読めるか読めないかじゃない、サマー・リーディングリストを作るか作らないかだ
こんにちは、たぬき画伯です。
普段は絵を添えますが、今回は文章と写真で、サマー・リーディングリストについて投稿します。
サマー・リーディングリストのみならず
私は例年、お盆や、年末年始の休暇には、読み応えのある本や漫画を選ぶ。通勤時間に詰め込むように読む本と違って、お休みの時は、心身ともに読む余裕がある。だから、物理的にも内容的にも重い紙の本を選んでもいい。
今年のお正月は、ミシェル・オバマの「マイ・ストーリー」を読んだ。穏やかな緑がかったブルーを背に、友達になりたくなるようなミシェルの笑顔が素敵な表紙の本。もちろんハードカバーだ。
内容も良かった「マイ・ストーリー」の感想についてはまた後ほど語るとして、「あの夏は難しいあの本を読破したよね」「お正月は親戚の対応で疲れたけど、心に残る漫画を読めたな」なんて、シーズン毎に選ぶ本はゆくゆく思い出の本となることが多く、選びがいがある。
今年は外に出かけられない夏。家でただ漫然と過ごすのも、もったいない。せっかくだから、読書をしよう!ということで、サマー・リーディングリストを(ちょっとした私のメモとともに)作成。
文学、エンターテイメント、実用書…とジャンルを問わず選んだ本。今年の夏のいい思い出になるといいな。
俺の歯の話
バレリア・ルイセリ(著)・松本健二(訳) 白水社
書評でこの作品が紹介されていた時、私は思わず小さな声で呟いた。「俺の歯の話…」そして、あまりの語感の良さに、もう一度唱えてみた。「俺の歯の話」
有楽町駅前の三省堂で購入した「俺の歯の話」。鮮やかなブルーに歯が躍る書影。
【あらすじ】
主人公はハイウェイこと、グスタボ・サンチェス・サンチェス。フメックス社のジュース工場で警備員の仕事についていたが、ひょんなことから危機管理のセミナーに参加、ある講座で妻となる女性に出会う。しかし、妻の意向で警備員の仕事を辞めて、競売人(オークショニア)の道を目指すことになるのだが…
「へえ」「ふーん」「そんで?」とまあ、文学作品に対峙した時の反応はこんな感じ。いつもだ。
文学作品は、基本、わからない。たいていの作品が「こういうことを言いたい」というところを、アンダーラインやハイライトで教えてくれない上に、まどろっこしい文章で人を煙に巻く。「はじめに」で要約してくれないし、大切なことのはずなのに、一度しか書かない。古典もモダンな文学も不案内さは同じ。
気合を入れて読み始めるが、背伸びしてわかったフリをして終わるか、首尾一貫「?」な作品たち。何度、文学を手に取れば、学ぶのか…?
しかし、「俺の歯の話」が目を引いたのは、内容ではなく、その題名、そして表紙。
この「俺の歯の話」だけは、わからなくてもいいのだ。だって、カバーはインテリアとしても映えるし、題名の語感もいい。
だから、読み終わった後、理解できなくとも私は満足しているはずだ。
少女奇譚/少年奇譚
川奈まり子(著) 晶文社
一時期、狂ったように実話怪談を読み漁っていて、その中でもお気に入りとなった著者の実話怪談集。怪談を読んでいると、おのずと好みが出てくる。「怖いけど、好きではない」とか、「怖くはないけど、なんか好きなんだよね」とか。
正直、怪異現象に対する興味は私の人生の主軸ではないし。でも、そのおかげで、純粋にエンターテイメントとして怪談を楽しめるという利点もある。
実話怪談は著者自身や体験者の怪異をもとに得られた話だ。
この少年少女についての怪談集は、著者のもとに寄せられた怪異を、体験者が「少女」や「少年」だった際に起こった出来事としてまとめている。
「少女」「少年」で一冊ずつ本が出せるほど、彼女の元には体験談が寄せられるわけだから、人気がある方だ。
実話怪談は、体験者の主観がメインとなってしまう。中には首を傾げたくなるような「気のせいでは」という話もある。
そこを「怪談としていかに読者に読ませるのか」は、「作家の腕」だ。
本当は、怖さは問題ではなく、センテンスのリズムとか、集まってくる怪異の話の種類とか、「好み」の部分で彼女の怪談集が好きだ。専門書や学術書みたいな理解する必要のある本もあるだけに、元々理解する必要のない、100%好みで選べる実話怪談、いい。
彼女が出した本は、怪談系に限れば、かなり読んでいる方。私の定番。このシリーズも、お盆の時期に蚊取り線香を焚いて、読むのを楽しみにしている。
彼女作品の中で父親との夏の思い出をかいた「迷家奇譚」もおすすめ。自身の興味がどこから来たのかルーツを探る旅でもあり、父と娘の話でもある。
新体系 中学数学の教科書 上・下
芳沢光雄(著) 講談社・ブルーバックス
困ったことになった。高校を卒業して以来、数学から目を背けていたせいで、基本的なルールを忘れしまった。
数学が必要な資格の申し込みをしたばかりなのに…
これについては何も言うまい。休みの時に、本腰入れなければ。高校編もあるのだから。
そのほか…
雑誌「ポパイ」がサマー・リーディング特集だった。さっそく購入して眺め回してみると…雑誌内で紹介されていた「夏服を着た女たち/アーウィン・ショー」「男らしさの終焉/グレイソン・ペリー」「麻薬書簡/W・パロウズとA・ギンズバーグ」は、面白そうだったので読みたい。
おわり
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