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アベ社長日記#20:退任まであと11日(次々回最終話)
このシリーズは第1次安倍内閣当時の「首相動静」を基にしたフィクションです。
アベ社長日記#20:退任まであと11日
緊急入院・病室にて(2007年9月15日・土)
入院している。信濃町のKO病院だ。木曜日(13日)、前日の辞任騒ぎもあって会社にも出づらく、前からお腹の調子も悪かったので、午前中病院に行くことにした。
診察してもらうと、「機能性胃腸障害が悪化し、全身が衰弱している」とのこと。先生は「家で寝ててもいいんだけど、一応入院しますか」というありがたい申し出。ここは渡りに舟と甘えることにした。さすがにKO病院は、そのあたりの対応には慣れている。すぐに個室を用意してくれた。
昨日(14日)、2時過ぎ、社長室長のヨサコイさんが来た。お見舞いというか、業務報告だ。僕が休んでも会社は何ということもなく動いている。すでに次の社長選びに、社内は上へ下へ右往左往のようだ。
うちの会社は、妙に民主的なところがあって、社長は社員から公募で選ばれることになっている。僕は単純に、グループ統括本部長のアソ専務でいいと思っていたのだが、そうもいかないらしい。
聞けば、先代社長のとき社長室長をやっていたのだが、社内旅行の積立金を払ってなかったことがバレて、群馬の営業所に飛ばされていたフグタさんが、「みんながやれというなら、私、社長やってもいいですよ〜」とかぬかしているらしい。
ヨサコイさんが帰るのと入れ違いに、アソ専務が来た。
「妙な具合になって申し訳ないね」と謝る。
「ま、それはいいんだけど、おかげで連休が潰れちゃったよ〜・・」とアソさん。口をひん曲げてニヤリと笑った。
注:
慶応大学病院は安倍首相の病状を「機能性胃腸障害の悪化」と説明した。ストレスや精神的な疲労によって、腹部の膨満感や灼熱感、みぞおちの痛みなどの症状がある。後に「潰瘍性大腸炎」と診断された。難病指定で大腸の粘膜に潰瘍やただれができる。下痢や下血、腹痛を繰り返す。2009年に「アサコール」という新薬が登場し、症状をコントロールできるようになった。
※『アベ社長日記#20』は、ブログ『tanpopost』に2007年9月16日 付けで掲載したものです。