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ビジョン・ミッション・バリューをすごく真面目に作ったのでプロセスを全公開します-ビジョン編-
はじめに
はじめましてこんにちは!
コーチングサービスmentoで取締役COOをしております、たんげです。
💡記事の内容まとめ
・mentoのビジョン・ミッション・バリュー新しくしました
・策定までのプロセス、ワークショップのアジェンダ、使用した資料・議事録を全公開します
・これからビジョン・ミッション・バリューを決める方はぜひ参考にしてみてください
mentoのビジョン・ミッション・バリューを決めました
弊社は4/6の資金調達リリースに伴い、社名を株式会社mentoに変更し、コーポレートブランドの一新、それに合わせて、ビジョン・ミッション・バリューを決め直すこととしました。
正確に言えば、「ビジョン・ミッションはあるけどもっと良い言葉を探したいな〜」「バリューも決めたいけどもう少しメンバーが増えてきてからのほうが良いかな〜」と、少しあとまわしにしながら全力疾走してきたシード期でした。
しかし、今回のシリーズA調達をきっかけに「いましかない」と、がっつり向き合うことに決めました。
結果、本当に最高のものができあったと思います。
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※詳細はmento Company Deckをご参照ください
でも、策定プロセスがすごい大変だった
最高のビジョン・ミッション・バリューが出来上がったのですが、策定するまでのプロセスは楽しくもあり、本当に大変でした。
今回、特に大変になった要因としては、
・ビジョン・ミッション・バリューを一気に決めた
・期間が1ヶ月半ほどしかなかった
・経営陣だけでなく、社員、採用内定者、主要な複業メンバーを含むチームみんなの想いをのせられるようなプロセスを選択した
なども上げられますが、会社の骨格となる言葉を決めるのはいずれにしてもとても労力がかかることですし、それだけの労力をかける価値があるものだとも感じます。
そこで、これからビジョン・ミッション・バリューを検討される方のお役に立てばという想いで、策定プロセス、ワークショップのアジェンダ、使用した資料・議事録を全公開しようと思います。
最適なプロセスは会社ごとに違いますが、少しでも参考になれば幸いです。
事前準備①:プロジェクトチームをつくる
まずは、以下のメンバーでプロジェクトチームを作りました。
プロジェクト進行:たんげ(COO)
最終決裁:きむら(CEO)
メンバー:mento全社員、採用内定者、一部の複業メンバー
コピーライター:長廻悠人さん(業務委託)
デザイナー:篠原友希さん(業務委託)
ビジョン策定のプロジェクトを始めるに際し、①誰にプロジェクト参加してもらうか、②どのような役割分担をするか、③プロのコピーライターに発注するかが論点になりました。
①誰にプロジェクト参加してもらうのか
mentoを支えてくれるメンバーの想いがきちんとのせられる言葉をつくりたいという想いが強かったので、議論には可能な限り広く参加してもらう方針を取りました。
本来であれば、mentoに関わってくださる方全員、登録コーチの皆さまの声も聞きながら決めたいという想いもありましたが、日程調整の現実感やオンラインで議論できる人数の限界なども踏まえ、結果、15名前後のメンバーに関わってもらうことになりました。
②どのような役割分担をするのか
広く議論に参加してもらいたいという方針を貫く中で、プロジェクト進行や決議のプロセスには特に工夫が必要でした。複業メンバーも多くいるので、皆で話せる時間はとても限られています。
そのためにチーム組成の段階で決めたグランドルールがこちらです。
✔プロジェクトや会議の「進行」を担保する役割を立てる。交代制も可。
✔皆でとことん話合い、最後は最終決裁者としてCEOが決める。納得できないときもちゃんと言う。
このあたりはかなり手探りでしたが、進行役の交代制などはとてもおすすめです。
③プロのコピーライターに発注するか、社内で案を出すか
mentoは、コピーライターにチームに入っていただくことにしました。
✔会社の原動力になる且つ社外に対しても魅力が伝わるパワフルな言葉を発明したい
✔客観性を持って意見をくれる人をチームに入れたい(言葉選びが内輪にならないようにする)
✔提案される案に対して、メンバーがフラットに意見できるようにしたい
結果、自分たちだけでは絶対につくれない最高のビジョンを策定することができたので、この決断をして本当に、本当に良かったと思っています。
事前準備②:課題整理のための個別インタビュー
次に、プロジェクトメンバーに個別インタビューを行いました。
🍋個別インタビューの目的
-全体で議論する前に、各メンバーのなかで意見が整理・言語化されている状態をつくる
-強く意見が割れている内容などを把握し、全体で議論すべきフォーカスポイントを決める
-全体議論のなかで、メンバーが「伝えきれなかった」「受け取ってもらえなかった」を感じることが無いようにする
個別インタビューの中で実際に使用した質問リストはこちらです。
【個人のビジョン・価値観】
・あなたがmentoで成し遂げたい夢や目標はなんですか
・いままでmentoで働いていて、一番シビレた具体的なエピソードはなんですか
【会社としてのビジョン】
・mentoが民主化した先にはどのような”誰”が”どんな状態になっている”顔が浮かびますか
・それは一言で言うとどんな社会ですか
・その社会においてmentoという組織が存在する意義・意味はなんですか
・その社会においてmentoが仮想敵においているものはなんですか
・それは100年後も同じか、変化するものがあるとしたらなんですか
・それらを達成するために、mentoが絶対に譲るべきではないと思う信条はなんですか
【創業時に設定したビジョン・ミッションへの想い】
・いまのビジョン・ミッションを見て、共感する部分、良いと思うこと
・いまのビジョン・ミッションを見て、追加で議論したいと感じること
・いまのビジョン・ミッションを見て、未来の仲間が感じると思うこと
・いまのビジョン・ミッションを見て、顧客が感じると思うこと
【運営上の懸念】
・ビジョン策定に向けて、気になっていることや知っておいてほしいことはあるか
議事録用に事前に用意したスプレッドシートがこちらです。
後日オフサイトで議論の材料にしたかったので、内容は匿名で記載し、設問ごとの回答の違いが分かりやすいようなフォーマットを目指しました。
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ステップ①:全体でのオフサイトを実施
ここまでの準備を経て、ようやく全体でのオフサイトを行いました。
オフサイトの目的とアジェンダは下記のとおりです。
🍎キックオフミーティングのゴール
最高のビジョンを開発するために、3つの問いについて徹底的に意見を出す
1.私達はどんな課題を解決し、どんな価値を届けたいのか
2.それによって、どんな社会を実現したいのか
3.そのためにmentoが果たすべき役割とはなにか
当日の資料
キックオフミーティングより有意義な場にするために、以下の3点に気をつけました。
①長時間やりすぎない
オフサイトは丸一日行うケースも多いと思いますが、個人的には3時間が一番丁度いいと思います。集中力が切れ、疲れている状態で話しても生産的な内容にならないので、「短期集中!終わったら皆でランチしよう!」くらいでやるのがおすすめです。
②グランドルールを冒頭に読み上げる
ビジョンは正解があるものではないので、どうしても特定のメンバーの意見を大きく扱ってしまったり、自分の意見を小さく扱ったりが起こります。
いかに心理的安全なチームであっても、参加者全員が、自分の主観やこだわりを気持ちよく場に出せるようにするために、冒頭に改めてグランドルールを宣言するのはとても重要だと感じました。
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③クリエイティブメンバーもオフサイトに参加
コピーライターとデザイナーの二人は業務委託契約ではありましたが、「担当者からのオリエンテーション→提案→納品」という形を取るのではなく、プロジェクトメンバーとしてオフサイトに参加をお願いしました。
mentoの雰囲気や想いのニュアンスを直接感じてもらった方が良いクリエイティブになると考えたからです。その後のコミュニケーションを円滑にする上でも、とても良かったと思います。(長丁場に参加してくださって感謝です!)
④"場"の熱量を大切にする
事前準備で大まかな流れは用意していましたが、当日は進行を無視してでも、場の熱量にあわせ、広く、自由に、思いっきり議論することを優先しました。オフサイトでは「全員が熱量を持って意見を出し切ること」がとても重要だったからです。
▽当日のホワイトボードがどんどん乱筆になっていく様子。
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※ビジョン・ミッション・バリューの定義については諸説ありますが、今回は『ビジョナリー・カンパニーZERO』の内容を議論のたたき台として採用しています。
ステップ②:伝えたいコンセプトの収束
オフサイトで発散させた内容を元に、改めて伝えたいコンセプトを収束させる必要があります。コピー制作のためのブリーフィングに落とし込めるように、コピーライターとすり合わせを行っていきました。
①オフサイト内での合意事項の共有(mento→コピーライター)
▽当日の内容を改めてテキストで整理したものです。この状態でもまだ長いですが、ニュアンスが損なわれないことを優先しています。
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②伝えたいコンセプトをさらに収束(コピーライター→mento)
▽長廻くんがまとめてくれたものをもとに、slackでさらにディスカッションをしていきます
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ステップ③:大量の具体案をもとに、方向性を絞る
いよいよ、具体案の検討へと移ります。
次に行った中間ミーティングでは、なんと50案近いビジョンコピーが長廻さんから提案されました(すごい)。
🍓中間ミーティングの目的
具体案を触媒にしながら方向性を揃える
・具体案を見ながら「これだ!」とおもうものが見つかればその周辺をさらに掘る
・ピンとくるものがなければ、「なぜか」をすり合わせる
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「具体案がいっぱいある」状態を作ってもらえたおかげで、たくさんの言葉に対してYES or NOの判断をすることができ、自分たちの意思や判断軸がとてもクリアになりました(コピーライターに発注しない場合は、社内でとにかく数を出す形でも実現できると思います)。
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「夢中をふつうにする」は41番目に提案されました。その場に参加していた全員が「これだ」とという顔をしていたのをとてもよく覚えています。
もともとは、中間ミーティングで候補を絞って、最終ミーティングに向けブラッシュアップを行う予定でした。しかし、この案があまりに良かったため、満場一致で即決することとなりました。これまでにチームで重ねてきた議論の濃さと、長廻さんのアイデアが重なって起きた本当に感動的な出来事だったと思います。
採用した案の他に、社内で共感度が高かった案の一部がこちらです。(どれも素敵)
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一方で、これは伝えたいニュアンスではないという意見が多かった案の一部がこちらです。
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mentoが良いと思う生き方や考え方を押し付けるのではなく、理想も捉え方も多様であり続けたいという想いが強かったので、「辛い気持ちになるのはだめ」「明るい気持ちでいましょう」「正しい考え方をしましょう」といった一定の方向性を持つメッセージをmentoはしたくない、ということもチームで言語化することができました。
最後に(次回、ミッション編へ続きます)
今回ビジョンを決めるために、mentoは数十時間におよぶ議論を重ねています。
ビジョン設定にこれだけの時間とリソースを投資することは、シード期の私たちにとってとても大きな決断でしたが、やって良かったと心から思います。この対話のプロセス自体が、mentoを強くする資産になりました。
それぞれの意思は強いし個性豊かだけど、分かりあえるまで全員が真摯に向き合うし対話する、それがmentoのカルチャーだと改めて感じています。
コピーを考えてくれた長廻さんや、デザインを作成してくださった篠原(ごーごー)さん、議論に参加してくださったTEAM mentoの皆様、ビジョンを見て良いと言ってくださった皆さまも、本当に、本当にありがとうございました。
我々と似たようなフェーズで、これからビジョン策定をする方がいらっしゃいましたら、運営について少しでも参考になれば幸いです。
でもって、ミッション策定編に続きます!!!!!!!!!!笑
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