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願いのデザイン 産学連携 山梨大学Advanced Design Programについて

こんにちは。NTTデータのデザイナー集団「Tangity」リードサービスデザイナーの野口友幸です。

今回は、山梨大学様、千葉工業大学様といっしょにNTTデータが取り組んでいる、産学連携高度デザイン人材育成プログラム山梨大学Advanced Design Program(山梨大ADP)についてご紹介します。
https://adp.yamanashi.ac.jp/

主に社会人のデザイナーさんを対象に、もの、ことづくりなど広義のデザイン領域業務に従事している方、またはそれを志向している方にむけて、AI浸透深化時代に求められる「作り手の願い」にアプローチする学びの場を提供しています。作り手の願いとは、ユーザーの変容を考慮して、なってほしい姿を願ってデザインする、提供側であるデザイナーが持つべき視点のようなことを指します。従来の人間中心設計に加えて、作り手であるデザイナーがより主体性を持つための思考法と実践による半年間のプログラムです。


プログラムが生まれた経緯

山梨大学の郷健太郎教授、千葉工業大学の安藤昌也教授からお声掛けいただくところまで遡ります。両大学は2022年6月に包括的連携協定を結ばれ、その中で郷先生、安藤先生はHCDをベースとした連携を模索していたそうです。そこに産業側も加えた取り組みにしたいという話が出て、もともとHCD-Net(人間中心設計推進機構)や東京都立産業技術大学院大学(AIIT)人間中心デザインプログラムでごいっしょし、実務でサービスデザインをしている私までご相談をいただいたことから、3人での企画がスタートしました。

HCD-Netや東京都立産業技術大学院大学(AIIT)からのつながりで、この3人で企画運営

何が学べるプログラムなのか

AI浸透深化時代を見据え、今後のものづくりにおいてデザイナーに求められるスキルや創造すべき価値は何なのか、使い手であるユーザーと作り手であるデザイナーの関係性はどのようになっていくのか、AIでは無し得ない、作り手ならではの付加価値が問われるようになると考えています。
そこで、本プログラムでは大きく3つのブロックに分けてプログラムを提供しました。
1.人間中心デザイン、UXデザイン、サービスデザインなど基礎となるデザインアプローチ
2.AIに関する最新動向として機械学習やプロンプトエンジニアリング、倫理
3.プロジェクト型演習による利他的デザイン、価値・願いのデザインのグループ実践

座学については18科目9名の講師が担当、AI関連技術や人類学、伝統産業など各専門領域の講師もお招きして、とても内容の濃い構成となりました。一部は部分受講も可能とする公開講座として、半年間のプログラム受講生以外の一般の方にも聴講いただける機会を設けました。

第1期は2023年10月〜2024年3月で取り組みました

文部科学省「リカレント教育推進事業」に採択いただいたことも後押しとなり、2023年9月に受講生募集できることになりました。
想定は20名、ほとんど告知もしていなかったため、受講生の集まりが若干心配でしたが2日間で定員に達して驚きました。数年前まで開講されていた「AIIT人間中心デザインプログラム」が毎年定員オーバーしていたことを思い出しました。毎週金曜日の夜と土曜日に開催という、プライベートの時間がかなり削られるにも関わらず、志しのある23名が第1期生として学びを共にしてくれました。弊社オフィスがある有楽町の新東京ビルや千葉工業大学スカイツリータウンキャンパス、山梨合宿などを会場に合計60時間、基本対面による修了条件で半年間取り組みました。

毎週金曜日の夜と、土曜日を使った対面による講義やグループワーク

座学とグループワークでほぼ毎週末、半年を駆け抜けます。最初は初対面で堅い雰囲気だった受講生同士も、グループワークや懇親会、毎週のように顔を合わせるうちに、会社の同僚とはまた違う関係性が築かれていきます。それぞれの現場でがんばっているデザイナー同士が利害関係がない社外の同級生に課題を共有したり相談できたりするのも、社会人プログラムならではのことだと思います。

第1期の23名は、社会人経験1年目〜31年目、平均は12年目くらいの人たちでした。普段のお仕事はWeb制作会社のデザイナーやUXリサーチャー、新規サービス開発、コンサルタント、DX推進や会社を経営されている方まで、本当に多様なメンバーが集まり、1つのテーマにアプローチしました。

半年のプログラムを振り返って

このプログラムのメインともいうべき、利他的・願いのデザインは難しい内容でした。あらためてAIを使ってものづくりをするというのは、どういうことなのか。ユーザー傾聴だけでは良いものは作れない、作り手として持ちたい想いや願いの違い、強すぎるとバイアスと考えてしまったり、作り手の押し付けになったりしていないかなど、参加者各グループとも試行錯誤してくれました。最後のグループ演習では、山梨合宿で見学した伝統産業を一度抽象化し、自分たちグループそれぞれの成果物にしてくれて、それは見応えのある発表会でした。

利他・願いのデザインと山梨合宿の講義資料より

受講生の反応、受講後のアンケートもおかげさまで高い満足度を確認することができました。普段の実務では考えないところまで深めたこと、同じ体験をした仲間とつながれたこと、先生方から生煮えな話も含めて聞けたことなど、それぞれに価値を感じてくれたようです。何より、教える立場でもあった私自身が半年いっしょに過ごして、ひとりでは到達できないような学びがありました。このメンバーとは修了後もアルムナイのつながりとして大切にしていきたいと思っています。そこで、第1期修了生の中からお2人には次の第2期の運営サポートに入ってもらえることになっています。

今年もやります

2024年度も開講が決定しており、運営メンバーで準備を進めています。例年同様9月に募集、10月〜3月で開講予定ですので、この記事で興味を持っていただいた方、我こそは!という方は10月以降の予定を空けて、ぜひ9月に情報がオープンになったら応募エントリーしてください。10月から3月までの半年間、苦楽を共にしましょう!

最後に

本プログラムについて取り上げた郷教授、安藤教授との対談記事もあります。よかったらこちらも読んでみてください。

デザイナーさん大募集

現在Tangityではデザイナー職を積極的に採用しています!サービスデザイン、UXデザインのクライアント業務の経験がある方、ぜひ私たちと一緒に働きませんか?
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双方のポストはプロジェクトで連携する機会もあります。お待ちしております。

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