であること。

 移住といっても、人それぞれ、大事なもの、なくてはならないものが違うと思う。人との触れ合い、農業ができること、子育てがしやすい場所、利便性、海、食材が豊富、etc……もちろん一つじゃないなだろうし。私だってやはり、古民家に住むことは捨てがたい。

 でも、今回見た庵治町の「ここは最高だ」という絶好の住みたい地点にある家だったら、古民家でなくてもいいかな、と思えた。もちろん誰にとっても絶景のパワーは偉大だろうけど、でも私の場合、家からどれだけ絶景が眺めることができても、散歩ができないと意味がないと感じる。そこは、散歩をするにはうってつけの環境だというのが一番の惹かれる理由なのだった。

 最初は、町の中の物件を見てピンとこなかった理由を、うまく言語化できなかった。前述したように「思ったより町っぽい」「もうちょっと自然があることろがいい」という感じで。でも、ポツンと一軒家みないた秘境に住みたいわけでもない。かといって、緑や山が近い田園風景の中の家を見ても「それなりにいいかな」という感じはあるものの、自分が住むイメージは湧かなかった。

 それはなぜかというと、つまり散歩するイメージが湧かなかったからなのだ。

 散歩できる立地の家を見つけたい。

 まずは庵治町についてしばらく情報収集してみようと思う。

 

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