Mo#48 結果発表「カレー」
Tanka Place Moでは
新月と満月の日に歌会を更新しています。
今回は「カレー」の短歌への投票結果とコメント
発表いたします。
...
1.
ロダンのカレーの市民見て昔の人のことを思はむ
ナッツマカデミア 1点
阿竹亭呆然「カレーをでなく、カレーの市民に合わせた点が面白い パリオリンピックにも合わせ、面白いと思った 開祭式のマリーアントワネットの生首を晒した事も何か作者の意図を感じたのは深読みし過ぎか?」1点
乙女「言いたいことは分かるが言葉が足りない。この昔の人は日本の昔の人を指しているのか?」
はなもり「この「昔の人」というのはその時代の人々、生き様、歴史的背景を含むものと読んだ。作品を通して作者と鑑賞者が繋がり、さらに歌の読み手へ……面白い構成であるものの、上の句の破調に対して下の句は大味で物足りなさを感じる。」
猪之丞「大量のクソ不味いカレーに頭を抱える人々の群像に見えます。」
田中大貴「これは初句のない歌だ。テーマの「カレー」から〈ロダンのカレーの市民〉に飛ぶことを評価したい。」
2.
スパイスとチャツネが魅力ジャワカレー
季節問わずしロイヤルホスト
無名の歌人
あふろひめ 1点
無名の歌人 あふろひめ「ロイヤルホストのジャワカレーが大好き!
テーマ「カレー」からわたしのカレー日和について詠みました☆」
田中大貴「その魅力を〈魅力〉と書かないで詠むことはできないかな。でも、この歌には魅力があります。三句と五句が体現止めの歌。」1点
乙女「問わずし・・しを強調につかっているのかな?成功しているかどうかわからない。季節問わないロイヤルホストでもいいんじゃない?」
はなもり「助詞を使うか名詞を減らすといいと思う。」
猪之丞「むかしロイホに一人で入りとても寂しい思いをしました。」
3.
おばあちゃんの作ったさらっとしたカレー食べたい おばあちゃんのおやきを復活させたい
阿竹亭呆然
乙女「おばあちゃん孝行におやきもカレーも復活させよう。」
はなもり「カレーとおやきは何か関連性があるのか。復活という言葉に重心を置くとよかったかも。」
猪之丞「デイリーヤマザキ駒ケ岳SA下り店のレジ横で売っていたおやきは旨かったです。」
田中大貴「ぼくも祖母がよく作ってくれたチャーハンを再現しようとしていたことがあります。おばあちゃんの味を復活させましょう!」
純「ぼくのおばあちゃんのカレーは、母方がごろっとした甘めカレーで、父方がごろっとしたカレー→玉ねぎをすりおろしたさらっとしたカレー、です」
4.
隠し味
3000種類の
カレー辛れー
飲みもんじゃねえぞ
味わって食いな!
すーさん@ヘタレドライブ 1点
すーさん@ヘタレドライブ「CoCo壱のカレー好き。まずはトッピングなしで。」
乙女「味わって食いな!
おー! 威勢のいい啖呵が気持ちいいぜ。」1点
はなもり「ダジャレ……?ジブリみを感じた。」
猪之丞「ぐちゃぐちゃに全部混ぜてから食うか、一口ごとに混ぜるか悩ましい。」
田中大貴「たたみかける言葉がおもしろいけれど、もっとたたみかけることができそう。「味わって食いな!」って一度は言ってみたいな。」
5.
レトルトのカレーを食べたい時もある シャワーでためた浅めのお風呂
純 6点
斎川都「仕方なくじゃなく 食べたい の
今は自分だけの時間」2点
南さよ「あるあるです。浅めの風呂に」1点
シモムラ アキラ「夏を感じました」1点
冬不純黄昏「人間らしさを強烈に感じます。この詩の主人公の人生はありふれたものかもしれないけど心地よいのだろうな、と思ってしまいます。」1点
ゆかり「上句と下句がよく響いて即席感が伝わってきますね。とっても疲れているのかな」1点
乙女「うーん、手抜き万歳かな?冬は寒そうな湯舟。」
はなもり「レトルトカレーを食べたい時、あるなぁと。「シャワーでためた浅めのお風呂」の解釈に悩んだ。"シャワーでためる"は必要なのか?表現したいことと伝わることの間を埋めることが出来なかった。」
猪之丞「えっ?まさか、お風呂に入った序でにレトルトも温めるのですか?」
田中大貴「レトルトのカレーはやさしい味がしますよね。この歌を読んで、なぜだか災害時を思いました。」
純「疲れた時はシャワーを浴びながら湯をためます」
6.
世界中の人種と国家と宗教を全部煮込んでカレーにしよう
シモムラ アキラ 8点
南さよ「カレーと言えばごった煮。ついでに不平や不満もぶち込んでしまおう!」2点
乙女「11番の歌に共通していながら批判の力は一等この歌にある。優等生の歌かな?」1点
陀弥阿 「自分は美味いカレー食う時ほどこういう平和的解決が頭によぎる。カレーにしてしまえば結果うまくいくのだと思う。」1点
福良 椋(ふくら・むく) 「煮込んだカレーは甘いか激辛か?」1点
アーイ・アイ「複雑な味がしそうですね。」1点
すーさん@ヘタレドライブ「そして「うまい!」と言えば世界は平和」1点
ゆかり「人種と国家と宗教を煮込んでカレーにするという発想がいいと思いました。カレーの懐の深さを感じます!なんかほんとに出来そう」1点
はなもり「カレーにして煮込んだら何でも食べられそうな気もする。」
猪之丞「チベットやウイグルで人権抑圧をしている中国は無理です。」
田中大貴「そうしよう。忘れられない味になりそうだ。」
純「11.の歌に似ているが、これらをひとまとめにしてカレーにするのは、許されるかなと思います」
シモムラ アキラ「そしてひとつのカレーとなった」
7.
味わった辛さの果てにあらわれる深淵見せる宇宙の姿
福良 椋(ふくら・むく) 1点
福良 椋(ふくら・むく)「スパイスが目いっぱい効いたカレーの効果は食べた後の感覚を刺激します。」
シモムラ アキラ「激辛トランス状態」1点
乙女「下の句が理解を運ばない。やはり自己満足で解決してしまっている。」
はなもり「果て≒深淵、あらわれる≒見せる、重複がもったいない。」
猪之丞「味覚は宇宙ですよ。」
田中大貴「意識が遠くなってみえるあれは宇宙の姿だったのか。それを見たくて辛いカレーが食べたくなる歌。」
8.
バーモントカレーみたいだ君の歌りんごとハチミツ取り合わせてらぁ
陀弥阿 2点
さゆりん「おもしろい歌だと思いました
こんな歌評を受けたら楽しくなりそう」1点
冬不純黄昏「楽しい詩だと思います。リズムがよくて音読しても楽しい詩です。」1点
乙女「ふふふふ。あまーい歌声に魅了されている君。口惜しいなあと呟きながら。」
はなもり「取り合わせがよく分からない、君の甘い歌声ということか。」
猪之丞「回転林檎がパカッと割れるシーンの撮影を見たい。」
田中大貴「〈みたいだ〉〈君の歌〉〈取り合わせてらぁ〉の語尾のaの音が明るくて眩しい。」
純「キャッチコピーそのままなんですけど、なんか勢いあって面白いですね笑」
9.
綴ぢ糸を切つてばらした一編を組み立てなほす カレードスコープ
乙女 2点
福良 椋(ふくら・むく) 「題詠からは外れているが、こーゆーの好き。」1点
ナッツマカデミア「カレイドスコープをカレードスコープとしたところに作者の苦心が見られる」1点
はなもり「旧かな、スペースによりカレードスコープが浮いていて、意図されたものだとしたら荷が重い印象。」
猪之丞「万華鏡には思い至りませんでした。」
田中大貴「これは作者の体験なのだろうか。」
10.
カレーライスは胃に凭れかかったまま寝苦しい夜を固化させてゆく
猪之丞 3点
乙女「一首屹立している歌だとおもう。上手いねえ。」1点
ken「実感がひしひしと伝わりました。凭れるのは食べたカレーライスだけではないのでは?」1点
斎川都「もはや煩わしくなった愛だ」1点
はなもり「夜を固化させるという表現が面白い。使い方として合っていると思うが、カレーで胃もたれ&寝苦しい&夜を固化……少しくどくどしい気も。」
田中大貴「革命歌作詞家に凭りかかられてすこしづつ液化󠄁してゆくピアノ/塚本邦󠄂雄 この歌は塚本邦󠄂雄の第一歌集の巻頭歌を本歌としている。革命の時代は終わっていない。」
猪之丞「カレーはもたれるので実は見るのも嫌。参考歌はアレです。」
11.
貧富の差カースト制も男女差もカレーに混ぜてスパイスとする
南さよ 9点
無名の歌人 あふろひめ「キレイにはまっている!オリンピックがあって平和・平等に目が向いた中でカレーってそもそも世界共通メニューじゃない??各国でそれぞれの個性を持ち愛される平和的メニュー☆どの短歌からも幸せが伝わって持ち点足りず選び抜いた11番さんの歌に持ち点全て贈ります!」3点
阿竹亭呆然「カレーとその国、インドのカーストを詠み込んだのは深い。と思った
スパイスとする、は深くて上手!」1点
はなもり「カレーに混ぜてスパイスとするという発想が素敵。奥深い味わいだろう。」1点
シモムラ アキラ「インドの混沌」1点
ken「例え自体がかなり強烈なスパイスだと思いました。カレーに使うスパイスも単品ではとても食べられないけど調合する事により美味しくなる。
民主主義の世ではタブーとされる慣習も否定するばかりではなく上手く調合すれば良いのかな?」1点
アーイ・アイ「このスパイスが旨味になるといいのですが。」1点
ゆかり「食べ物ではなく人間の都合(決め事)をカレーにという点では偶然にも6のお歌と近い発想ですが、それらをスパイスとするという点にハッとしつつも心を掴まれました。カレー食べて辛さを感じる時、この歌を思い出しそうです」1点
乙女「6番の歌に共通する世界の人間世界の理不尽への批判屹立させている。」
猪之丞「インドは政教分離すれば経済的に飛躍できるはずです。」
田中大貴「kの音よりsの音が印象的だ。」
純「6.の歌と似ているものの、これらの不平等を「スパイス」にしてしまうのは良くないと思う。」
12.
曲がらないスプーンを置いた手品師の温めなおす辛口カレー
はなもり 3点
陀弥阿「この時代にスプーン曲げをレパートリーに入れようとして練習してたらカレー冷めちゃったのかな?辛さ(つらさ)が滲み出てて好き。」1点
ken「苦笑いしてしまいました。スプーンが曲がらなかったのは痛い失敗ですがスプーンとしての使い道は保たれている。そのスプーンで食べる辛口カレーが同じ事を繰り返さない方法を教えてくれるかも知れません。」1点
さゆりん「手品に失敗してカレーを食べたのか、辛口カレーがおもしろいと思いました」1点
乙女「うーんこれも分からないなあ。曲がらないスプーンでは芸当がないじゃん。くるくると曲がってしまうスプーンを魔法を掛けながらカレーを掬う芸当を期待する。」
猪之丞「ダリの描いた時計の絵を連想しました。」
田中大貴「切ないなあ。これはフィクションであってほしい。」
純「悔しかったのでしょうか、よくあることなのでしょうか。」
はなもり「種も仕掛けもない我が人生を余すことなくいただきましょう」
13.
ほら、さついだしいなって天使のくれるカップヌードル***シーフード味
田中大貴
乙女「さついだしいな・・なんのことかな?殺意のことかしらん?意味不明わけわからん。」
猪之丞「カレーパンやカレーヌードルを間食すると夕飯を食えません。」
田中大貴「〈元気をだしなってあなたのくれるカップ麺カレー味〉からこの短歌ができました。ふと、誰かの天使でありたいと願った。だせば、さついは天使が持ち去ってくれるよ。」
14.
黄昏の
キッチン包む カレーの香
家族の笑顔 待ちわびる時
アーイ・アイ 3点
田中大貴「この歌はカレーを家族囲んで食べる〈前〉を詠んだところがユニークな点だ。この幸福な時間はすぐにすぎてしまうけれど、ちがう幸福となります。」1点
すーさん@ヘタレドライブ「幼い時の幸せな記憶が甦るね。いや、それが現在進行形な人も。幸せを大事にしてね。」1点
しゅくるん「カレー大好きな家族の笑顔を想像しながら、作り帰りを待つ…母の家族への想いがほっこりする😊」1点
乙女「主婦が美味しいカレーを作って家族の帰りを待つの図かしら。待ちわびるときで解決しちゃっているのが惜しい。もつとスパイクと毒がほしい。」
猪之丞「玄関開けたら2分で御飯です。」
15.
朝カレー 昼もカレーで 夜カレー
3食食べても 飽きない魔力
しゅくるん
しゅくるん「カレー大好き♥️」
乙女「全身が黄色に染まってしまいそうな一日三食カレー。若いときだったら平気だったが、もう単調なカレー三昧には耐えられない。」
猪之丞「凄い胃壁。三食は食えない。」
田中大貴「この歌も2と14とおなじく三句と五句が体現止めの歌。二句の助詞のあつかいがうまくいっていると思う。主体はカレーが大好きなのだ!」
16.
夜、空をカレーに喩えるのは君のせいだ。君のにんじんの星。
冬不純黄昏 2点
阿竹亭呆然「かつての新短歌のようで面白い
こんな歌を詠みたいと試みているが、なかなか出来ない、、、」1点
アーイ・アイ「かわいい歌です。」1点
乙女「この歌もスムーズに解釈させない。言葉遊びなのだが言葉を楽しめばいいのかもしれない。」
猪之丞「夜空は漆黒のイカスミカレー。」
田中大貴「カレーは君の愛でできているんだよ。夜の空をカレーに喩えるあなたはおもしろい生き方をしている。」
冬不純黄昏「人が自分のためににんじんを星型にカットすることは極めてないように思います。喜んでほしい誰かのためにしかにんじんをカットしようなどとは考えない、ように思います。」
17.
神々の前で迷いを捨てたときナンニシマスカ?微笑んでいる
斎川都 3点
陀弥阿「ナンかライスか、自分は迷わずライスだが行きつけのインドカレー屋の出すナンは本当美味い。象の頭の神様がいる店。いつも感謝しています。そんな事を思わせてくれたこの歌に一点。」1点
猪之丞「梅干しの御握りを選びます。」1点
純「これおもしろいですね。映像を思い浮かべて、私も微笑んでいます」1点
乙女「ナンニシマスカ→小麦粉を平たくした主食のナンのことだろうか?ナンを知らないものには、何にしますかと聞かれているように感じた。それでも魅惑的な問いかけと美しいアジアの女性の微笑みが納得させる。」
はなもり「テーマに沿って読むと……インド料理店かな?よく神様の絵とか置物とかがある。あと何故か店員さんがめっちゃ素敵な笑顔。あれはスリランカ人だったけど。」
田中大貴「海外の寺院を訪れた後、屋台のカレー屋さんに寄ったんじゃないかな。迷いを捨てたはずなのにまた迷ってしまうんだ、ぼくらは。」
斎川都「よく行ってたインドカレー屋さんのお兄さんは、ナンと何をかけるという高度なギャグを毎回使うので毎回笑っちゃった」
18.
若き日の我呼ぶ母の影おぼろ 路地の夕陽にカレーの匂ひ
ken 5点
しゅくるん「カレーのにおいがしてきたから
帰ろ😊
子どもの頃の懐かしい思い出を詠んでくれました。」2点
福良 椋(ふくら・むく) 「なんだかなつかしい。」1点
すーさん@ヘタレドライブ「カレーの香りも、ふと自分を昔に連れていくことがあるね。」1点
さゆりん「夕陽を見て、お母さんのカレーを思い出したのでしょうか?うまくまとめられていると思いました」1点
乙女「懐かしい思いはみなさん同じだと思う。カレーって異国の味なのに子供たちはとりこになつて、罪だなあ。」
はなもり「路地、夕陽、カレーの匂いはノスタルジーの鉄板」
猪之丞「夕刻は換気扇から噴き出す匂いでメニューが分かります。」
田中大貴「三句体現止め、五句体現止めの歌。〈の〉と〈に〉の使いわけがうまいと思う。この景は懐かしくて涙がでてしまう。」
19.
週三日以上はカレーの夏だからムトゥ、わたしも踊りたくなる
ゆかり 7点
はなもり「カレーの夏、からのムトゥの流れが秀逸。踊りたいよね、夏だもの。」2点
純「良いですね。上と下の若干繋がらないのを「ムトゥ、」が上手く繋いで楽しくなっている。ムトゥがいいですね、私も踊りたいです」2点
猪之丞「カレーも象に乗ってやって来るのかなと。」1点
田中大貴「歌って、踊って、恋をする🍀さあ、カレーを食べよう!」1点
冬不純黄昏「週で三回目のカレーが登場したときに「飽きた」にならず「踊りたくなる」のはカレーの素晴らしさを語っているように感じます。楽しいです。」1点
乙女「ムトウが分からなかった。カレー→インド→踊るマハラジャに関する言葉かしら?しかしながらこの映画も音楽も知らないものにはムトウだけでは分からなかった。それでも、この歌の弾んだリズムは魅力的だ。」
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「カレー」の歌会に参加いただきありがとうございました。
次のテーマは9月3日(火)に発表を予定しております。
どうぞよろしくお願いします。