心不全の病みの軌跡を回避する対策が必要
「病みの軌跡」とは心不全の臨床経過の全体像を示したイメージです。慢性心不全の急性増悪を繰り返すごとに身体機能が徐々に低下していくというものです。詳しくは「心不全 病みの軌跡」でググれば見れますし、その他日本循環器学会が作成している「急性・慢性心不全診療ガイドライン」のp12にも掲載されていますので、そちらをご覧ください。
私は病院で心不全患者さんのリハビリを行なっていますが、経験的にもこのような過程を辿る方は多いです。例えば、前回入院と比べて握力が低下した、長く歩けなくなった、歩くスピードが遅くなったなどの身体機能の低下をよくみます。だんだん動けなくなっていくわけですから、心不全患者さんの身体機能の低下を回避することは重要な課題です。
対策として最有力候補は、疾病管理プログラムとしての外来心臓リハビリテーションになると思います。これは心不全患者さんが医師、看護師、理学療法士、管理栄養士などの多職種による観察、指導を定期的に受け、併存疾患が含めた全身的な疾病管理と身体機能の低下を予防するというものです。詳しくは「急性・慢性心不全診療ガイドライン」のp108をご覧ください。
しかし外来心臓リハビリテーションは日本ではまだ十分に普及していません。外来心臓リハビリテーションを実施している施設がまだ少ないですし、心不全患者さんの外来心リハへの参加率も低いのが現状です[1]。
心不全の病みの軌跡を回避するために、外来心リハの普及やその他の対策を考えて社会に実装していかなければなりません。
参考文献
1. Kamiya K., Yamamoto T., Tsuchihashi-Makaya M., et al.: Nationwide Survey of Multidisciplinary Care and Cardiac Rehabilitation for Patients With Heart Failure in Japan ― An Analysis of the AMED-CHF Study ―. Circulation Journal. 83: 1546-1552, 2019
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