ラディカル・アクセプタンス(ネガティブ感情から抜け出す「受け入れる技術」で人生が変わる(50)
こちらの本を、読書会で読んでおります。
Clubhouseで17時30分から15分間。
第8章 自己への思いやりの目覚め:自分を支え、支えられる人になる
【思いやりで自分を支える】
博士がダニエルに、どれだけの間自分に厳しく接しながら生きてきたのかと尋ねると、彼はしばらく黙り込んでしまいます。彼は自分の母親との関係と同じように幼い頃から心の痛みを無視しながら、自分を容赦なく執拗に否定してきたのでした。
彼は離婚のときも、長期にわたる慢性の腰痛に悩んでいるときも、自分が苦しんでいることを認めるどころか、結婚生活の崩壊を自分のせいだと思い込み、体調管理もろくにできない自分を非難していたのです。
彼が自分を批判しているとき、彼の身体には何が起こっていたのでしょうか
彼の心臓はその瞬間、金属の紐で縛られているように、そしてこの痛みを彼は、「悲しい」と目に涙を浮かべながら囁くのでした。
博士は彼に、痛みが一番強い場所である胸に手を添えてみるよう促し、痛みに対して「僕はこの苦しみを気にかけている」とメッセージを送るとどんな気持ちになるか尋ねます。すると、ダニエルの肩は静かなすすり泣きとともに揺れ始めます。
ティク・ナット・ハンが言うように「ダーリン、あなたの苦しみを心にかけているよ」と誰かに言ってもらうことは、深い癒やしの始まりになります、と。
他人にこうした思いやりの気持ちを向けるように、優しいキモチを自分自身に向けることも可能なのです。そして、この自分自身を優しく扱うという革新的な行動は、一生ずっと抱えてきた自己嫌悪の気持ちを取り去りはじめる一歩となるのです。
彼は、その後数日間、自分や他人を批判していることに気づくたびに、自分の身体のどこに痛みを感じるか…それから、痛みを感じる胸に手をおきながら、囁くことを繰り返すのでした。
ある日の午後、瞑想中に自身の頭の中で起きた母親とのやりとり。自分を批判する母親のために、彼の胸に熱と激怒が広がり、自身の叫び声が聞こえた正にそのとき、彼は両手を胸に置き「自分の苦しみを気にかけている。どうか苦しみから解放されますように」と繰り返し囁きはじめます。すると数分後には、刺すような怒りは収まり、怒りの代わりに温もりと柔らかく開けた感覚が胸に広がるのを感じるのでした。
博士との最後の面接に現れたダニエルの表情は柔らかく、身体もリラックスし目は輝いています。この場にいることを楽しみ、自己否定の檻から自由になった彼の目に、周りの世界が新しく映りはじめます。自分自身を思いやりで受け止めることで人生をより一層楽しめるようになっていたのです。
私たちもダニエルのように、自分が傷を負った部分に、誠実な思いやりのジェスチャーをほんの少し送るだけで、劇的な変化が起こるのです。苦しみは心を解き放つ思いやりへの扉。自分の悲しみを支える人間になることで、自分自身と他人への勇気ある正直さと真の優しさが生れてくるのです。
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