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#小説
Bar Leaves 3
鏡に張り付いていた影が、集中して盛り上がり、何かの形を模索している。
そのときにオーケストラの音程を合わせるようにAの音が立ち上がった。
電子的なA(あー)長く伸ばしている平板な音程。
影は音を合図に、色彩を帯びてきて、水滴のように突然集約され
球体になって鏡面から離れた。
浮き上がったまま小さな電子音に共鳴しているように振動している。
客のいないBarのオーナーはPCのマウスに手をお
Bar leaves 2
ゆらゆらと影のようなものが立ち上がる。
鏡の向こうから最初は靄のように小さかった影が
こちらに動いて来ているのがわかる。
平面だったはずの鏡面が、表面張力のように盛り上がり
ぷるぷると揺れだした。
怖くない、怖くない。
私はあくまでもアバターなんだから。
今アバターである私がいる場所は液晶画面が外界との結界。
外は見えている、いや感じていると言ったほうがいいのだろうか。
認識でき
Bar Leaves
地下に降りていく階段。
ジャズが低く流れている。
ここがどこかは知らない。
私は何者かもよくわからない。
オーナーが気まぐれで作ったアバターの私は正式な名前がまだない。
白いブラウスに黒いスカート、裸足で下駄を履いている。
着たきり雀とは私のことだ。
時々出番があって、歌をワンフレーズ歌う以外の仕事はない。
そのワンフレーズは古い和歌ということと、
オーナーがポチポチと画面を押し