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苦しんでいる人の、周りにいる人ができること

 私、そして私の団体(NPO法人ルネスかごしま)は、悩んでいたり苦しんでいたりする人の、その悩みや苦しみをお聞きして、支援を行っています。

 そうして時おり、苦しんでいる方、悩んでいる方のまわりにいらっしゃる方のお話を聞かせていただくこともあります。

 その多くは、苦しんでいる方に対して、どうしたらいいのか、あるいは、まわりがどう考えたらいいのか、それから、何ができるのか、わからない、というものが多いです。

 苦しんでいる人は、様々な形で苦しみ、そうしてまた、周囲の方も苦しんでいる。

その苦しみは、分析できたり、分類できたり、枠に当てはめたりすることが、できたりはしないものです。ある程度の傾向のようなものはあったとしても、その方は、他のどこにもいない(そして、私たちがこれまで会ったことのない)唯一無二の方で、そうして、その方にしかわからないもので苦しんでいらっしゃいます。ですから、こうするのがいい、こうしたらいい、という事は申し上げることができません。その方が何を思い、何を感じ、そして何をしたいと思っているのか、そういうことをお聞きした上でないと、まわりの方にも、そして、私たちにも、何ができるのかはわかりません(*)。

 私たちにも、その方のために何ができるのかは、その方のお話を聞くまではわからないのです。

 ですが、苦しんでいる方のまわりにいらっしゃる方へ、ひとつだけ申し上げることができることがあります。

 「どうか、一人で抱え込まないでください」という事です。

 私たちがいます。病院・医者・看護師・ケースワーカーがおります。行政の相談があります。民間の相談所・カウンセリングルーム・いのちの電話、(自閉症・発達障がい・アルコール依存症など様々な精神疾患・身体障がいの)当事者の団体があり、また、その家族の団体・集まりがあります。

 誰かに話すことで、落ち着いたり、それにより冷静に問題を見ることができるようになり、何をどうすればよいのか、見えてくることがあります。

 あなたのまわりの、苦しんでいらっしゃる方の苦しみを少しでも少なくするために、そうしてまた、あなた自身の苦しみを、少しでも軽くするために、そういったところに足を運んで(あるいは連絡をして)、話をしていただきたいと思います。

 大丈夫です。


私たちは一人ではありません。
あなたも一人ではありませんし、
その方も一人ではありません。
私たちは支えあうことができます。
お互いに一人ではありません。

(*)その意味で、私たちがその方の本当のお気持ちをお聞きするまでには、長い時間がかかることがあります。多いです。まず、来てもらったり、こちらから出向いたり、という事の、了解を取る必要があります。時には、メールやお手紙から始めさせていただくこともあります。それから、少しづつ信頼関係を築き、本音を話せる関係を作っていくことが必要です。長い時間がかかることが多いです。なによりも、周囲の方が疲弊しては、支援が途切れたり、行き詰ることがあります。例えば、私たちの団体では、まわりの方にも、安心してお話しいただく環境を整えるように留意しています。

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谷川勝彦(たにかつ)
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