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ラディカル・アクセプタンス(ネガティブ感情から抜け出す「受け入れる技術」で人生が変わる(57)
こちらの本を、読書会で読んでおります。
Clubhouseで17時30分から15分間。
第9章 思いやりの輪を広げる:菩薩の道
【見かけを超えて仲間意識を広げる】
1970年代半ば、博士がマサチューセッツ州ウスターで、恵まれない家族のテナントとしての権利を守る活動をしていたとき、組合のひとつのリーダーであったデニス(説得力のある雄弁な女性)と知り合います。
デニスの長男は監獄の中、もう一人の男の子は薬物中毒者、現在の夫は無職な上に借金を背負いながら生活していて、幼い子供たちの食べものと衣服をまかないながら、いかに暖房代を払い続けるかという問題に直面していたのです。
博士は彼女の組合リーダーとしての意気込みと熱心な努力に尊敬の念を抱いていたのですが、彼女は賃貸ストライキの始まる2日前に組合を脱退します。彼女は自分の家族を守るため、やむなく家主の買収に屈したのですが、他のメンバーは彼女のことを部外者、「敵」とみなし避けはじめます。
博士もこのような場面において、他のリーダーが同じような状況になると、憤りを感じるのですが、デニスにおいては、まるで詩人のヘンリー・ワーズワース・ログフェローの「敵の隠れざる過去を読み解ければ、敵意など持てなくなるほどの悲しみと苦しみを見つけることだろう」のように、心を開きます。
対して、博士にとっての家主は、「悪者」カテゴリーに属していたのですが、それも後に、よく理解できる完璧な機会に遭遇します。
ある大企業のCEO(最高経営責任者)で裕福な白人である彼は、集団訴訟の焦点にいる人物であり、立場こそ博士にとっては異なる意見を持っていそうな人物であったにもかかわらず、実際に会ってみると、じつに人間味があり正直な人物で家族が病気でありながら、何とか時間を作って家族と過ごしたいと考えているような人物だったのです。
博士は、政治や社会問題に対する意見の相違とは関係なく、彼に好意を抱き、彼の幸せを願います。
私たちは苦手な人に対してもその人の人間としてのもろい部分を知ることで心を開くことができます。目の前にいる人の真の姿を見れば、その人たちを苦しめたいとは思えないばかりか、思いやりの輪はその人たちにも自然と広がるのです。