マリオの1-1でクッパの倒し方を考えてる人たち

マリオの1-1でクッパを倒す方法をあれこれ考えても無駄だ。なぜなら初代マリオでは「斧に触れると端が落ちてクッパを倒せる」という設定だからだ。たぶん1-1でどう倒すか考えても「いや絶対無理だろ」と思ってピーチを諦めるのが最も合理的な選択になる。

マリオではとりあえず全員が前に進む。進んでいたらクッパが出てきてよくわからないまま倒す。

しかし現実では多くの人が1-1でクッパの倒し方を考える。こんなアホなことないだろうと思う。ではなぜ、マリオでは前に進めるのに現実では1-1でクッパの倒し方を考えてしまうのだろうか。そこにはゲームマインドの欠如があると思う。

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ゲームは物事をシンプルにしてくれる。「シンプルに考えよう」とは詰まるところゲーム的に物事を考えることで、限られたリソースと決められたルールの中で利益を最大化するにはどうしたらいいかを考える方法論になる。

東大生にはゲーマーが多いと言われる。効率的に試験勉強ができないと１０時間勉強している数十万人の受験生の中で勝ち上がるのは不可能だからだ。勉強だけでなく恋愛や就職でもゲーマー脳を発揮して効率的にコインを集めていく。

ゲームと現実の違いは、現実では「次はこのフラグを取れ」と決められたゴールがないのに比べてゲームでは適切なガイドがある。ゲームより現実が難しいと感じるのは複雑すぎてプレイすること自体が難しいからだと思う。複雑なパラメータから自分に必要なパラメータを取捨選択して自分なりのフラグを作る処理が必要。これを「整理」と呼ぶ人もいる。

整理の仕方（ゲームの作り方）にはいろいろあるが概ね次のとおりだろう

1. 一般的に何がゴールとされているかを知る

2. 自分に向いているゴールを決定する

3. そのゴールを達成する一歩手前の状況を調べる

4. さらに手前、さらに手前を調べる

5. 来月くらいまでに達成できるまで調べたらプレイする

ここで重要な点が2つある。1つはゴール設定が難易度が高いということだ。通常のゲームではゴールは動かせない。ボスが嫌いだからと言って別のボスを倒してもエンディングまでいけないが、現実のゲームではエンディング自体が死というゲームオーバーなのでどのボスを選んでも良いことになっている。そもそも自分がどんな価値を重視しているかも完全にもわからない中でゴールを決めるのは難しい。が、これをとりあえず「まあ、ゲームだし」と思ってできるかが重要。これがただの「目標設定をしよう」との違いで、ゲームだからという口実で肩の力を抜いて目標設定ができるのがゲーム思考の良いところだ。

もう1つの点が、3、4で「自分で考えない」という点だ。自分で考えても情報が足りないのでゴールに辿り着けない。先ほどのクッパの倒し方の例でも上げたが、どうしたらゲームをクリアできるか、どうしたらその手前の状況に行けるかは全て経験者に聞くべきだ。絶対に自分で考えないことが重要。

ゲームで捨象された部分はリスクになる。ゲーマー脳で試験をクリアした人間が恋愛で失敗するのはここで、取るべきフラグとそのゲームの状況把握に失敗すると間違ったフラグを取ったりステージが上がらなかったりする。ゲームをプレイすること自体にはたけてるのに勿体無い。

どの競争にもゲーム的側面がある。例えば就活にも競争相手がいて、リソース（お金・人脈）が限られてて、ルール（新卒有利・大卒有利）がある。これまでの経験でいうと物事のゲーム的側面は極端に再現性がある。例えば攻略本。マリオで全てのステージが載っていて最短距離が一目瞭然、隠しアイテムもリストアップされている。そうした攻略本的なものがどの分野にも必ずある。全てが載っているわけではないが、絶対してはいけないことや、ショートカットや定石は勉強でも就活でも恋愛でも必ずある。

逆にゲーム的に物事を捉えられない人の行動はゲーム的に人生を設計している人からすると理解できない。目の前にコインが置いてあって、コインを取れば数字が増えるのに取らない。そういう行為を最初は不思議に思って、最終的には呆れてしまう。その人は自分がプレイしているゲームを認識していないのだ。

ゲーム的に物事を捉えられない人も年収、友達の数、結婚してるかしてないかなどのパラメーターは割り振られる、ある種大きく捉えれば人生は強制参加型のゲームだといえる。そのパラメータに意味がないことがゲームたる所以で、コインの数に意味がないように、年収にも大した意味はない。結婚してないからと言って人格を否定されるいわれはない。ただ「〇〇というゲームにおいてはあなたはこの順位」というだけだ。

換言すると「自分はいま何のゲームをやっているのか」を常に意識しないとただただ時間を浪費してフラグ（結婚、昇進etc）を1つも取れない、コイン（年収、幸福感etc）も1つも取れないという状況に陥る。

普段からどんな状況でも「このゲームのコツは何か」を考える癖をつけるとゲームマインドが育つ。ゲームマインドは人生を楽にするのに決定的に役にたつ。

というわけでゲームマインドのすすめでした。