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広島旅行(26) last day /

新幹線が来る時間が近づいてきたので、僕らは新幹線用のホームに向かった。さっきの駅弁屋にはおばちゃんではなく男の人がいた。新幹線は二人席かと思っていたら3列シートだった。彼女は窓際。僕はその隣に座った。結局通路側には人が座ることはなかった。電車が動き始めると早速、駅弁を食べ始めた。新幹線に乗る前に自動販売機で買った味噌汁缶(ラベルにはしじみの絵が書いてあったが、しじみは入っていなかった)を飲みながら。弁当に合っていた。お酒と駅弁のイメージがあったけれど、味噌汁もよかった。通り過ぎていく風景と共に弁当を食べるのはどこか非日常的なことだった。この非日常が味わえることも、僕らが旅を求める理由なのかもしれない。年中、新幹線内で駅弁を食べていたらこんなに感動しないだろう。帰りの新幹線は行きの新幹線よりも時間が早く感じた。あっという間に横浜につき、品川に向かっていた。僕らは品川に着くと、いつでも下りられるように準備をしていた。

東京駅に着き、車内ででたゴミを車内ではなくホームにあるゴミ箱に捨てた。帰りは彼女は山手線か京浜東北線のどちらか先に来た方に乗って帰る。僕は東京・上野ライン。彼女のホームまで、彼女を送っていく。彼女がエスカレーターに乗る。時々、僕の方を振り返り手を振る。僕も手を振り返す。彼女が見えなくなった。

ひとまず、旅は終わったと思う。家に着くまでが旅なのかもしれない。定義みたいなものもあるのかもしれない。ここから、僕の家に着くまでのことを書いてもいい。けれど、ひとまず、ここで筆を置くことにする。それがきっといい。

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