
フランス旅行(19) day2/
目を覚ますと、21時になっていて、予定よりもかなり眠ってしまった…外はまだ明るかった、フランスは日が長いらしい。時間も時間なので、僕たちは、遠出はしないで、ホテル近くのカフェで夕食をとることにした。21時を回っていたので、明るかったものの(フランスの夏の日照時間は日本よりも長い)、店が何時くらいまでやっているのかわからなかったので、ホテルの近くの良さげなカフェを探した。結構な数のカフェがあり、店内、テラス席と、通りの店はどれもパリっぽい…というか、賑わっていた。僕は正直なところ、どの店でも楽める…そんな風に思っていた(それはきっと間違いではない…どころか、真理だろう。ぼくらはどこでも楽しめる)。ワインの味なんてそれほど、どの店でも変わらないだろう…ついては、料理だってそうだろう。ポテトフライの味について、京都のモスバーガーと北海道のドムドムバーガーの違いについて、アルコールが入っている時…に限らずに、考えることは”どうなのか…”なんて思う。じゃがいもを油でいい感じに揚げていて、それと一緒に”それなり”のワインが飲めるとする…、じゃがいものパフォーマンスはジャズチックになるのだろうか(それはおいておいといて)…それなりの風の心地よさだったり、店内の活気ある雰囲気の心地よさだったりがあるとする、僕は何をそんなに高望みをする必要があるのだろう…そんなものはないのだろう。そんな話題なんていうのは、自然と風化してしまうだろう。ポテトフライはお酒と合う。夜の活気のある雰囲気はとてもいい。そういったものは金では作り出せないもの…なわけではないのかもしれない…けれど、化学調味料みたいで、どこか”うさんくさい”…。僕は夜のパリの街のカフェのどの店でも楽しめる自信のような…ある意味で、開き直れるスイッチを”すでに”持っていた。
ホテルからそう遠くはないカフェに入った。僕は白ワイン、彼女はビール。2人でサラダとウィンナーのプレートを頼んだ(ウィンナーはシャウエッセンの3倍の長さで、2倍の太さといったところか)。運ばれてから”それ”(”フランスのやり方”)を知ることになる。僕らは、最初に頼んだものは前菜的なもので、日本の居酒屋のように次の食べ物をすぐに頼むつもりでいた。新たな食事を頼みながら、酒も追加で頼んでいく…そんなスタイルで。だけれど、追加で頼もうとするも、なかなか、店員はこない。ちなみに、僕らのオーダーをとった店員は女性で、店の方針なのかそれほど畏まった服装ではなくて、白いコットンのシャツに、それなりのブルージーンズ(どこかおしゃれな感じの)を身につけていた。極端に言えば、イギーポップ的なジャンルに入りそうな人だと思う…けれど、それはきっと、違うことなのだと思う…僕はそうは思わないとしても。と、この件についてはこのくらいにして本題に戻ろうと思う。なかなか、ストーリ(旅の話)が進まないのは誰のせい!?…僕は、ついには、席を立ち、自分から店員に尋ねに行った。「メニューを借りてもいいですか!?」的な感じで。僕はカジュアルながらも丁寧に尋ねられたと思う。店員は「あっちにあるけれど…」、僕は「あっ、ありがとうございます。あっちですね」といった感じのやりとりで、無人のレジの下にある、メニューを手にして席に戻った。席に戻り、次に頼むのを選んでいた。僕は同じ白を、彼女はロゼを頼むことにした。手を挙げたりしてみても、やはり、なかなか僕たちの担当らしき女性店員は来てくれなかった。男の店員と目があったので、声をかけると、近づいてきた…ので、注文をしようとすると「あぁ、俺はちがう…」といった感じで注文さえ聞いてもらえなかった。僕たちの隣の席(僕からみて右側)のテーブルにはゲイらしき2人が食事をしていた。テーブルにはもう食べ終わったらしき皿が置いてあり、飲み物ももう入っていなかった。2人はフランス語で話をしていたけれど、1人は長髪のアジア人で日本人ぽいイントネーションだった。僕は彼女と次の料理をオーダーできないことなどを話ながら、隣のゲイの内容まではわからない会話に時折耳をすませていた。もう一方の席(僕からみて左側)のテーブルには僕たちより後に来た、男の二人組が共に肉のプレートと赤ワインをボトルで頼んでいた。プレートの肉の量は結構多かった。彼女は男のプレートが届いただかのタイミングで、運んできた女性の店員を呼び、とりあえず、飲み物の注文をすることができた。この旅行中、結構に彼女は何かのタイミングで店員を呼び止めることが多かったように思う。呼び止める合間がうまいのかもしれない。右側のゲイカップルがようやく会計を済ませ、席を立つ時に僕らにこう言った「がんばってください!」。僕はなんとなく、その意味を直感的に”その時に”、わかったような気がした。なんとなく。ただ、もっと色々と聞いておけばよかったなぁ…なんて、同時に、後悔もした。料理を注文しようとするも、時間も経ち始めていたので…いつ閉店なのかもよくわからなかった…、僕らは会計をして店を出ようとしていた。ところが中々、会計をすることができなかった。というよりも、僕からは店内に入ってくる新しい客たちが見えていたのだけれど、なかなか注文がきてなさそうな客(オーダーもしていないような…)だったり、明らかに飲み終わっている親子3人らしい客(父と息子2人)だったりが、しばらく無言のまま座っている光景があった。僕らだけではなく、店中の客が何もしないで、ただ待っているような状態が続いていた。もちろん、料理があり、楽しそうに話をしている人たちも多かったけれど…。そんな漠然と時間が経過していく中…、楽しくないわけではないけれど、僕らはすでに会計を済ませた後のことをしたくなっていて、そう考えてから、もう随分と時間が経っていた(多分、地球時間にして15分くらいだろうと思う)…その時も、彼女が何かのタイミングで女性店員を呼び止め、会計をすることができた。僕のカードで支払いをしようとした。すると、女性定員はカードの読み取り機にカードを通しているときに、僕の方を見て、指笛をする仕草だったり、手をあげたりする素ぶりをして、「これはここではタブーよ」と言った。僕はなんのことだかよくわからなかった。だけど、彼女(女性店員)はきっと親切な人だったのだと思う。
店をでて、彼女とそれについて語りながら、Mini storeという名の小さな雑貨屋でワインを買って、ホテルで飲んだ。彼女は洗濯をしてくれた。明日は僕が彼女に教わりながら、覚えることになる”旅行でもできる洗濯”。彼女が買ったバドワイザーも飲んだ。
そんなこんなで、1日目のパリは過ぎていった。