谷尻誠 / 建築家 / 起業家

建築家、起業家。自然と建築について考える 日々。 suppose design off…

谷尻誠 / 建築家 / 起業家

建築家、起業家。自然と建築について考える 日々。 suppose design office、tecture、絶景不動産、Daichi…などの10の法人を経営。 建築と不動産に関わるなかでの、葛藤を包み隠すことなく書いてみようと思います

マガジン

  • 月刊 谷尻誠

    建築家(suppose design office 代表)、起業家。 tecture、絶景不動産、TECTURE、DAICHI、Yado 、MIETELLなどの法人を経営。 建築、不動産を中心とした設計や不動産投資についてや、物事の従え方を月最低4本書きます。

  • 大切なこと

    書くことで自分に言い聞かせたり、見ることで自分を奮い立たせる。 そんな感動の日々をデザインするための場所。

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    CHANGE-未来を変える、これからの働き方-

    谷尻誠
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最近の記事

情報収集は、読み解く力(1)

先日、noteのマガジンに「情報収集の方法や考え方が知りたいです」とのリクエストが届いた。 今回は「情報収集」をテーマに、ぼくが普段考えていることや具体的な情報の取り入れ方を書いてみたい。 振り返ってみると、ぼくの情報収集のスタンスは40歳を境に大きく変化している。

    • アーティストとして

      「誠さんは、アート作品はつくらないのですか?」 ここ数回のnoteの記事を読んだ人にそう訊かれた。 質問の意図には「価値とは何か、お金とは何か」に関する考え方や新しくコンセプトを設計して建築で表現するぼくの在り方を見て「“アート”という表現に興味はないのか?」という意味合いが込められていた。 「いや、ぼくは自分のことをアーティストだと思っていますよ。むしろ、この世界にアーティストじゃない人間はいないですよ。人類皆アーティスト(笑)」 半分冗談、半分本気で笑って話を終わらせ

      • “ラグジュアリー”とは何か

        ぼくが生まれ育った家庭は決して裕福ではない。 前々回の『建築を生み出す【概念を設計する1】』の記事の中でも、ぼくが幼い頃に住んでいた実家の図面を紹介した。 五右衛門風呂、井戸水、靴を脱ぎ履きして部屋を移動など、とにかく時代と逆行する不便な家だった(笑) 裕福ではない家庭に育つと、お金に対して憧れを抱く。 お金のある暮らしにコンプレックスがあったのかもしれない。 今ではきちんと仕事に打ち込んで、富豪には程遠いかもしれないが、昔はあんなに悩んで買っていたバスケットシューズく

        • 設計の方法【概念を設計する2】

          前回の続きで、概念から建築を設計する話。 今回は「自然と建築」について。 建物には、必ずスケールがある。 高さや低さ、そして幅は数値によって緻密に計算される。 その一方で「外」や「自然」という概念には、スケールがないことに気付いた。 正確にはあるのだけれど計り知れない。 広さ、大きさは体感としてわかる。 ただ、海は何平方メートルか、空は何平方メートルか、などについて人は考えることもない。 「考えることもない」のではなく、考えることもできないほど広大とも言い換えることができ

        情報収集は、読み解く力(1)

        マガジン

        • 月刊 谷尻誠
          ¥1,000 / 月
        • 大切なこと
          3本

        記事

          建築を生み出す【概念を設計する1】

          20代の後半から30代にかけて、「自分が建築をつくる意味」について深く考えた時期があった。 単に言われたことだけをオーダー通りにつくっていてもいいのだろうか? 果たしてそこに“自分がつくる意味”はあるのだろうか? その答えを導き出すために、当時のぼくは概念的なことばかりに想いを巡らせていた。 アトリエで修業して建築を学んできたわけではない自分自身の背景に対して、どこかコンプレックスのようなものを抱いていたのかもしれない。 建築をつくる上で「コンセプトから設計する」という土

          建築を生み出す【概念を設計する1】

          節税は正義なのか?

          よく節税した方が良いよって話しを聞く。 あちこちで会社員ではなく契約社員にして貰えば手残りが増えて税金払わなくて良くなるよ!みたいなのも出回っている。 たしかに働いて頂いたお金をできるだけ使える環境にするには良いことなのかもしれない。 ぼくも少なからず若い頃は、短期的な思考で同様の考えを持っていただろう。 でも本当にそれで良いのか?

          ヴィンテージの見極め方

          前回、リセールバリューのある商品についての記事を書いた。 今回は、その延長線上にある「本物を見極める」という話。 モノの価値がどう変化してゆくのかはある程度予想はできるかもしれない。 ただ、それが本物か偽物かを判断することは簡単ではない。 目利きをする上で参考にしていただければと思う。

          ヴィンテージの見極め方

          自己資産とは?

          今回は、資産とお金の使い方について。 ぼくはお金がない。 次々と会社や建物をつくっているので、たくさんお金を持っているイメージがあるかもしれない。 確かに、不動産や建物などの資産は年々増えている。 ただ、お金はない。 何が起きているのか、順を追って説明していこう。 まずは、「資産形成」という言葉から考えてみる。

          もしも仕事がなくなったならば

          仕事の依頼がなくなったらどうするだろうか。 以前、『今、ぼくが無名の設計者だとして』という文章を書いた。 仮にぼくが独立したばかりだったとして、実績も信頼もない状態からどのように仕事をつくるか、という内容だ。 https://note.com/tanijirimakoto/n/n15a6a538d3a2 独立したばかりではなくとも、突然仕事がなくなることだってある。 それをリアルに考えるようになったのはコロナ禍の時だ。 当時、SUPPOSEの全ての仕事は止まった。 このまま

          もしも仕事がなくなったならば

          勝つことへの執着

          先日、息子の運動会があった。 そこで驚いたのだが、競技の中から徒競走がなくなっていた。 綱引きなどの団体戦は残っているのだが、個人競技は軒並みプログラムから外されている。 その光景を目にして、少し不安な気持ちになった。 今回は、「成長のために必要な要素」について書こうと思う。 それはタイトルにある、勝つことへの執着だ。

          お金のことを気にしないためにお金のことを考える

          先日、新しく立ち上げた不動産サービス「Mietell」の共同代表でもある泉正人さんに資産形成について教えてもらっていた。 泉さんは、「ファイナンシャルアカデミー」というお金の学校の代表であり、お金に関する書籍も数多く刊行されている金融・経済のプロフェッショナルだ。 話し合いの中で「どうしてお金のことをこんなにも考えるのだろう?」という問いが出た。 すると、泉さんは「お金のことなんか考えたくないから、お金のことを考えてるんだよな」と言った。 その言葉を聞いた時、腑に落ちるも

          お金のことを気にしないためにお金のことを考える

          辞めたスタッフの話 続編

          先日、風の噂で聞いたSUPPOSEの元スタッフが起こしたトラブルについて書いた。 https://note.com/tanijirimakoto/n/nce2a01d24a51?sub_rt=share_pw 詳細はわからないのだが、彼が問題と向き合わずに逃げてしまうのではないだろうかと心配になり、「彼に届け」という意味も込めてぼくの想いを綴った。

          辞めたスタッフの話 続編

          フレームの外側 答えのある場所

          前回、「フレームの外側」について書いた。 建築は、建物そのものだけでなく、それを取り巻く環境や付随する小さなパーツを含めて「建築」だ、という話。 得てして本質は、中心だけではなく、その外側にあるものだ。 フレームの外側へ視点を移すこと。 お施主さんとの何気ない雑談の中から、空間設計のヒントを採集する。 寄り道した会話は、一見無駄な情報に思えるかもしれないが、そこに本質が隠されている。

          フレームの外側 答えのある場所

          フレームの外側

          「フレームの外側」という言葉を最初に聞いたのは、アートディレクターの佐藤可士和さんからだった。 可士和さんはグラフィックデザインやCM制作に留まらず、プロダクトデザインや企業ブランディング、はたまた建築まで手掛ける特異な存在で、ある種“アートディレクター”の概念を拡張させた人だ。 昨年、トークプロジェクトのTHINKにゲストとして来ていただいた時にこのような話を聴いた。

          サカナクションのライブ

          先日、サカナクションのライブに行った。 久々に彼らが演奏するステージを前にして、こみ上げるものがあった。 9歳になった息子を連れていったのだが、それはそれは楽しそうに踊って、歌って、踊って……とにかく最高だった。 ぼくは息子を抱えて踊ったおかげで終演頃には腕がパンパンになり、案の定、翌日は筋肉痛(笑)。 それくらい全身で楽しみ、息子とサカナクションのライブに行けたことの幸せを感じた。 興味深い点は、サカナクションのライブは自然と踊り出してしまうところだ。 ぼくたち大人だけ

          サカナクションのライブ

          徳を積む

          四年前にtoha(トワ)という映像制作会社を立ち上げた。 Toha 設計者のための検索プラットフォームである【TECTURE】を立ち上げて間もない頃で、「これからは写真だけでなく映像での発信も必要になってくる時代だ」と、映像関連の会社をつくることに決めた。 Instagramのストーリーズで「映像を撮影・編集できる人を募集します」という文言とハッシュタグで「#プロじゃなくてもいいよ」と付けて投げかけると、たくさんの応募が届いた。 その中から、ぼくは二人を選んだ。 一