狸と猫

一千年前から歌われる「百人一首」を「今」のことばと絵で紡ぎます。 百人一首とは千年前のJ-POPでラブレター!

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一千年前から歌われる「百人一首」を「今」のことばと絵で紡ぎます。 百人一首とは千年前のJ-POPでラブレター!

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00.私が一千年前の百人一首をラブレターのように作る話

こんにちわ。 グラフィックデザイン、ビジュアルアートディレクターの狸です。🐈‍⬛ https://www.instagram.com/orie_021313/ グラフィックの仕事をしながら、オリジナル百人一首を作っています。 ことばと絵で一千年前の「今」を歌う、をコンセプトに、一千年経っても風化されない人の感情や情景を、「今」のことばに描き下ろし、そこからイメージするイラストを一首ずつ描いてます。 ちょっと待ってちょっと待って。 そもそも百人一首ってなに?難しいよ!となる

    • 百人一首20番/この身が滅びようと君に会いたい物語

      こちらの歌も、またまた悲しい恋の歌。 この身が滅びようと、あなたに会いたい気持ちを強く表した一句。 恋人に会えない=心も体も捨てたも同然だと言い切るこの歌にとてつもない依存性を感じてしまうところだが、またまたこの気持ちも分からんでもない。 愛を覚えれば覚えるほど、恋人を求めれば求めるほど、 まるでこの身が爆発していくように粉々になっていく様をイラストで描き起こしました。 ボロボロになった体を繋ぐのは、魚の骨・包帯・少しの花・彼女を支える中心には猫を。 体がスカスカにな

      • 百人一首19番/君がいない物語。こんな恋はしたくない!

        この歌は、恋人に会えない時間をまるで「精神と時の部屋」のように長く感じてしまう詩。 あなたに会えない時間をどう過ごせと。 時計の針の秒針が世界に静かに響き渡るような静かで長い長い時間。 チクタクチクタクと、 わたしが泣こうが喚こうがお構いなしにあなたがいない時は進んでいく。 あなたに会えない私は息を吸って吐くだけの獣になってしまう。という「あなたなしでは生きていけない」演歌のような歌だと思った。 この歌を絵で描き起こす時に、恋人に会えない時間を、抱えきれない悲しみの心

        • 百人一首02番/おはよう世界!

          この歌は、とにかく気持ちがいい。 「時の推移」を表した意図の歌で、春を超えて夏を迎える季節の移ろいを謳っている。 季節を「色」で表現するなら何色だろう?と思った時、 春を黄色の炎だと思った。 そして夏はやっぱり清々しいほどの青!のイメージ。 黄色の炎から青い風へ移ろう日々は、毎日が生まれ変わりで毎日全てが新しい。 お日様の下で毎日変わりなく生活しているが、本当は同じ空気なんてものは二度と訪れることはなく、毎秒「時のグラデーション」の中に私たちは生きている。 02番.歌の

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        00.私が一千年前の百人一首をラブレターのように作る話

          百人一首04番/点と線と宇宙の話

          この歌は、富士に降り積もる雪の美しさを謳っている。 田子の浦とは富士山が見える静岡県の海側の土地で、そこから見える美しい富士山の景色を歌っている百人一首。 この歌を調べた時、とにかく「静かな青と白」のイメージだった。 青い海から見える青い富士山と、それを繋ぐ白い雪。 吐く息も白く、息づかいさえ響き渡るようなしんとした世界。 とても静かな世界の中で優しく燃える白い雪。 そこに降る雪は宇宙で砕け散った星のように降り、点が線になり毛布のようにそっと富士を包み込む。 04番.歌

          百人一首04番/点と線と宇宙の話

          百人一首05番/鳴く鹿と君を呼ぶ私の歌

          この歌はただどうしようもなく恋人を求める愛の歌。 山奥で雄鹿が雌鹿を求めて遠吠えをあげる。 それはとても本能的で力強く、みっともないくらいに声をあげている。 そこまで本能的に相手を求めることが羨ましいと思う。 自分もそのように赴くままに想いを叫びたいと思う。 せめて誰にも聞こえないように、せめて君には届くように、雄鹿🦌の鳴き声に紛れて、私は静かに君の名を叫ぶ、愛の歌。 もみじを踏んで、パキッと音が鳴るたびに、遠くから本能の声が聞こえる。 獣はとても本能に対してまっすぐ

          百人一首05番/鳴く鹿と君を呼ぶ私の歌

          百人一首16番/僕と君の旅の話

          旅に出る。 私はここから旅に出る。 これは主語が「私」の場合の話。 私が旅に出た後の「君」も、私がいない場所で新たな旅が始まる。 全てのことに対してそうだけど、自分の世界なのだから、自分目線で物事や事柄を捉える。至極当然のことだと思う。 だけど、それと同時に相手もまた相手の目線でその事柄の物語が発生する。 手紙を書くから寂しがらないでよ、なんて、旅に出る側の気持ちで、留まった「君」も旅に出ている。 もはやどちらが旅に出ているのか分からない。 でもお互いに相手を想ってい

          百人一首16番/僕と君の旅の話

          百人一首15番/君に渡す心と花

          こんにちわ。狸と猫です。 ことばと絵で一千年前の「今」を歌う、をコンセプトに、一千年経っても風化されない人の感情や情景を、「今」のことばに描き下ろし、そこからイメージするイラストを一首ずつ描いてます。 15番の歌を聴いた時、ただ純度100%に、「君」を想う愛の歌だと思った。 この歌に嫉妬や自己肯定感の低さ、愛の裏返しなどを感じられないと私は思いました。 こんなにまっすぐな歌も百人一首にあるんだ、という印象。 「君」だけを想い、花を渡した時の笑顔が見たいなぁ。 喜んでく

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          百人一首03番/枕2つ抱きしめて眠る長い夜

          夫婦や恋人になったからといって、1人ぼっちで眠る長い夜もある。 この歌は山鳥の夫婦になってもそれぞれ別々で眠りにつく習性と、山鳥の尾の長さを長い長い夜に喩えた一千年前の恋の歌。 03番.歌の意味と解釈03番.狸オリジナルの解釈とことばこの絵札には1匹の山鳥に対して枕を2つ描いた。 枕は2つあるのに、眠りにつくのは1人ぼっちで、この長い長い夜をあなたなしで眠れるだろうか、という愛しい人を想う詩。 1人で眠るにはあまりにも長い闇の中で、せめて星空と一緒に眠ることで寂しくならな

          百人一首03番/枕2つ抱きしめて眠る長い夜

          百人一首28番/孤独の最果て

          百人一首28番目の歌は、無彩色の厳しい寒さにいるお話。 突然だけど、私は宇宙🪐がとても好き。(それは科学的より運命論的に好き!) 宇宙の一部になるかのような満天の星を目指したのに、辿り着いたところがまるで孤独の最果てのような場所だった旅のお話です。 その時見た景色を歌番号28番の和歌で描き下ろしました。 とにかく日本の端っこに行きたい!と思い、日本の北の最果て、知床を目指して旅へ出た。 その時に見た日本の北東の最果ての景色がと28番の和歌が重なり、そこで覚えた感情を

          百人一首28番/孤独の最果て

          百人一首08/私は私の領域展開

          こんにちわ。 狸と猫です🐈‍⬛🐈 私が作る百人一首は、一千年前の和歌を作った100人の彼らの歌を読み解き、噛み砕き、「今」の感情に置き換えてことばと絵に描きおろしています。 百人一首との出会いや、それらがラブレターのようである!という熱い熱い想いは是非こちらを読んでください 今日は8番の喜撰法師(きせんほうし)の和歌を、どのように捉えて噛み砕き、絵とことばに描きおろしたことについてのお話しを少し。(読んでくれたら嬉しい!) この歌は現代の今でも共感する人は多いんじゃない

          百人一首08/私は私の領域展開