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ラディカル・アクセプタンス(ネガティブ感情から抜け出す「受け入れる技術」で人生が変わる(59)
こちらの本を、読書会で読んでおります。
Clubhouseで17時30分から15分間。
第9章 思いやりの輪を広げる:菩薩の道
【心が閉じてしまったらどうしたらよいのか?】
博士は何年か前、自身が主催している心理療法グループにいたトムは、ミーティングのあと毎回居残り、博士に無駄な質問をしたり、その晩のミーティングでおきた出来事に長々とコメントを続けます。
ミーティング中に彼が他の参加者から反感を買っているのは明らかで、ある日若い男性が、自分を非難する妻といると緊張して自意識過剰になると打ち明けると、トムは彼に偉そうに助言をして、その若い男性はその後無言でミーティングを終えます。
トムは他の参加者が問題を持ち出すたびに、自分が似たような問題をいかに解決したかを披露し、注目の的に、そして重んじられたいと思っているのが明らかなのです。
5回目のミーティング終了後もトムは博士を待っています。
トムが話しはじめると、博士は「あら、そう、じゃあこのグループをやめたら? あなたがいなくなればすべて問題が解決するわ」という台詞を吐きそうになるのをグッとこらえながら話に耳を傾けるのでした。
私たちは他人の欲求に対して、常に思いやりを示すのは容易なことではありません。むしろ自分の中で何が起きているかをよく理解することに目を向けるべきなのです。
博士が自分の内側に意識を向けると、心の狭さの裏側には、彼に侵害されているという気持ちがあること、自分自身の苦しみに気づきます。自分の怒りに優しく接すると、トムが今、何を感じているかということに興味が湧いてきます。
するとトムと博士はこの場所で共に苦しむ、もろさのある人間として存在していることに気づきます。博士の手がそっとトムの腕に触れます。
…次第に、トムの自己防衛も解け、博士の言葉に耳を傾け、彼の心は癒やされ、優しい気持ちで二人の心は繋がり、軽い足取りで部屋を後にします。
この会話の結果、トムは、あるグループミーティングの席で、若い男性に謝罪し、彼が自分の息子と似ていて、助けたいと思ったけどどうすればいいかわからなっかことを正直に伝え、若い男性も「自分が大事な存在だ」ということを妻やトムに求めていたことを伝えます。
博士が「最も不愉快な他人」というレッテルを貼ったその人こそが、グループのメンバーすべての人たちの心を開く重要な鍵となったのです。
当初トムの無神経さが非難の的となり、彼が心を開くにつれて、グループメンバーの間で花開く深い繋がりに。そして、メンバーのそれぞれが感じる苦しみと他者の痛みを受け止める気持ちを生んだのです。
一緒に心を和げることで思いやりの輪は広がり、お互いの人間性を認め合い、大切に思えるようになるのです。