石岡瑛子がコスデザインした映画。

この作品はまったく知らなかったし、なんの期待もしないでみはじめた。冒頭からふつうの映画ではないとわかった。映像美が水準を超えていたからだ。まるでシュールレアリスムの絵画でもみているような感覚だった。
クレジットがながれているときに

EIKO ISHIOKA

という名前に気づいた。コスチュームデザインがあの石岡瑛子さんだった。
石岡さんが担当した映画ならただのエンターテイメントにはならないだろう。どこにでもあるような映画なら仕事をうけないからだ。
それが「ザ・セル」との出会いだった。

テーマは猟奇殺人。殺人者の心に中に心理学者が入っていくときの、心象風景がみものになる。シリアルキラーの心の風景を映像でえがく、というとんでもなく困難な仕事を、この新人監督(インド出身らしいが)はただのホラーでなく「不気味美しい」とでもいいたいくらいの鮮度でつくりあげている。
これハリウッドのアメリカ映画なのか、という意外性がつよい。むしろヨーロッパのアートシアター系、たとえばフェリーニの異形の世界とかに近い感覚がある。

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