不登校の母、ラン活を振り返る
あと数日で2月も終わり。
新しく小学一年生になるお子さんのいる家庭でも、早い方では去年の今頃から「ラン活」してきた人もいるんじゃないだろうか。
なにを隠そう私もその一人。
でも、息子は小学校一年生になって1か月ほどで不登校になった。
ほこりをかぶったランドセルを見て思うことを私なりに書いてみます。
周りに流され波に乗る
それは息子が年長の初夏だった。
仲良しのママ友数人とランチをしていた時、一人のママのアラームが鳴り、突然スマホとにらめっこになった。
人気メーカーのランドセルの予約が間もなく開始されるらしい。
「どこにするか決めた?」「○○鞄にしたー」「うちもー」「馬?牛?」「何色にした?」話題はランドセルで持ち切りになった。
やっば!なにこのアウェー感。完全に置いてかれてるんだけど(焦)
ランドセルのメーカーなんて考えたこともなかったし、そんなの2月か3月にそこいらのショッピングモールで買えばいいんじゃないの?くらいに思ってたのに。
私以外の3人中3人が同じブランドのランドセルを買うという。慌てた私は帰宅するや否やあれこれググって資料を取り寄せた。
ラン活に足を踏み入れた瞬間だった。
親の期待を詰めたランドセル
ランドセルはジジババが買ってくれることになっていた。
ショッピングモールのオリジナルでも軽くてフィットするなんとかちゃんでもよかったのだが、ステータスなのであろう○○鞄に匹敵するようなブランドばかりに目が行ってしまい、結局6万円強もするランドセルを両親におねだりすることになった。
入学式。
4月でも雪が降ることもあるこの地域では、とても珍しい桜とのコラボだった。
新一年生はランドセルに黄色いカバーを1年間つけるのがこの辺の決まり。早くカバーが外れないかな、息子のランドセルは○○社の○色なんだぜ。
そんなことを思っていたGW明け。
息子が突然学校に行かなくなった。
「学校には無理していかなくていいからね」そう息子には伝えたが(不登校に関しての話はまたの機会に)、ある時放置されたランドセルを見てハッとした。
年金暮らしの両親・・・孫のために・・・買ってくれたんだよなぁ。
そんなことを思うと胸が苦しくなった。
使わなくなって気づいた誤算
そもそもなんであんな高額なランドセルを選んだんだろう。3万円のランドセルだって選択肢にあったはずなのに。
保育園は親がクラスの入り口まで送り迎えする。保護者ともたくさんすれ違う。かわいいママやおしゃれなママに自然に目が行く。自分も、着ていくものや振る舞いに自分なりの見栄があった。センスいいと思われたい。私らしい、息子らしいと思われたい・・・。
そんな「私が」持っていた感覚そのままでランドセルを選んでしまった。
これが大誤算だった。
そもそも学校は、保育園とは違い子供が自力で登下校する。親が学校に来るのは保育園で言うところの延長(長時間)保育で、それも各々お迎えの時間が違うから保育園ほど人が集中しない。子供のランドセルなんか見る人いない。万が一目に留めたとしても、それがどこのブランドの何革の何シリーズなのかなんて、ランドセルメーカーの営業マンでもない限り分かるわけがない。そして不登校。
どんなにいいランドセルを買ったって、使ってくれなきゃ意味がない。
まったくの想定外だった。
ランドセルが残したもの
あの時心の中に「高すぎない?」「なんとかちゃんでよくない?」という声があったのは覚えてる。でも見栄に心の大半を持っていかれた私はあーでもないこーでもないと自分を正当化して言いくるめて結局勝利を収めた。
でも息子が不登校になりランドセルが全く意味を成さない今・・・
残っているのは虚しさだけ。
もっと自分と対話するべきだった。
「なぜ自分はこれをやろうとしているのか」「それを達成したときに自分はどんな気持ちになるのか」、逆に「達成されなかったとき、どんな気持ちになるのか」
その気持ちに気づくだけで随分違ったと思う。
「安くても充分。3万円のものでもいいよね」もありだし「やっぱり私はイイものにこだわりたい」が本音ならそれでいい。
そして「見栄張りたい!」それでもよかった。
見栄を張ることがいけないんじゃなくて、それを正当化しようと自分の気持ちをごまかしたのが間違っていた。
どっちにしろ不登校になっていたとして「見栄を張りたい」と素直に申告した自分は「くぅぅぅぅ~!見栄なんか張るんじゃなかったぁぁぁぁ」と後悔できるけど、見栄をひた隠しにしてあたかも「息子のためを思って買いました」な自分だと「これじゃ両親に顔向けできないじゃない!」と正当化をさらに正当化しようとして「誰が買ってくれたと思ってるの!学校行きなさい!」なんてことにもなりかねない。
(そうならなくてよかった・・・)
これからラン活を始める方は、一度立ち止まってこのランドセルを買いたいと思う理由を素直に考えてみるのがいいかもしれないです。
ほじゃ。
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