探究活動発表会at埼玉県立小川高校2024.12.18
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今日は、埼玉県立小川高校の総合的な探究の時間発表会にお邪魔しました。以前、小川高校の教頭先生から「おがわ学」という取り組みについて教えていただきました。「おがわ学」とは、小川町立小中学校、小川高校、小川町が協働して探究し、小川町の地域課題の解決に取り組むプロジェクト型の取組です。関わる大人自身の学びにも視点を当てる開かれたものになっています。残念ながら、普段の授業を見る機会はありませんでしたが、発表会にお声がけいただきました。
発表会は、ポスターセッション形式で行われていました。全部で15ほどのブースがあり、それぞれがセッションを繰り返すシステムです。私は、オーガニックコットンTシャツプロジェクト、万葉集の魅力発信プロジェクト、小川町の地震についてのプロジェクトなど5つほどのセッションに参加しました。
印象的だったのが、万葉集のプロジェクトです。小川町は、万葉集を翻訳して世に広めた僧仙覚が「万葉集註釈」を完成させた場所です。このプロジェクトは、その歴史をきっかけに、万葉集の魅力を伝え、小川町の知名度を上げようとの試みです。その手立てとして、5分程度の動画を作製するというものでした。残念ながら、動画の製作まではたどり着いていなかったものの、小川町や万葉集の魅力を語るメンバーの思いも伝わりました。今後、どのように探究が進んでいくのか見てみたいと思いました。高校生らしい、ダイナミックな探究を見せてほしいと思います。
小川高校の様子を見て、生徒が意欲的であったこと、決して高度なことをやっているわけではないが、Tシャツやお菓子、動画やVチューバー、杖やうちわ、ノートなどの小物等の身近なものを通して、自分たちの力で小川町を盛り上げていこうという思いが育っていること、それを先生方が一所懸命支えていることがよくわかりました。
学習指導要領の改訂により、高校では、総合的な学習の時間から総合的な探究の時間へ変わりました。これは、より探究に重きを置いた教育実践を促す狙いがあります。今、教育の界隈では、「何を学ぶか」よりも「どう学ぶか」を重視する傾向があります。それは、知識やスキルは、使えてこそ初めて役立つものだからです。様々な国際的な学力調査では、日本人の学力はずっと世界トップレベルです。同時に指摘されるのが、日本人の生活満足度の低さです。学力が高いのに、生活満足度が低い。この矛盾を解消する手立てが、探究です。今回の「おがわ学」も文部科学省の「教育改革推進事業」にもなっています。おそらく、令和9年ごろに改訂されるであろう新学習指導要領では、小学校、中学校でもより探究にシフトした教育課程が求められるはずです。私たちが今、積極的に探究を推進しているのは、そのような背景があります。これを機会に、そんなことを知っていただけたらと思います。
小川高校の教頭先生と短時間ですがお話させていただきましたが、かなり謙遜されていました。しかし、ぜひ胸を張って突き進んでいただきたいと強く願います。上から目線になってしまいますが、この素晴らしい取り組みを続けると必ず、生徒が教師を乗り越える瞬間が訪れるはずです。そんな時、ダメというか、行けというかが大きなターニングポイントになると思います。ぜひ、「よし、行け!やってみろ!」と言える小川高校であってほしいと願います。今後も、勝手に見守らせていただきます。
小川高校の生徒の皆さん、先生方、大変お世話になりました。ありがとうございました。
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小川高校の総合的な探究の時間の印象
小川高校の生徒は、穏やかで意欲的に見えました。同時に、主体性にやや欠ける印象も持ちました。先生方が忙しく動いていることが多く、生徒は先生方の指示を待っている様子で、探究をはじめて間もないような印象でした。「おがわ学」が、令和元年から始まっていることを踏まえると、試行錯誤が続いているようです。しかし、私はそれをポジティブにとらえています。少なくとも、方向性は間違えていないように感じます。なにより、生徒自身が少なからず探究を楽しんでいると感じるからです。はっきり言って内容は小学生のレベルです。でも、高校生がやっているだけに、行動がともなっているのが楽しむことができている要因かと考えました。まだまだ、行動するにあたり先生の許可が必要であったり、具体的な行動方法を知らない部分もい見受けられました。その部分を、改善していけば大きく発展するのではないかと思いました。
最近見させていただいた、渋谷区の指導主事の話によると、先進校では、探究の中心に「行動」を位置付けているようです。また、神奈川県にあるRISSHO KID'S きらりという幼稚園の先生によると、まず行動して、壁にぶち当たるとこどもは思考を働かせ、どうすればうまくいくのかを探究し始めるそうです。幼稚園児だろうが、小中高校だろうがこの原理は同じだと私は思います。こよ高校の生徒の様子を見て、行動することの大切さを考えさせられました。
また、この高校の課題として2つ指摘したいと思います。1つは環境面です。限られた予算の中での苦しい事情があるのは承知していますが、今日の生徒が使用していたのはノートPCと模造紙と具体物のみでした。しかし、生徒一人一人に聞いてみると、本当は動画を大きい画面で見せたいとか、こういうものを作りたいとか、こういう機材をつかいたいとか、ここに行って見てみたいとか言っていました。こどもたちがひらめいたことをできる限り実行できる予算、そして時間を確保することが大人に求められていると感じました。もう一つは、先生方の意識です。今日の会場では、先生方が走り回っていました。発表会は、学校が開催している印象がありました。確かに、開催は学校マターなのかもしれませんが、そこも生徒に任せ、先生はオブザーバーのような立ち位置でよいのではないかと思います。思い切って任せてしまうということは、とても勇気がいることであることは承知していますが、力強い決断をしてほしいと思います。
この町が町ぐるみで行う「探究」が埼玉県西部北部の教育をリードしていくような気がします。