ハッピーバースディ トゥー ママ
子育てをしていてうれしい涙が出る瞬間というのは、私は本当に少ない方だと思う。
数えてみたら、息子を産んでからなんと年に一回のペースでしか泣いていなかった。
もしかしたら私の感動は錆び付いてしまっているのかもしれない。
そんな私に人生で3回目の涙の瞬間がやってきたので、今日はそのことを記録しておこうと思う。
子どものことではじめてうれしい涙を流したのは、子どもを産んだ翌日の病室だった。
産んだ直後は痛みと興奮でまったく泣ける状態じゃなかったが、次の日の夜にその瞬間をしみじみと思い出していると、だんだん出産の喜びがわいてきて涙が出てきた。
次はまだ息子がハイハイをしているころで、寝顔を見てなんてかわいいんだとホロリ。
そして3回目がつい先日訪れた。
YouTubeをじっと見ていた息子がなんの前触れもなく、私にニコニコ笑顔でハッピーバースデーの歌を歌いはじめたのだ。
あれっと思ってすぐに、今日は保育園のお誕生会の日だったと思い出した。
保育園では一ヶ月に一度、その月がお誕生日の子のためのお誕生会が開かれる。
おいしいごちそうが出るので息子も楽しみにしている会だ。
それが今日だったのだ。
どんな会が開かれているのかは実のところ知らない。でも、このハッピーバースデーの歌はきっとみんなで歌うんだろう。
その歌をきっと息子は今日はじめて歌えたんだろう。
ちょっとほこらしげな顔をしている(ようになんとなく見える)。
途中から私も歌声をかさねる。
ハッピーバースデー ディア・・・
「○○ちゃん」
息子の名前を呼ぶ、すると、
「ディア ママ〜」
ママのことを歌ってくれたのだ。
その時、息子の成長という感動がぶわっと私の中をかけめぐり、思わず涙がこみあげてきた。
息子が歌ってくれたことの驚きよりも、不意にくる感動に驚いてしまった。
こんな日常のことにこんなに心を動かされる感情がまだ残っていたのだ。