妄婚
わたしは今日、結婚をした。
1年前、薔薇を抱いたあの日に戻り。
わたしたちは結婚した。
わたしの人生の一大事はいつも冬にやってくる。
2年前の冬。わたしは末期の癌と診断された。
1年前の冬。わたしはプロポーズをされた。
0年前の冬。わたしは死んだ。
人は死んだらどこに行くんだろうとか
生きているのが当たり前の時代にはたくさん
考えていたけど、
この2年間は、そんなこと考えられなかった。
生きるのに精一杯で、
痛いとか、苦しいとか、死にたいとか
生きていることに精一杯で、
理由を問うことはできなかった。
そんなわたしには、2年前に知り合ったパートナーがいる。
最初は、真面目な印象だったけれど、
仲を深めていくと、
たくさんふざけて、たくさん笑う人。
その人との毎日はとても楽しいもので、
40回は喧嘩をした。
でも400回は笑い合った。
わたしが落ち込むと、いつもそばにいてくれる。
わたしがパートナーにしてあげられたこと。
それはね。
死ぬことだった。
わたしは、永遠にこの時間に留まるから、
わたしは、永遠にあなたを思い続ける
けど
あなたは、きっと素敵な人を見つけて、
本当に幸せになるんだろうな。
皮肉にも、わたしには用意されていなかった。
狼煙と共に、召されるしかなかったの。
罪と一緒にね
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