夏の日の台所
Emikoさんのこちらの企画に参加させていただきます。
よろしくお願いいたします。
* * *
ぐつぐつと音を立てて鍋の中でお湯が沸き、その中で茹でるための何かが入ってくるのを今か今かと待っている。
大きな泡を立てて煮えたぎっているお湯の中にまっすぐな乾麺をぱらりと入れて菜箸でかき混ぜると、乾麺はくにゃりとからだをくねらせてバラバラになりながら茹で上げられていくのだった。
もういいかい?
まぁだだよ。
菜箸と乾麺がかくれんぼの時の問いと答えを繰り返しながら湯の中でじゃれ合っている。
くらくらと沸くお湯の中でからだを柔くくゆらせながら乾麺はお湯を含んで膨らんでいく。
もういいかい?
まぁだだよ。
問いと答えは繰り返されて止まらない。
もういいかい?
まぁだだよ。
暑い、暑い、暑い。
晴れた日の夏の台所の暑さは窓を開けてもどうにもならずコンロの前に立ち続けるのはどうにもこうにもつらい作業で菜箸を握る手に汗がにじんで止まらない。
もういいかい?
まぁだだよ。
「早くしてよ!」って思わず叫び出しそうになる。
暑い、暑い、暑い。
夏、真っ盛り。
蝉の声も相まって、早く早くの思いは募る。
もういいかい?
まぁだだよ。
問いと答えは止まらない。
一本、味見。
まだかもしれない。
少しして、もう一本。
もういいかい?
もういいよ!
やっと合格できました。
シンクに置いた笊の中に鍋のお湯ごとざぁっと空けて湯を切ってから、氷水の中に麺を入れてざぶざぶと洗う。
麺は気持ちよさそうに冷えていき、ぬめりが取れてつやつやの冷たい麵の出来上がり!
はぁ、お疲れ様です。
冷たい麦茶一杯どうぞ。
濡れたタオルで汗もきれいに拭いてあげてね。
お腹を空かせてみんなが待ってるテーブルに持っていこう。
みんなの嬉しそうな顔が見られたらそれでいい。
* * *
Emikoさん、ありがとうございます。
描写できていますでしょうか?