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九九は いつから覚える?

 小学校2年生の算数の学習内容の中で一番メインになるのは、かけ算の学習です。基本的に、学校で習う学習を家庭で先に予習することを積極的にはお勧めはしていませんが、九九だけは別です。
 今教えている2年生のクラスでは10月からかけ算の学習に入る予定ですが、九九の暗記については、今から少しずつ家庭でやってもらおうと考えているところです。

 



九九は できるだけ早くから覚え始める方がいい


①九九は 特別!

 算数は、数学的思考を高める学習です。概念や立式、計算の答えなどを機械的に覚えるのではなく、問題をどう解くか、そこに至るまでの数学的な考え方を身に着けることを目指しています。
 
 たし算やひき算の繰り上がりや繰り下がりでも、答えを丸暗記することはしません。しくみを理解した上で答えを求める行程を大切にしています。
 けれども、九九は違います。

 6✖️7の答えがほしいときに、6を7回足していったり、6✖️1から6✖️7までを順に唱えていたりしていては、実際に計算で使うときに間に合わない。「ろくしち 42」と答えが瞬時に出てくることが必要なのです。それができないと、3年生で学習する2けたや3けたのかけ算やわり算の計算に手間がかかってしかたがありません。時間がかかるとかけ算やわり算の計算がイヤになってしまう。算数嫌いの元にもなりかねないのです。

 だからこそ、九九の答えがすぐに言える。どの段でも、どの九九でも一瞬で答えが出てくるように九九の暗記が必要なのです。かけ算の概念を理解することはもちろん大切ですが、それは、後でゆっくり学習できます。
 

②くり返しと確かめが大事 だから家庭で

 九九の暗記というのは、とにかく声に出して唱えることが必要になります。4✖️1 4✖️2という順(昇順)だけでなく、4✖️9 4✖️8という逆の順(降順)、最終的には、4✖️6 4✖️3とバラバラに覚えることが必要で、そのためには、何回も練習しなければなりません。とにかく繰り返し唱える。だから時間がかかる。
 そして、ひとりで唱えているだけでは、それが正しいかどうかわからないですよね。だれかがそれを聞いて確かめたり言い直させたりしないとちゃんと覚えられない。個別に対応が必須なのです。学校では、教師一人に対して何人もの子供がいて、十分な時間がありません。家庭で個別にやってもらう必要がでてきます。


③早く取り掛かると 子供も楽しく学習できる

 事前に九九を唱えることができるようになっていると、子供たちはスムーズに学校での授業に入っていくことができます。
 学校の授業では、2日ごとに、仕組みの理解と暗記の学習を繰り返し、5の段、2の段、3の段と続けて学習することになり、たいだい2日で1つの段の九九を覚えるペースで進んでいくのが普通です。暗記には、実際1回分の授業しか充てられていません。これは、今まで全く九九に触れて来なかった子達には、速過ぎます。九九を覚えるためにどれだけの急激な特訓が必要か考えると辛くなります。
 
 6の段は6ずつ増えていく、6のまとまりが7つあるというようなかけざんの概念は、あとから付け足すことができるので、事前に九九を覚えておくことは、先の学習の妨げにはなりません。
 それどころか、学校で習うまでに九九が言えるようになっているアドバンテージがあると、子供たちは本来学習の中心となるべき掛け算のしくみや立式の仕方について考えることに集中することができ、余裕を持って楽しく学習ができるでしょう。また、すでに九九を覚えている子供との差を気にするというような余計な劣等感に見舞われることなく安心して学習に参加できます。

 

④8の段や7の段から始めるのもありかも?

 九九は、5の段、2の段、3の段という覚えやすい順に学習していくのが普通ですが、家で暗記する場合には、8の段などという覚えにくいところから始めるのも1つの方法かもしれません。
 九九の学習がいやになるのは、たいてい6、7、8の段だからです。あらかじめ難しいところをクリアしておくことは、九九に対する苦手意識を持たないで済むことにつながります。


 

⑤まとめ

 本来なら、かけ算のしくみを理解してから、ゆっくり九九の暗記に時間をかけるのが理想だとは思います。けれども、教科書の学習過程通りに進めているだけでは、とうてい覚える時間が十分取れないのです。九九の習得が不十分になってしまうのが現状です。
 そのような中で、2年生の今の段階で早めに九九の暗記の練習をご家庭で始めることをお勧めします。3年生、4年生の算数での余計な苦労を避けるためにも、2年生の今が大事なのです。


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