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飛んでいけ。

 高三の夏休み。
 無口で無愛想な彼氏が、祖母の形見で小傷のある鳥が飾りのネックレスを渡そうとした。
 そんな大切な物は貰えない、手を振ると、静かに後ろへ回り首にかけた。その日から、お守りの様に着けている。
 でも彼は遠い大学に行き、言葉足らずの私達は自然消滅した。
 蒸した夏の夜。ふとチャームに触れ、彼を思い出し、そのまま眠り込む。
「あの子はね、本当にいい子よ」
 ご老人の首にあのネックレスが着いている。そして私は飛び起きた。
 何も言わずに。目に浮かぶ。好みも聞かず、キッチンカーのアイスを買ってくれた。
 枕元のスマートフォンを手にする。連絡先は奇跡的に知っている。
 気恥ずかしいから、スタンプだけ送るよ。青い鳥のそれを。


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