いつもの最寄駅
電車の中はとても暖かい。
イヤホンから聞こえる音楽に包まれて、
妄想の余韻に浸っている。
いつもの最寄駅。
ドアが開いて、電車を降りる。
電車の中で包まれていた暖かさは嘘のように
針のような冷たい風に変わった。
さっきまで聴いていた音楽は
心地よさを失い、わたしはわたしに言い訳をする
「現実は残酷だ」
いつものようにLINEをひらく
「傘を忘れたから迎えに来てよ!」
↓
「はいよー」
なんて返事が来るわけじゃない。
1年前の今頃なら笑顔で手を振ってるあなたが
来てくれたのに。
私はあなたに嘘をついた。
私はバックから傘を取り出して
雨音に揺られ、足元の気持ち悪ささへ
愛したいと思えるほど、同情好きになったんだ。
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