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おばけなんてこわくない
今月で2歳半になる息子が最近とくに気に入っているのが、“おばけ”である。
保育園では童謡の“おばけなんてないさ”の歌詞が教室に貼り出されていて、保育園でブームなのかもしれない。
息子は歌も大好きで、今までに覚えた歌は“きらきらぼし”と“かえるのうた”の二曲なのだが、“おばけなんてないさ”の歌詞は今までの曲とは違ってけっこう難しい。
歌のリズムは分かるが歌詞をまだ覚えていない息子は、「おばけなんてないさ」という歌詞の最後の「さ」しかまだ歌えない。それでも私が歌うと体をゆすって楽しげだ。
YouTubeでもおばけの歌の動画を見たいとしきりにせがんでくるので見せてやると、必死に歌を口ずさもうとしている。
初めは「よほど歌が好きなんだな」と思って見ていたが、保育園でみんなと同じように歌えるようになるため練習しているのかもと思うと、急にいじらしく思えてくる。
おばけの歌の練習が終わったら、“ねないこだれだ”の出番だ。
昔からある絵本で、私なんかは恐怖のあまり泣き叫びながら母にこの本を捨ててくれと懇願したことがある、子どもにとっては恐怖の書物である。
息子はそこまで大袈裟ではないが、「こわいねぇこわいねぇ」と真剣な面持ちでしみじみとつぶやく。
大人の私がいま見ても、最後におばけの国に連れて行かれてしまうところは恐怖である。
そうやってひとしきり怖がったあとは、寝室におばけがいないかを入念にチェックして息子は眠りに落ちる。
母は夢にまでおばけが出てこないことを願うばかりだ。