今年の夏を締め括った最高のイベント『Kufsteinerland Radmarathon 2023』
みなさんこんにちは。
連日の夏日で暑いですが元気にお外を駆け回っているKです。
今回は前回の話の間に参加した人生で初めてとなるオーストリア🇦🇹でのイベントの話を書きます。
お時間あれば最後までお付き合いください。
今回のイベントの場所、それとちょっと注意点
今回参加したイベントはクフシュタインと呼ばれる小さなで町で行われました。
ミュンヘンから電車で片道約1時間半程で行く事ができます。
ドイツはここ最近、新幹線や特急列車を除く全ての交通期間を乗り放題で利用する事ができる49€チケットという便利な切符が出回っています(読めなくてもとりあえずリンクは載せておきます)
今回参加した会場はオーストリアなのでドイツではありませんが、隣接する地域は範囲内という事でクフシュタインまではこの切符を利用して格安で行く事ができます。
しかし電車に自転車を乗せる際には自転車乗車券が必要になりますので参加予定の方はご注意ください。
コース説明
今回のコースは約120km、獲得標高は1800mです。
短いコースは95kmで1160m上ります。
上り区間は全部で11ヶ所、合計距離は25,95kmです。
思ったより短いですね。
しかし明らかに上っているはずなのにナビ機能を備えたサイクルコンピュータ(サイコン)が「これは上り区間じゃないよ」詐欺をしていたので実際の所、体感では『50kmは上ってんじゃねぇか?』っていう感覚です。
上り区間が増えるレースではサイコンが平気で嘘を付くのなんとかしてほしいです。
今回の参加メンバー
今回私と一緒に参加してくれたのはNaoくん、Takaさん、後藤くん、そして小野くんです。
KEIMASAですが、誘いはしましたが「ヒルクライムレースなんて絶対出ねぇ」と言われてしまったので今回は不参加です。
私は今回も愛車のROSEのX-Lite 06と共に参加しました。
実は最近名前を付けたんですよ。
車体の色は黒ですが、私が着る服の色を変えればどんな色にでもなれるという事から『色(しき)』という名前にしました。
これでまた少し愛着が湧きました。
皆さんも愛車に名前、付けていますか?
受付からイベント当日までの流れ
まずはNaoくんと共にミュンヘンの駅へ向かいTakaさんと後藤くんと待ち合わせをしました。
(小野くんは仕事の都合上移動日夜に遅れて到着)
今回のイベントでは山を何度も上るという事でしたので現在使用しているシマノ社のスプロケット11-30Tではなく追加で11ー34Tを持ってきました。
しかしそれを入れ替える工具を持ってきていなかったため駅まで私を先導してくれたNaoくんにもう1度自宅まで戻ってもらい工具を取ってきてもらいました(お手数おかけしました)
出発時刻ギリギリまで現れなかったのでかなりヒヤヒヤしました(本当にお手数おかけしました)
なんとか間に合いクフシュタインへ出発です。
途中で何かしらのイベントがあったからか、大勢の乗車客が乗ってきて車内はごった返しましたがなんとか無事に到着する事ができました。
仮に何かあってもどうしようもないくらい人がいたので半ば諦めて景色を楽しんでいました。
駅から受付会場までは自転車で1kmもない距離だったのであっという間に到着しました。
ゼッケンを受け取ったらホテルへ向かいます。
なんと受付会場からホテルまで500mもありません。
そしてスタート地点から100mの場所に位置する超好立地なホテルでした。
自転車の保管場所は地下の荷物置き場。
このイベントの為に自転車用スペースを用意してくれていました。
毎年このイベントの為に用意してくれるのでしょう。
そしてお待ちかねの宿泊部屋です。
まずトイレ、シャワールーム別です。
これは助かりますね。
そして寝室がなんと3部屋(各部屋2人)もありました。
更に驚いたのがNaoくんとTakaさんが寝る部屋にはサウナ室まで備わっていました。
極め付けはキッチンです。
なんと扉に鍵がかかっていて入れませんでした。
おそらく掃除の方が鍵をかけたまま忘れてしまったのでしょう。
観光も兼ねて町中を歩いて回り、夕ご飯を食べた後は遅れてやって来た小野くんと駅にて合流しました。
寝る前には自転車を保管してある部屋にて最終調整です。
次の日のレースの為にスプロケットを交換する事にしました。
Takaさん協力の元、スプロケットを頑張って取り外してホイールの部分にはめている時です。
Taka「ねぇ、このスプロケット小さくない?」
K「えっ?本当?…あっ、これ11−28Tだわ」
なんと11–34Tだと思ってもってきたスプロケットは実は11–28Tでした(数字が小さいほど重い)
これを付けて上れるほど私の足は強靭ではないので泣く泣く11–30Tを付け直しました。
Takaさんは大爆笑です。
ちなみに帰った後に確認しましたが11–34Tは自宅にありました。
もしTakaさんが気付いてくれなかったら全く気付く事なく11–28Tを装着して走行し『なんでこんなにキツいの😰』って事態になる所でした。
助かりました。
自転車には写真撮影認識用のナンバーと計測チップを自転車のフォーク部分(前輪をはめるところ)に取り付けます。
会場でもらった結束バンドが短すぎてみんなでその作業に苦戦していました。
部屋割りですが私は後藤くんと同部屋で小野くんは1人で中間に隙間があるダブルベットで寝ていました。
イベント当日
朝は5時半起き、まぁ仕事行く時と起きる時間は変わらないのでそこまで苦ではありませんでした。
朝ごはんを食べた後、のんびり準備を済ませて会場へ向かいました(20秒で着きます)
小野くんは前日受付をしていなかったので急いでゼッケンを受け取りに行っていました。
今まで参加して来たイベントは5000人や10000人が当たり前でした。
今回のイベントの参加者は約600人程。
それ故に上位人はほぼセミプロと元プロが混在しているそうです。
まるでうさぎさんと競争するたぬきの気分です。
ですが、出走前からまぁ良い具合の緊張感でした。
7時半過ぎ、レースがスタートします。
今回のレースの注意点
今回のレースですが、今までの大規模なレースとは違い参加者人数が少ないために町全体を封鎖するのではなく一部の道を優先して走行する事ができるレースです。
なので基本的には右側車線のみの走行です。
対向車線からは一般車両が普通に来ます。
当然後ろからも車両が私達を追い抜いてきます。
前もって聞いていたので特に気になりませんでしたし追い抜いてくる車の方々がかなり車間距離を取ってくれたので下り坂さえ気をつければ全く気になりませんでした。
レース開始から山のオンパレード
レースが始まり少しずつ集団が動いていきます。
NaoくんTakaさん、それと小野くんは早々と前の集団へ行ってしまいました。
私は3人の走りに合わせると後半に脚がもたなくなるのを懸念してすぐに集団から離れます。
出走して500mもしないうちに早速上り始めました。
速い集団はどんどん前へ行ってしまいましたが『無理をしない』を優先して走行したのであっという間に離されてしまいました。
このイベントですが、坂道に強い人は尋常じゃない程強いので男性だろうが女性だろうが当たり前のようにすごい勢いで坂道を攻めていきます。
後ろを走行していた後藤くんでしたが最初の山のカーブにて確認することができました。
しかしその後は離れてしまったので再開はゴール後でした。
思いもよらない小規模レースの罠
28km地点、この時点で私の周りにはほぼ誰もいませんでした。
この後、何人かの参加者とはすれ違う事になりますが今回のイベントではほぼ単体走行でした。
前を走行している人を追いかけながら走行していた時です。
警備員の立ち位置が悪かったからか参加者がいきなりコースから外れます。
慌てて観客と係の人が止めに入って事なきを得ましたがそれに釣られて私もコースを間違える所でした。
今回のイベントでは何ヶ所か同じルートを通ります。
その際に警備員がコース誘導をしてくれるのですがやる気のないスタッフもいて、そういう場所に限って間違いやすい場所だったので少し大変でした。
36kmから48km地点、中々の斜度がある上り区間を何度か走ります。
サイコンには『ここの上り区間は1ヶ所だけ』と表記がありましたが明らかに上り下りが激しく早速嘘をつかれて怒っていました。
平均勾配は5,9%と表記されていましたが終始11%でした。
お前いい加減にせぇよ(笑)
坂を上っては下るをひたすら繰り返します。
周りには本当に誰もいません。
しかしカメラマンは所々にいるので『個人でカメラマンを雇って撮影してもらいながら走行をしているお金持ち』な気分で走行していました。
キツすぎるんですけど
約59km地点から67km地点、今回のイベントの中で最も距離が長かった上り区間に入りました。
一気に約400m上ります。
距離は約8km、平均勾配は5,7%ですが完全に嘘です。
ずっと10~12%の坂でした。
一体どこに6%程の坂があるのか問いただしたい気分でした。
左側は絶景ですが坂がキツすぎてそんなの見ている余裕がありません。
余程キツかったのか先に走行している他の参加者達に追いついてしまいました。
K「これはあかんよ、やってられん」
7月に参加したエタップの坂道よりキツくて思わずぼやいてしまいました。
周りに邪魔な人がいないだけまだマシです。
サイコンの機能の1つである山の斜度のキツさを表記してくれるクライムプロですが、ずっとオレンジでした。『お前、後で覚えてろよ』って心境でサイコンを確認していました。
更にここで新たな問題が発生します。
サドルからバキバキと異音が鳴り続けて走りに全く集中できません。
いつからなのかは忘れてしまいましたが走行している際にずっとどこからか異音が聞こえていました。
最初は何かが車体に当たっているのかと思っていましたが前日に現地入りした際に後藤くんから「もしかしてサドルからじゃないですか?」と言われて確認したところ音の原因が判明したのです。
平坦区間ではそこまで鳴り響きませんが上り区間になるとずっとバキバキ鳴り響いていて徐々にイライラしてきます。
まぁ人間慣れると不思議なもんで気にならなくなるんですけどね。
むしろ前の走者に追いついた際にも鳴り響くので他の人に申し訳ない気持ちで走っていました。
すまぬ!
ひーひー言いながらもなんとか山を上り終えて次の山へ向かいました。
思わぬ邪魔に怒るに怒れない
山を下山し切った72km地点。
順調に1人旅を続けていると、思いもしない存在に行手を阻まれてしまいました。
🐄 🐄 🐄 🐄 🐄 🐄 🐄 🐄 🐄 🐄 🐄 🐄 🐄 🐄
なんと広場から畜舎へと移動している途中の牛さん達に道を塞がれてしまったのです。
何頭いたのかは覚えていませんが結構な数の牛さん達がのんびり歩いていました。
K「どうすれば良いの…?」
近くにいる飼育員のお兄さんに聞いてみました。
K「これ、通っても良いですか?」
「あ?良いよ。通りな」
通って良いとの事でしたので目の前を歩いていた2頭の牛さんの横を通る事にしました。
まずは右の牛さんの右側から通り抜けられないか試みます。
K「失礼します〜」
🐮「もぅ〜」
K「あっ、右はダメですか〜」
ダメだと言われてしまった気がしたので次は左の牛さんの左側を通ろうとします。
K「じゃあ、こちら側を…」
🐮「もぅぅ〜」
K「あっ、こちらもダメですか〜」
こちらもダメだそうです。
じゃあ間を取って中間を…
🐮🐮「「もぉぉ〜ぅ」」
揃ってダメだと言われた気がしてしまい完全に通る事ができなくなってしまいました。
K「あら〜、どうしましょう〜😅」
お手上げです。
「何してんの?」
気づけば私の後ろに先程追い抜いた2人のお兄さんがいました。
K「牛さんに道を塞がれてしまいまして🤤」
「こんなの普通に通れば良いよ」
そう言って何事も無かったかの様に先程私が試みて失敗した牛さん達の間を進み始めます。
「もー」と何か言っていた気がしましたがお兄さん達は気にする様子もなく通り過ぎます。
このチャンスを逃したら当分進めないと判断した私も「失礼します〜」と言いながら通り抜ける事にしました。
最後まで後ろから「もぅー」と何か言っていましたが、いかんせん言葉がわからないので返事のしようがないのです。
牛さんって話しかけるとちゃんと返事してくれるんだなーと思いながらなんとか走り始める事ができました。
今イベントの1番の山場
牛さん達を通り過ぎたらすぐに上り区間に入ります。
距離は約1,96km、合計上昇距離は210mですが平均勾配はなんと11%です。
400m進んだらそこから頂上までずっと13~14%の坂道です。
あまりのキツさに立ち漕ぎをしても足が動きません。
K『これ、あかんやつや』
このままペダルが回らない状況が続くと倒れると判断した私はとうとうガードレールに手をついて1回止まる事にしました。
K『これは頑張ればなんとかなるって坂じゃないな。ちょっと一旦休もう』
顔を上げると先程私を追い抜いたお兄さんの1人が物凄い蛇行走行をしながら坂を上っていました。
K『うん、無理しないで上ろう』
この後は3回ほど走っては止まってを繰り返しなんとか上り切る事に成功しました。
14%の坂道は本来ならちょっと『キツいな』くらいの坂道ですが度重なる坂道で脚もかなり疲労していたようです。
ようやく現れてくれた平坦区間
先程のお兄さん達には完全に置いて行かれてしまったので1人で下山します。
坂道が終わり平坦区間になった頃、後ろから5人組のローディーに追い抜かれました。
今回のイベントでようやくまともに抜かされた気がします。
後ろについていっても良いとの事でしたので87km地点から再び上り区間に入り休憩所がある96km地点まで後ろに引っ付いて走る事にしました。
やっぱり複数人で走ると速いし楽ですね。
3人でずっと先頭を回していたので「変わりましょうか?」と問いかけるも「やっときた平坦区間だから走らせて」と断られてしまいました。
忘れた頃にまた来る上り区間
95km地点、再び上り坂が現れます。
距離は2km程で斜度もそこまでないので周りのペースで上りました。
しかしやぱり上りとなるとお世話になっていたグループの方々が遅すぎるので96km地点の休憩地点で水をもらったのち先に出発させてもらいました(お世話になりました)
この後はゴール地点までまた1人で走り続ける事になります。
サイコンの緩やか詐欺再び
ゴールがある町中へ近づいてきた109km地点。
サイコンのクライムプロは斜度3~6%の黄色を表記していました。
しかしどう見ても10%はある坂を上っていました。
K「お前(サイコン)ほんといい加減にせぇよ💢」
この時、サイコンをぶん投げそうになりましたがそれを我慢した私を褒めてあげたいです。
一瞬だけの上り区間とはいえ『もう終わるだろう』と思っていた矢先の上りはやっぱりキツかったです。
最後も結局1人でゴール
最後の山を上り切った115km地点。
『レースのコースにここ設定して良いの?』ってくらい静かな通りを走ります。
楽しそうにおじいちゃんおばあちゃん達がサイクリングをしている横を走り抜けるのでとても申し訳ない気持ちでした。
しかしながら警備員も「後少しだ!」と応援してくれたのでペダルを踏む力がより強くなりました。
そして119km地点、ようやくスタート時に通った道が見えてきました。
K『ようやく終わってくれるか。もう疲れちゃったよ』
なんて考えていましたが身体は思った以上に元気でした。
きっと充実感の方が高かったのでしょう。
最後の最後で直前で抜かしたおじさんに抜き返されてしまいましたが気になりません。
ようやくゴールゲートが見えて無事にゴールする事ができました。
このイベントは少人数なだけあってか、イベントDJの方がゴールした参加者の名前を呼び上げてくれます。
国籍も登録しているので外国人の場合は国名も言ってくれたりします。
私がゴールをした時ももちろん「日本から来た…」で読み始めてくれたのですが何故か名前が読めなかったのか「青いサムライ」と言われてしまいました。
なんでやねん。
タイムは4時間26分ですが、途中止まっていたので経過時間は4時間29分でした。
ゴール後はいつものお祭り騒ぎ
ゴールをした直後はいつもの様にお祭り騒ぎのイベント会場を楽しみました。
先にゴールをしたであろうNaoくんとTakaさん、小野くんと合流した後に前日受付の際にもらったパスタ引換券を持ってパスタをもらいに行きました。
パスタを食べつつ4人でレースの話をします。
聞けば3人とも4時間10分程で私より20分程速かったそうです。
後藤くんが到着するのを待ちつつ途中の坂道の話だったり、牛さんに行く手を阻まれてしまった話などをして大いに盛り上がりました。
しばらくしたら無事にゴールした後藤くんも合流です。
彼もアルミフレームながらも最後まで本当に頑張ったと思います。
帰りの電車の中でみんなでカーボンフレームについて解説という名目の集団での催眠をかけていたのでうまく感化されてくれていれば来年には新しいカーボン自転車をお迎えしている事でしょう。
何はともあれ、5人無事に完走する事ができて大満足です。
本当に楽しかったです。
最後に
今年の夏は富士ヒルから始まりエタップ、ニュルブルクリンク、ハンブルク、そして今回のクフシュタインと5つのイベントに参加しました。
どれも大変な思いをしましたが本当に楽しく、そして素晴らしい仲間達と共に最高の経験をする事ができました。
こんなに楽しかった夏はドイツに来て初めてかもしれません。
次のイベントは今年のレースシーズンを締めくくるミュンスターランド ジロです。
最後まで無事に終わることができるよう、また気を引き締めて走り続けます。
ここまでお付き合いいただき毎度のことながら本当にありがとうございます。
今までは大規模なイベントにしか参加してきませんでしたが今回初めて小規模のイベントに参加しました。
どんなものかなと思いながら参加しましたが私が思っていた以上に楽しく、そして今までのイベントでは体験できない経験を積む事ができました。
正直、何が楽しくて山を上るレースに参加したんだ?と思うこともあります。
しかし平坦レースと違って要所要所に自分との一騎打ちをする場面が現れると言うのは今までにない経験でした。
もちろんエタップでも同じ経験はしましたが周りに大勢の参加者がいる中での事だったので『みんな頑張っているからうちも頑張ろう』と言う気持ちが強かったのは事実です。
しかし今回のイベントでは文字通りほぼ1人旅の中での自分との戦いになったので現状の自分の実力を知る上では大きな収穫でした(途中負けてましたが)
本当に楽しかったイベントだったのでまた来年も参加したいと思っています。
もちろんその時には11-34Tを忘れずに持ってきます(笑)
皆さん、大きなイベントに出るのも楽しいですがこういう自分と戦えるイベントに参加するのも思った以上に楽しいですよ。
本当にお付き合いいただきありがとうございました。
ではでは👐
追伸
参加した4人共本当にお疲れ様でした。
そして最高に楽しい時間をありがとうございました。
また来年、同じ舞台で走りましょう。
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