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エミール・ゾラ(著)『居酒屋』を読む。
この小説は19世紀のフランスのパリが舞台だが、
日本で例えると、どんな感じかなあと、考えてみて、
あっ、そうだと思いついたのが、河島英五の「酒と泪と男と女」。
忘れてしまいたいことや
どうしようもない寂しさに
包まれたときに男は
酒を飲むのでしょう
飲んで飲んで 飲まれて飲んで
飲んで飲みつぶれて 眠るまで飲んで
やがて男は 静かに眠るのでしょう
これを20年の年月と多数の登場人物とパリの昼と夜。
つまり、「酒と泪と男と女」を深く長く濃く、描き出したのがこの小説だろう。
たとえば、長さ10m、幅50センチ、厚さ30センチくらいの長く分厚い板に、
ノミと木づちでレリーフを彫る。
ノミで掘る、木づちで叩く、深く彫る、浅く彫る、太く彫る、精細に彫る……。
ひとりひとりの人物を彫る、その瞬間瞬間の時間を彫る、居酒屋やアパート、それぞれの場所を彫る……。
彫った跡を触る、肌で感じる、眺める……。
めくりあがる、反り上がる、切り落とされる……木くずの山々……。
出来上がったレリーフよりも、その足元で踏まれ続けた、木くずたちを描いた物語。
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