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試合7日前からのピーキングとは?

今回は試合に向けたピーキングの話をしたいと思います。

みなさんは普段、どんなピーキングをしていますか?

試合に向けてベストコンディションを作るのがピーキング。ほかにも、似た文脈で使われる言葉にテーパリングというのがあります。

テーパリングは試合に向けて疲労を回復させるため、練習量を減衰させていきます。

一般に、試合の直前まではガンガン練習をするけども、10日から2週間前くらいを区切りに、そこからは身体を休ませつつ、調整期間に入る人が多いのではないでしょうか。

ぼくも基本的にはその考え方です。

国内なら7日前、海外なら10日前から調整

試合が国内で開催される場合は試合の7日前、試合が海外で開催される場合は試合の10日前からピーキング、テーパリングと呼ばれる期間に入ります。

何ヶ月も前からガンガン練習をしてきて、最後に試合で1本目に持つ重量を1回だけ挙げます。それが全力を出すラストです。自分はちゃんと挙げられるという安心を得るために、これをいかに軽く挙げられるかが大事。

それ以降、ピーキング期間に入ったらガツンと重量を落とします。残りの期間は全力の50%くらいの力で、フォームの感覚だけをキープしたまま、スピード重視の実践練習を行います。

ぼくは数年前までピーキング期間を5日前に設定していました。しかし、ロシアへ武者修行に行ったときに、ロシア人コーチのボロディアさんに、もっとピーキング期間を長くとって、身体を休めたほうがいいとアドバイスをもらい、試して見たら、試合の調子が上がっていきました。

そこからは今のやり方です。以前は短過ぎたのだと思います。

海外に渡航して無理な練習をするのは禁物

海外で試合が開催される場合のほうが、国内で試合が開催される場合よりもピーキング期間が長いのは、現地への渡航の期間があるためです。

国内のときと同じように7日前からピーキングを始めようとすると、最後に重い重量を挙げるタイミングが、渡航して現地に入るときと重なります。そうすると疲労が溜まっているなかで、慣れない環境で無理をすることになり、身体やメンタルに不調をきたすことが多いです。

そうした事情もあり、海外のときは10日前からピーキングを始めます。

扱う重量をどう減らすかについては、さまざまな意見があり、段階的に下げたほうがいいという考え方もあるのですが、僕は一度ガツンと下げたら、以降は一定というやり方です。

もしぼくが試合に向けてまったく緊張しないタイプだったら、段階的に下げていくと思います。それをしないのは、ガツンと一気に重量を下げないと、プレッシャーから調子を崩しがちだからです。

ぼくは身体もメンタルも弱いので、コンディションをいかに上げるか、という視点よりも、コンディションをいかに下げないか、という視点がとくに大事です。

試合前には不安からつい重い重量を触りがち

同じような話で、試合の前日に、試合当日と同じ重量を挙げるという人もいます。

そうすることで、試合に安心して臨めて記録が伸ばせるそうです。けれど、ぼくはそれだと不安で、逆に、これだけ休んで、疲労を回復したんだからいい記録が出せるはず、と思うほうが気持ち的にすっきりできます。

一般に、試合を前にした選手はピーキング期間にも重い重量を触りたがるものです。

不安になって、つい力を入れてしまって、自己満足の練習に陥り、それが原因で怪我をしたり、疲労を試合当日に残したりします。

無意識のうちに、プレッシャーに追い込まれてしまって、頑張り過ぎちゃうんだと思います。僕も若いころはそういう経験をしました。

しかし、このピーキング期間中に、めちゃくちゃいい重量を挙げられたとしても、それに伴う身体のダメージを考えたら、当日に向けたコンディショニングとしてはマイナスに働く可能性が高いです。

ピーキング期間にどれだけ調子が良くても、焦らず、気持ちを控えることが重要だと思います。

ぼくの場合、試合に向けての緊張のピークは、ピーキング期間に入る日です。そういう意味では、緊張を追い風にして、最後に重い重量を挙げて、あとは力を抜いておく、というようなイメージです。

メンタルのケアはゲームとYouTubeで

ピーキング期間中はメンタルのケアも大事です。

ぼくの場合、ウエイトリフティングのことは何も考えたくなくなります。ほんとに心がつらくて、時間を忘れたいし、タイムマシンに乗って試合後に行きたくなります。

試合のプレッシャーで追い込まれて気持ちに余裕がないから、楽しいことをしたくなります。

たいてい、Nintendo switchでロールプレイングゲームをして過ごします。最近はペーパーマリオRPGを買いました。

ゲームをやると時間を忘れて没頭できます。

YouTubeもよく見ます。

前回の大会のときは、富山県庁の前で富山県出身の芸人のランジャタイさんがふざけている動画を見ていました。

だいぶ後になって閲覧履歴を見返したとき、オレはなんでこの動画を見ていたんだろう、普段は絶対に見ることがないランジャタイさんをなぜ?と自分でびっくりしました。それくらい無意識に手当たり次第見ています。

なんとかして気を紛らわす。それもピーキング

それでもメンタルが緊張しているときは、落ち着きがなくなります。自分の部屋の大掃除を始めたりします。掃除をすると気が晴れるとかじゃなくて、気が紛れることならばなんでもやってみます。

一つ落とし穴があるのは、ピーキング期間中に、先に試合を終えた軽量級の選手たちが、楽しそうに食事に行ったり観光に出かけるときに、一緒についていってしまうことです笑

食べ慣れないものを食べたり、調子に乗って歩き過ぎたりすると、コンディションは簡単に崩れます。

これはウエイトリフティングあるあるなのですが、重量級の試合は大会期間の最終日に組まれることが多いので、それまでに誘惑がたくさんあります。これに負けないようにしなければなりません。

もちろん、これは学生のときまでの話で、今は絶対にそんな誘惑には負けませんが笑

まとめ

いかがだったでしょう? ぼくが試合前にやっているピーキングはこんな感じです。

ピーキングというと特別な何かがあると思いがちですが、ぼくの経験上、疲労を抜くことだけを考えればよいと思っているので、迷うことは意外とありません。

パリ五輪に向けて、順調に怪我も回復し、昨日くらいから実戦練習ができるようになってきました。

よいコンディションで試合に臨めるよう、頑張っていきたいと思います。

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