感情のダムが放流するとき
残業の時だけ通る守衛室「お疲れさま」がこんなに沁みる『 残 』(うたの日12/12)
会社に行っていたころのことを思い出して詠みました。
その会社は22時を過ぎると通用門が施錠されてしまうので以降は守衛室に声をかけ解錠してもらうことになっていた。
その日もなんとか日付が変わる前に限界ゾンビのように思考も感情もないまま解錠をお願いした。
「いつも遅くまでお疲れさまです」と守衛さんは言った。普通の挨拶として。それがスイッチとなり涙があふれ出した。
人は限界を超えて感情が無になったときに優しい言葉をかけられると溜まっていた感情がダムが一気に放流するように流れ出すことを知った。疲れたなのか、怒りなのか、無力さなのか、ありがとうなのか、それらがごちゃ混ぜになったように。
守衛さんはきっと何度もこんなシーンをみているのだろう。鍵を開け「気をつけてね」と静かに送り出してくれた。