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米国で発見された新しいへニパウイルス
北アメリカで初めてへニパウイルス属(henipavirus)のウイルスが見つかったというニュース
アラバマ州の野生のトガリネズミから見つかったキャンプヒルウイルス(Camp Hill virus)という新規のへニパウイルス。へニパウイルスのグループにはオーストラリアのヘンドラウイルス(Hendravirus)やインド・バングラデシュやマレーシアで見られるニパウイルス(Nipah virus)があって、どちらも致死性の高いウイルス感染症のため公衆衛生的に関心の高い感染症です。
参考にした論文はこちら。
アラバマ州のキャンプヒルという場所で、野生のトガリネズミから同定されたウイルス。野生のトガリネズミはNorthern short-tailed shrew (Blarina brevicauda)といい、日本語ではブラリナトガリネズミというらしいです(Wikipedia)。
ブラリナトガリネズミは14gくらいの小さな動物で視力が弱いらしい。食べ続けないと死に至るという。視力が悪いので超音波で餌を探す動物。毒を使って獲物を仕留める。
トガリネズミというがネズミよりもモグラに近いらしい。日本にもトガリネズミ科の動物は生息している。
ブラリナトガリネズミ
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へニパウイルス属と今回のキャンプヒルウイルスの系統樹。へニパウイルスは多くの宿主があって、トガリネズミ以外にもウマやコウモリにも感染する。またいくつかのへニパウイルスはヒトにも感染する。
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一番下にあるLangya virus(ランヤ(狼牙)へニパウイルス)は数年前に中国で発見されたへニパウイルス。これはヒトにも感染して症状を発症して、こちらも中国のトガリネズミからもウイルスが見つかったと報告されている。
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中国のランヤウイルスについては以前にも記載してます。
今回新たに発見されたキャンプヒルウイルスのヒトへの影響はわからないけど、他のへニパウイルスがヒトへ感染して病気になるものがあることを考慮すると、今回のウイルスがヒトに感染する可能性はあるかもしれません。
しかしこのトガリネズミが人の生活圏で出会うことはほとんどないとのことです。
調べれば調べるほどウイルスって出てきますね。