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短歌のおもちゃ箱9

今日は、古文や漢文にまつわる短歌です。

・漢文の講義は次第に熱を帯ぶ長袖のシャツを腕まくりして

・孔鯉逝き顔回が逝き子路が逝き「川上之嘆」孔丘一人

・孔子とて思うは生の理不尽さ「未だ生を知らずいずくんぞ死を知らんや

・白居易の「長恨歌」など教えつつスカートの丈など注意する日々

・とつとつと古典を教える者でありたし陋巷に似た教室にあり

35年間、中学・高校で国語を教えていました。現代文の授業よりも、古文や漢文を教える方が好きでした。どちらかと言えば古文を教える方が好きでしたが、漢文の奥深さには惹かれました。ただし、得点をするには漢文の方が楽です。古文よりも覚えることが少なくて済みます。

孔鯉は孔子の実子。しかし、孔子よりも先に亡くなりました。学問上の一番弟子であった顔回も、常に傍らにあり孔子がその人柄を愛した子路も孔子よりも先に亡くなりました。自分よりも年若い者たちをおくった孔子は何を思ったでしょうか。

最後の短歌は、孔子が顔回を褒めた「一箪の食一瓢の飲陋巷にあり」という言葉をもとにした歌です。「陋巷」とは、むさくるしい下町を指す言葉ですが、何十人もの若者が詰め込まれた教室のイメージに重ねました。

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