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フランス旅行(14) day2
カフェを後にした僕らはカフェから10分ほどにある、カルティエの美術館へ向かった。カルティについてはよく知らないけれど、(それを言ったら、僕はうどうんやそばについてだって大して知らないし、最近のマクドナルドにてりやきバーガーがあるのかさえ知らない)、どうやらカルティエはジュエリーを扱うブランドらしい。美術館の入り口にはポスターが貼ってあり、今回の企画展示はオリンピックにちなんでスポーツのアートだった。ポスターにはNFLの選手がポーズをとっていた。彼女はポスターを見て、見なくてもいいかなぁ…という感じだったけれど、僕は入ってみたいと思った。それに上野の美術館みたいに常設展なんかがあるのではないか…とも考えた。美術館に入ることになり、チケットを買うために入り口付近にあるチケット売り場の窓口内の女性に声をかけ、大人2枚を購入した。チケットを買うときに常設展について尋ねようとしたが、常設展を英語でなんというのか咄嗟にはでてこなかったので、それについてはわからないまま、美術館に入ることになる。彼女は”聞かなくても大丈夫…変な人に思われるかもよ…”と言った感じで、僕の常設展があるかについての探究心を制圧した(沈静化)した…。入り口には2人の体の大きなスーツの男がいて、暇そうに何かを話していた。入場するときに、僕らの手荷物をチェックした。そんなに混んではいなかったので、やはり、2人は、かなり暇なのだろうと思った。きっと同じ話を10回以上、リピートすることを、10回繰り返し、そしてまた10回繰り返し続けて…仕舞いには俺たち二人は何をやっているんだっけか…となっていることだろう。たまたまだったか、急に混んできたのかはわからないけれど、二人の男に仕事を与えているべき、救世主がすぐに僕らが入ったすぐあとで、入ってきた。一人の年配の女性だった。1階はガラス張りのフロアで、大きな広間が2つ両サイドにあり、左側のサイドには何人かが椅子に座っていた。僕らは地下に行くことにして、地下の入り口付近にいる、男性の職員からこの企画展のフリーパンフレットをもらった。地下へ行くと、粘土上のぐにゃぐにゃになった、バーベルのプレートが壁に立てかけてあった。僕は柔らかさを確かめようとして、手を伸ばした。後ろの方から「!○!○!」と声がしたので、振り返ると、2~3人のカルティエの雇われ監視員がいて、僕に注意をしたようだった。暇なので、僕みたいな人間がいるとやっと仕事ができて、やりがいを感じている部分もあったのではないか…。僕みたいな人間がいなくなると、仕事がなくなるんだから、もっと感謝をしてもいいだろうに。僕は触るのを諦め、地下の2広間のうちの監視員がいない方に行った。両広間ともコンクリートを基調とした、無機質な空間、広間となっていて、それが静かさを強調していたように思う。静かさの美しさ。白いキャンパスに何か、シンプルなものを描く舞台を整えるような。僕らのあとに品のいい、年配のリチャードギア・カップルが続いてきた。すでに、僕らは椅子に座り映像を見ていた。リチャードギア・カップルは静かに待っていた。僕たちは少し、映像を見て、もう一つの監視員がいる広間に向かうことにした。もうひとつの広間には壁に線がいくつか描かれていた。NFLの選手がバーベルプレートを壁にこすりつけたりした後らしい。テレビモニターも天井の隅の2箇所に吊るされていて、映像を写していた。僕は立っている(突っ立って、10種類の無駄話を100ループし続ける)監視員に「写真は撮ってもいいか」を尋ねた。すると、「いいよ。」と答え、その後に「ただし、触るのはだめだけどね。」と言った。僕は「もちろん。あの落ちている、バーベルプレートを触るのなんかは、絶対だめだよね」と軽いジョークを言ったが、僕の英語力とその場の雰囲気やらで、しっかりと監視員には伝わりきれなかったように思う。無機質なNFLの展示を見て、1階にあがった。右サイドには観光客のような集団がいて、ガイドのような人が何かを説明していた。僕らは2階にあがった。2階は本屋になっていて、いくつかの本が置いてあった。ジュエリーに関する本は置いていなくて、彼女は少し残念そうだった。デビッドリンチの本が何冊か置いてあり、アメリカ出身のリンチとカルティエのつながりはわからなかった。その時はまだデヴッドリンチは生きていた。フランス人はデビッドリンチが好きなのだろうか。2階の本屋では何も買わなかった。1階の右サイドの広間を一通り見たけれど、特に気になるのは、庭があるらしい…ということくらいだった。