文化をつくる
建築業界が少しでも豊かで、便利になってほしいと思っている。
今よりも仕事の効率化を図ることができて、時間と労力の省略ができれば、建築家たちは各々に思索に耽ったり、クリエイティブな時間に費やすことができるだろう。
その手伝いができるならば、これほどうれしいことはない。
住宅ブランドのyadoもまた『泊まるように暮らす』をコンセプトに、規格住宅のレベルの底上げと新しい選択肢を提示することで建築業界が豊かになってほしいという想いがある。
スポーツ人口を取り合うより、スポーツ人口を増やそうとするナイキの思想が、ぼくにも影響している。
みんなで小さな砂山を取り合うよりも、砂山自体を大きくして、みんなで豊かになりたい。
その在り方を見て、ある人から「谷尻さんは建築業界の文化をつくっていますね」と言ってもらえた。
文化を育むためには、表面的な新しさを取り入れるだけでは足りない。
とはいえ、歴史を重んじているだけでは新しい文化は生まれない。
昔の人は、「今の状況が良くない」と思ったから「もっと良くするぞ」の精神で新しい文化をつくっていったのではないだろうか。
過去の歴史から文脈を学んだり、敬意を込めることは重要だが、「もっと良くしたい」と思うパイオニア精神がなければ、今つくるモノは新しい歴史になり得ない。
今回は、「文化を育むためには何が必要か」についてぼくの考えを書いた。
公には出来ないけれど、ここだけで書くことが出来る情報も含めて、皆さんに共有出来ればと考えています。 建築業界の凝り固まった環境を見直しながら、新しい働き方や、経営方法、ブランディングについて綴っていきます。