ラディカル・アクセプタンス(ネガティブ感情から抜け出す「受け入れる技術」で人生が変わる(60)
こちらの本を、読書会で読んでおります。
Clubhouseで17時30分から15分間。
第9章 思いやりの輪を広げる:菩薩の道
【お互いの目線で見る】
…一番身近な存在が非現実的な存在に見えることがありますか?
まるでその人のすべてを知っているかのように、その人の人生はこういうものだから、、、と気軽に思い込んでしまうこと。
その人も私と同じように常に変化し、新しいことを経験していて、痛みや恐怖とともに暮らし、内面では辛い思いを抱えているという事実が見えなくなってしまうのです。
ジェフとマルゴは結婚生活が上手くいっていないことを理由に、博士の元をおとずれます。ジェフは身体の痛みと疲労を抱えた上にうつ病を患い、マルゴはそんな彼を経済的にも精神的にも支えているのですが、彼からの感謝を感じることができずにいました。
彼らとのセラピー中に「役割交代法」と呼ばれる簡単なサイコドラマ(心理劇)が試されます。お互いに役割を交換して元の椅子に戻ると、彼は自身の経験を明確に表現した彼女との距離感が縮まるのを感じます。
一方、彼女の方もジェフに対してではなく、自分自身の人生に対して怒りを感じ、その怒りの根元にはいかに自分たちの人生が難しいものになったかを嘆いていたことに気づきます。
そして、今度はジェフがマルゴとして、無力感を感じ人生が台無しになること、自分が何もコントロールできないと感じることが一体どういうものかを語ります。
このプロセスを終えたマルゴとジェフは涙を流しながらお互いを抱き締め合います。彼らは、お互いの悲しみや孤立感に、このとき初めて気づいたのです。「どうしたらあなたを助けてあげられる?」に変わった瞬間でした。
作家のヘンリー・デイヴィッド・ソローはこう言います。
「一瞬でも他人の目を通して見るという奇跡に勝ることはあるのだろうか?」。お互いの目線で見ることは思いやりの中心にあります。それを創造することで、自然とその人との親近感が生まれ、優しいキモチになるのです。
イラン人の詩人ハーフェズはこう言います。
自分以外の人たちに「どうしたらもっと優しくなれるだろう?」と問います。やがて身近な存在からその意識が広がっていき、気にかけることも可能なのです。意識を向ければ向けるほど、人生で一番大切なことは優しさなのだと理解できるはず。他人の脆さに心を開けば、私たちを隔てるベールは消え去り、自然と助けの手を差し伸べるようになるのです。
追記:……人生がどんなものかを理解するのにこうして正式に役割交替のプロセスをたどる必要はありません。相手の心と身体でこの人生を経験するのは一体どんなことか、と想像すればよいのです。
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